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評定平均と学習成績概評の決まり——調査書記入上の注意事項で読む計算方法とA〜E段階

最終更新:2026-10-09

「評定平均」は、文部科学省の様式では「全体の学習成績の状況」と呼ばれます。教科ごとの平均を平均したものではなく、すべての科目の評定を合計して、評定の数で割った値です。計算の決まりと、A〜Eの学習成績概評への区分を、要項の注意事項のとおりに読みます。

資料の年度:2027年度(令和9年度)入試/確認日:2026-10-09

「評定平均」は調査書の「全体の学習成績の状況」のこと

高校生や保護者が「評定平均」と呼ぶ数値は、大学入試の調査書では「全体の学習成績の状況」という欄の値です。調査書の様式(文部科学省の実施要項の「別紙様式1」)の表の面には、「3.各教科の学習成績の状況」の欄の右に「全体の学習成績の状況」の枠があり、その下に「4.学習成績概評」と「成績段階別人数」の欄が続きます(文部科学省, 2026a, 16頁)。様式全体の欄の読み方は調査書の様式を欄ごとに読むにまとめました。

この3つの数値の作り方は、実施要項の末尾にある「調査書記入上の注意事項等について」(以下、注意事項)の8と9に書かれています(文部科学省, 2026a, 19〜21頁)。このページはその2項目を、計算例と例外まで含めて読みます。対象は2027年度入試(令和9年度)の要項です。

先に関係を整理しておきます。

「評定平均」は調査書の「全体の学習成績の状況」のこと
数値調査書の欄何から作るか根拠
評定2.各教科・科目等の学習の記録科目ごと・学年ごとに5段階で記入注意事項7(3)、19頁
各教科の学習成績の状況3.各教科の学習成績の状況その教科の評定の合計÷その教科の評定数注意事項8(2)、19頁
全体の学習成績の状況3.の右の「全体の学習成績の状況」すべての評定の合計÷すべての評定数注意事項8(4)、20頁
学習成績概評4.学習成績概評全体の学習成績の状況をA〜Eに区分注意事項9(1)、21頁
成績段階別人数4.の右の「成績段階別人数」同じ学年の生徒が各段階に何人いるか注意事項9(2)、21頁

出発点は、科目ごとの評定(5段階)

計算のもとになる評定は、調査書の「2.各教科・科目等の学習の記録」の欄に、5・4・3・2・1の5段階で書かれます(文部科学省, 2026a, 注意事項7(3)、19頁)。調査書は指導要録にもとづいて作るので、評定の中身は指導要録の決まりで決まります。

高等学校の指導要録に記載する事項を定めた文部科学省の通知の別紙3は、各教科・科目の評定を次のように区別すると定めています(文部科学省, 2019b, 〔2〕1(2))。

出発点は、科目ごとの評定(5段階)
評定判断される状況(別紙3の文言)
5「十分満足できるもののうち,特に程度が高い」状況
4「十分満足できる」状況
3「おおむね満足できる」状況
2「努力を要する」状況
1「努力を要すると判断されるもののうち,特に程度が低い」状況

基準になるのは、高等学校学習指導要領等に示す各教科・科目の目標にもとづいて「学校が生徒や地域の実態に即して定めた当該教科・科目の目標や内容」で、その実現状況を総括的に評価します。評定の適切な決定方法等は「各学校において定める」とされています(文部科学省, 2019b, 〔2〕1(2))。単位の修得を認めない場合は、1にあたる「努力を要すると判断されるもののうち,特に程度が低い」のように評定を行います(同, 〔2〕1(4))。

ここから分かるのは、同じ「4」でも、学校が定めた目標に照らした判断であって、全国共通の試験の点数ではないということです。文部科学省の協議会資料は、各教科の評価は学習指導要領に示す目標や内容に照らして学習状況を評価する「目標準拠評価」であり、集団内での相対的な位置付けを評価する「いわゆる相対評価とは異なる」と説明しています(文部科学省, 2026f, 12頁)。

観点別学習状況の評価と評定の関係

高校の評定には、もう1つの評価が重なっています。観点別学習状況の評価です。平成31年3月29日の文部科学省の通知は、評価の観点を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点に整理し、高等学校の各教科・科目について、観点別学習状況の評価と、それらを総括的に捉える評定の両方を、目標に準拠した評価として行うことを明確にしました(文部科学省, 2019a, 記2(1)・(4))。指導要録の「各教科・科目等の学習の記録」には、各教科・科目の観点別学習状況も書くことになりました(同, 記3(2))。

観点別学習状況は、観点ごとに「十分満足できる」をA、「おおむね満足できる」をB、「努力を要する」をCとして記入します(文部科学省, 2019b, 〔2〕1(1))。協議会資料は、観点別学習状況の評価を「観点ごとに評価し、生徒の学習状況を分析的に捉えるもの」、評定を「観点別学習状況の評価の結果を総括するもの」と位置づけ、指導要録の参考様式に「観点別学習状況」の欄を新設した例(第1学年の欄に「AAA」「5」「2」と書く図)を示しています(文部科学省, 2026f, 10頁・12頁)。

