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小論文の試験の点は大学に入ってからの成績を予測するか|作文の試験の予測力の研究

最終更新:2026-10-26

小論文の試験でよい点を取れる生徒は、大学に入ってからもよい成績を取れるのでしょうか。作文の試験の点は入学後に書く課題と結びつく一方、全体の成績の予測に加わる情報は小さい場合があります。 文章で考えを示す力は、大学で取り組む課題と重なる部分があります。ただし、文章を書く授業での評価と、知識の試験や実技も含む成績全体とでは、確かめる対象が異なります。

資料の年度:2026/確認日:2026-10-26

小論文の試験でよい点を取れる生徒は、大学に入ってからもよい成績を取れるのでしょうか。作文の試験の点は入学後に書く課題と結びつく一方、全体の成績の予測に加わる情報は小さい場合があります。 文章で考えを示す力は、大学で取り組む課題と重なる部分があります。ただし、文章を書く授業での評価と、知識の試験や実技も含む成績全体とでは、確かめる対象が異なります。

保護者会で小論文を課す選抜の話を聞くと、「文章が得意なら、入学後の勉強にも向いている」と受け止めたくなるかもしれません。反対に、書くことが苦手な生徒は、試験でのつまずきを大学で学ぶ力の不足と重ねてしまうこともあるでしょう。けれども、授業で文章を書くこと、学んだ知識を試験で答えること、実技を行うことは、それぞれ異なる課題です。小論文と入学後をつなぐには、「成績」という言葉の中身を分ける必要があります。

総合型選抜や学校推薦型選抜の募集要項で小論文の文字を見たときも、試験の名前だけで測る力を決めることはできません。求める学生像や出題の意図には、その大学が文章を通して見たい力が表れます。研究の予測力と、大学がその試験を設ける目的を区別すると、小論文の点を受け止める範囲がはっきりします。

予測力は、入試の点と後の成績の結びつき

予測力とは、ここでは入試の点と入学後の成績がどれだけそろうかという意味です。作文の点が高い学生ほど、後の課題でも高い評価を受ける傾向があれば、作文の点は予測の材料になります。これは集団の中で見られる傾向で、個人の将来の成績を確定する仕組みとは異なります。試験の点と後の評価を比べる際には、何の点を使い、何を予測したかが研究の中心です。

たとえば、大学の成績を科目全体で平均した値と、授業で提出した文章の評価では、同じ学生について測っていても意味が違います。前者には異なる科目の結果が入り、後者は書かれた文章に評価の対象が絞られます。実技の評価なら、さらに別の課題を遂行する力が対象です。「大学で成功したか」という大きな言葉に置き換えると、測定した内容の違いが隠れてしまいます。

もう少し踏み込むと、作文の点だけで後の成績を見る場合と、過去の成績や別の試験の点も使う場合には、問いが変わります。後者で知りたいのは、すでにある材料に作文を足すことで、予測がどれだけよくなるかです。この追加分を「上乗せの予測力」と呼びます。作文と後の成績に関係があっても、過去の成績と重なる情報が多ければ、追加分は小さくなります。

この区別は、小論文を選考に使う意味を考えるうえでも役立ちます。入学後の成績を広く見通したいのか、それとも文章で考えを示す力を直接見たいのかで、試験に期待する役割が変わるからです。募集要項の「求める学生像」は求める力の方向を、「出題の意図」は課題を通して確かめたい内容を読む場所です。いずれも、統計的な予測の精度そのものを示す欄とは区別されます。

書く試験と、授業で書く文章との関係

Bridgemanらは、大学院入学のための試験であるGREの作文の点と、大学院の授業で書いた文章との関係を調べています。対象は大学院生217人で、両者の関係は実質的にも統計的にも意味があると報告されました。[2] 統計的に有意とは、関係がないという前提のもとでは、得られた結果を偶然だけで説明しにくいという判断です。実質的な意味もあるという記述は、統計上の判定だけにとどまらず、課題の評価に関わる関係として著者が捉えたことを示します。

この研究が題名の問いに近いのは、予測した先が実際の授業で書かれた文章だからです。入学前の作文と入学後の文章という、書くことを共有する課題が対応しています。大学院全体の成績を一括りにするより、どの場面の力と結びついたかが具体的です。作文の試験を、入学後の書く課題に向けた材料として読む根拠になります。

Shawらの研究では、SATという進学のための試験で、読解に比べてライティングの点が相対的に高い学生ほど、大学に入った年の成績と英語の授業の成績が高い傾向がありました。[1] 注目点は、単にライティングの点が高い集団を取り上げたのではなく、読解との相対的な違いを見たことです。読む力と書く力を同じものとして扱わず、その組み合わせから後の成績を捉えています。書く側の得意さが、学びの結果と結びつく場合を示す研究です。

ただしShawらは、本人の属性と過去の成績を考慮した後の関係は小さいとしています。[1] これは、最初に見えた成績の差のすべてを、書く力だけに帰すこととは違います。ここで比べられているのは、条件を考慮する前に見える関係と、考慮した後に残る関係です。研究の結果は、結びつきの有無に加え、何を考慮してもなお残るのかによって意味が定まります。

全体の成績には、作文以外の情報も重なる

Hatchettらは、米国のカウンセラー養成の大学院課程で、学部の成績とGREの点を使って入学後を予測しています。学部の成績とGREは、大学院の成績と総合試験の点を予測するのに役立ったと報告されました。[3] 作文の点も分析に含まれていますが、これは過去の成績や試験の各部分を含む検討です。結果の主語はそれらの材料であり、「作文だけが将来の成績をよく表した」と置き換えるのは、問いの範囲を変えることになります。

これに対して、Gilbertらが調べたのは米国南東部の公立医学部の入学者です。学部の成績と医学部入学のための試験であるMCATの他の科目を材料にしたうえで、作文の点を追加しました。その結果、医師国家試験の点について、予測の上乗せは見られませんでした。[4] すでに使っている材料だけで捉えられる部分と比べて、作文を加える利益があるかを問う研究です。

Evansらは、米国の医学部の学生434人について、複数の材料と成績の関係を同時に調べる回帰分析を行いました。全体の成績を最もよく予測したのは学部の成績で、MCATの作文の点は有意な予測因子になりませんでした。[5] 予測因子とは、後の結果を見通すために使う項目です。ここでの結果は、作文の点よりも、過去の学業全体の記録が後の学業全体とよく結びついていたという内容です。

これらを並べると、書く力の評価と全体の成績の予測は、競い合う評価方法というより、役割の異なる情報だと捉えられます。過去の成績は、すでに学んできた内容の結果を表します。作文の試験は、その試験で書いたものを評価の対象にします。材料の名前が増えたことと、後の成績を見通す新しい情報が増えたことは別であり、後者を問うのが上乗せの分析です。

実技や中退まで予測するかは別の問題

作文の試験について考えるとき、文章で考えを表す力から、将来の専門職としての働き方までを続けて想像しがちです。しかし、実際に専門的な仕事の課題を行う評価は、作文の評価とは対象が変わります。Koetjeの研究では、米国の大学の教員養成課程で、入学時の標準化された作文の点と教員の実技評価を比べました。標準化とは、一定の手順や基準に沿って試験を実施・評価することです。[6]

この研究では、作文の点と実技評価の成績に関係は見られませんでした。[6] 作文で測られた学術的な文章を書く力が、教員の実技評価の高さにも結びつくという予想に沿わない結果です。比較した先が授業の成績ではなく実技である点に、研究を読む意味があります。文章の得意さから実技での評価まで連続して推測する考え方に対して、別々に測る必要性を示しています。

Bridgemanらの論文でも、化学の課程の中退を予測したのは数学の点で、作文の点は予測しませんでした。[2] 同じ論文に書く課題との関係が報告されていても、別の結果を予測すると結論は変わります。授業でよい文章を書くことと、その課程に在籍し続けることには、それぞれの評価対象があります。研究で比べた結果の違いは、次のように整理できます。

実技や中退まで予測するかは別の問題
予測した先作文などの点との関係結果を読む焦点
大学院の授業で書いた文章GREの作文の点と有意な関係 [2]書く課題どうしの対応
大学に入った年の成績・英語の成績相対的にライティングが高い学生ほど高い傾向、調整後は小さい [1]読解との比較と過去の成績
医師国家試験の点他の材料に作文を足しても上乗せなし [4]新たな情報が加わるか
医学部の全体の成績作文は有意な予測因子にならず [5]学業全体を捉える材料
教員の実技評価入学時の作文と関係なし [6]書くことと実技の違い

今の答案を、将来の限界にしない

作文の点と後の文章の評価に結びつきがあっても、それは、書くのが苦手な生徒の進路を閉じるための結果ではありません。予測の研究は、実際に得られた点や成績の組み合わせから傾向を調べています。点が低かった人が、その後どのような授業や経験によって変わるかを確定する問いとは異なります。ある時点の答案への評価と、その人が将来学べる範囲は、別のものとして捉えることができます。

反対に、作文が得意であることを、あらゆる大学の課題に対応できる証拠と受け止めるのも範囲を広げすぎます。書く課題では得意さが結びつくとしても、実技や科目全体の成績を予測した研究では結果が異なっています。[2][5][6] 得意なことがあるという理解と、学業全体に必要な力をすでに備えているという理解の間には距離があります。予測の対象を具体的にすると、得意さを認めながら、その意味を大きくしすぎずに済みます。

また、総合型選抜で小論文を課すことと、小論文の点が大学の全成績を言い当てることは同じ主張ではありません。試験には、その場で文章を読み、考えを書いて示すという課題としての内容があります。予測力を検討する場合は、その評価と後の結果の対応を別途調べることになります。試験が存在するという事実だけで、将来を見通す精度まで示されたことにはなりません。

この点は、文章を書くこと自体への価値判断とも切り離されます。全体の成績に対する追加情報が小さかったとしても、それは書く活動に意味がないという結論とは異なります。問われたのは特定の材料を足したときの予測の変化であって、大学で文章を書く時間の価値ではないからです。予測するための材料としての評価と、学ぶ活動としての位置づけを分けると、研究結果を必要以上に悲観的にも楽観的にも読むことが減ります。

出願前は、求める学生像と出題の意図を照合する

出願前の具体的な確認は、募集要項の「求める学生像」と、小論文の「出題の意図」を照合することです。見るのは、入学後のどの学びと、試験で文章を書くことが結びつけられているかです。学びの方向が書かれた部分と、課題で見たい力が書かれた部分を対応させると、試験の役割が具体的になります。これは、研究の結果から個別の大学の方針を推測する作業とは区別されます。

たとえば、求める学生像に根拠をもとに考える姿勢があり、出題の意図に資料を読んで論じる力が示されていれば、両者は考えを文章にする点でつながります。これは欄どうしの読み方を示す例で、特定の大学の記載を写したものではありません。一方が学びへの姿勢、もう一方が文章の課題を説明している場合は、それぞれが何を対象にする言葉かによって対応が決まります。同じ表現があるかどうかだけより、何をする力として書かれているかが読み取りの中心です。

そのような対応が読み取れることと、入試の点から大学の成績を予測した分析があることも別です。求める学生像は大学が期待する方向を示し、研究は実際の点や成績の関係を示します。期待を掲げる文章を、後の成績を言い当てたという実証の結果として読むと、資料の役割が入れ替わります。小論文が入学後の学びとどうつながるかを考える際には、この役割の違いが残ります。

試験の点を見る視野は、将来全体の見通しから、具体的な学習課題との対応へ移ります。書く試験の点と、入学後に授業で書いた文章の評価に結びつきが見られたことは、研究が示した結果です。[2] 日本の年内入試の小論文が個々の学部の成績予測にどれだけ情報を加えるかは、ここでの結果とは別に確かめる必要があります。

よくある質問

自分の答案を先生に見てもらえば、予測力がわかりますか

答案を先生に読んでもらうときの評価と、研究でいう予測力は目的が異なります。答案への評価は、書かれた内容や表現について、その時点での課題を捉えるものです。予測力を調べるには、複数の受験者の試験結果と、その後に得られた成績を対応させた検討が必要になります。先生が今の文章の特徴を詳しく説明できることと、入学後の成績を統計的に見通せることは別です。

入学後の成績がまだ出ていない時期にも検証できますか

実際の入学後の成績との対応を調べるには、その成績が得られる時期までの記録が必要です。入学直後に書かせた課題を評価することはできますが、それはその時点の課題との対応を調べることになります。授業を経た後の成績や、後の実技の評価とは時間の位置づけが違います。早い時期の結果を扱う研究と、学習が進んだ後を扱う研究では、見ている範囲も変わります。

GREの点を出願書類に添えればよいのですか

ここでGREが登場するのは、作文の試験と大学院での学びを比べた研究の材料だからです。研究に使われた試験を、日本の年内入試で提出する資料として勧める意味はありません。論文で予測に役立ったことと、出願先がその資料を求めることは、別の話です。研究で使った道具の名前は結果の理解に必要な情報であり、受験者に追加の試験を課す指示ではありません。

この記事の限界

測定された結果は、授業で書いた文章、科目全体の成績、国家試験、教員の実技評価と異なり、それぞれの関係を同じ尺度で比べる構成にはなっていません。大学院や医学部、教員養成課程を含む研究には対象の偏りがあり、古い時期の入学者や特定の課程の結果も含まれるため、作文という共通点だけで現在の高校生全体に広げることには限界があります。

日本の年内入試を直接扱う研究は含まれておらず、予測力の説明だけで個別の出願判断を代行することはできません。募集要項は年度ごとに改められるため、志望先が求める力については、最新の募集要項と大学の発表を優先して把握することになります。

参考文献

  1. Shaw ほか. Discrepant SAT Critical Reading and Writing Scores: Implications for College Performance. Educational Assessment. 2011;16(3):145-163.
  2. Bridgeman ほか. Can the GRE predict valued outcomes? Dropout and writing skill. PLoS One. 2022;17(6):e0268738.
  3. Hatchett ほか. Re-Examination of Traditional Admissions Criteria in Predicting Academic Success in a Counselor Education Program. International Journal for the Advancement of Counselling. 2017;39(1):70-81.
  4. Gilbert ほか. Predictive validity of the Medical College Admissions Test Writing Sample for the United States medical licensing examination steps 1 and 2. Advances in Health Sciences Education. 2002;7(3):191-200.
  5. Evans ほか. Does the medical college admission test predict global academic performance in osteopathic medical school? The Journal of the American Osteopathic Association. 2007;107(4):157-162.
  6. Koetje. Does Standardized Writing Predict Teacher Performance? No Relationship Found between Standardized Assessments for State Certification. Teacher Education Quarterly. 2022.

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よくある質問

自分の答案を先生に見てもらえば、予測力がわかりますか

答案を先生に読んでもらうときの評価と、研究でいう予測力は目的が異なります。答案への評価は、書かれた内容や表現について、その時点での課題を捉えるものです。予測力を調べるには、複数の受験者の試験結果と、その後に得られた成績を対応させた検討が必要になります。先生が今の文章の特徴を詳しく説明できることと、入学後の成績を統計的に見通せることは別です。

入学後の成績がまだ出ていない時期にも検証できますか

実際の入学後の成績との対応を調べるには、その成績が得られる時期までの記録が必要です。入学直後に書かせた課題を評価することはできますが、それはその時点の課題との対応を調べることになります。授業を経た後の成績や、後の実技の評価とは時間の位置づけが違います。早い時期の結果を扱う研究と、学習が進んだ後を扱う研究では、見ている範囲も変わります。

GREの点を出願書類に添えればよいのですか

ここでGREが登場するのは、作文の試験と大学院での学びを比べた研究の材料だからです。研究に使われた試験を、日本の年内入試で提出する資料として勧める意味はありません。論文で予測に役立ったことと、出願先がその資料を求めることは、別の話です。研究で使った道具の名前は結果の理解に必要な情報であり、受験者に追加の試験を課す指示ではありません。