一方、大学入試の調査書の「2.各教科・科目等の学習の記録」の欄には、評定と修得単位数の計の枠はありますが、観点別学習状況の枠はありません(文部科学省, 2026a, 16頁)。調査書に載るのは、観点別の評価を総括した後の評定だけです。平成31年の通知は、学習評価は学習や指導の改善を目的とするもので、入学者選抜に用いることを一義的な目的として行われるものではないとしたうえで、大学入学者選抜について、調査書での観点別学習状況の評価の活用を含めて必要な情報を整理して検討するとしていました(文部科学省, 2019a, 記5・5(2))。文部科学省は「大学入学者選抜改革推進委託事業(観点別学習状況の評価の活用)」を令和4年度から令和6年度に行っています(文部科学省, 2026g)。2027年度入試の様式の時点では、観点別の欄は調査書に入っていません。

各教科の学習成績の状況の計算

注意事項8(2)は、各教科の学習成績の状況を「各教科ごとに各科目の評定の合計数を各教科の評定数で除した数値(小数点以下第2位を四捨五入)」と定めています(文部科学省, 2026a, 19頁)。要項の計算例は理科です。

各教科の学習成績の状況の計算
科目評定(学年)修得単位数の計
物理基礎3(第1学年)2
化学基礎3(第2学年)2
生物基礎5(第3学年)2

評定の合計数は3+3+5=11、評定数は3なので、11÷3=3.66…。小数点以下第2位を四捨五入して、この人の理科の学習成績の状況は「3.7」になります(文部科学省, 2026a, 注意事項8(2)、19〜20頁)。ここで割る数は「評定数」で、修得単位数ではありません。2単位の科目も4単位の科目も、評定1つとして数えます。

教科の書き方にも決まりがあります。各学科に共通する教科と、主として専門学科で開設される教科に同じ名前がある場合は、教科名に「共」「専」を併記します(同, 注意事項8(1)、19頁)。様式の「3.」の欄に「共・家庭」「共・情報」とあるのはこのためです(同, 16頁)。様式に例示されていない教科を履修したときは、空欄を使って書き、足りなければ紙を貼り足します(同, 注意事項8(2)、19頁)。

全体の学習成績の状況(いわゆる評定平均)の計算

注意事項8(4)は、全体の学習成績の状況を「すべての教科・科目の評定の合計数をすべての評定数で除した数値(小数点以下第2位を四捨五入)」と定めています(文部科学省, 2026a, 20頁)。要項の計算例は、国語6つ、地理歴史4つ、保健体育5つ、家庭2つなど、評定数は全部で31、評定の合計数は120です。120÷31=3.87…を四捨五入して、全体の学習成績の状況は「3.9」になります(同, 20頁)。

この計算例には注が付いています。「保健体育のように、複数学年にわたって履修する科目については、各学年ごとの評定数をそれぞれ1科目分として取り扱い計算すること」(同, 20頁)。例では体育が第1〜第3学年に4・3・4、保健が第1・第2学年に4・5と書かれ、保健体育の評定数は5と数えられています。何年も続けて履修する科目は、学年の数だけ評定があるということです。同じ表では、国語は「現代の国語」「言語文化」「論理国語」「古典探究」の4科目ですが、論理国語(第2学年3・第3学年4)と古典探究(第2学年4・第3学年5)が2学年にわたるので、国語の評定数は6と数えられています。家庭総合も第1・第2学年の5・5で評定数2です(同, 20頁)。

大事なのは、全体の学習成績の状況が「教科ごとの値の平均」ではないことです。仮の数字で比べます(要項の例ではなく、計算の決まりを示すための例です)。

全体の学習成績の状況(いわゆる評定平均)の計算
教科A教科B全体の学習成績の状況(決まりどおり)教科の値の平均(誤り)
評定5(1科目)3・3・3(3科目)(5+3+3+3)÷4=3.5(5.0+3.0)÷2=4.0

決まりどおりに計算すると、評定の数が多い教科ほど全体の値への影響が大きくなります。教科ごとの平均をさらに平均すると、評定が1つしかない教科の重みが大きくなりすぎます。

小数点以下の扱い

各教科・全体のどちらも「小数点以下第2位を四捨五入」です(文部科学省, 2026a, 注意事項8(2)・(4)、19〜20頁)。調査書に書かれる値は小数点以下第1位までになります。切り捨てではないので、たとえば評定の合計を評定数で割った値が3.45以上3.55未満なら「3.5」と書かれます(計算の決まりからの例)。

この扱いは、出願資格の読み方に関わります。調査書に書かれるのは小数点以下第1位までの値です。募集要項に「全体の学習成績の状況が3.5以上」とある場合に、その値で判定するのかどうかは、各大学の募集要項の文言で確かめます。12大学の要項での書き方は評定平均の出願要件に一覧にしています。

計算に入れないもの・別に扱うもの

注意事項は、いくつかの場合の扱いを定めています(文部科学省, 2026a, 注意事項7・8・16、18〜22頁)。

学習成績概評——A〜Eの5段階

注意事項9(1)は、学習成績概評を次のように定めています。高校の同一学年の生徒全員(教育課程の異なる類型がある場合は類型別、専門学科の場合は科別)の3か年間(定時制・通信制で修業年限が3年を超える場合はその期間)の全体の学習成績の状況を、次の区分でA〜Eの5段階に分け、その生徒の属する段階を書く(文部科学省, 2026a, 21頁)。

注意事項9(1)は、学習成績概評を次のように定めています
全体の学習成績の状況学習成績概評
5.0〜4.3A
4.2〜3.5B
3.4〜2.7C
2.6〜1.9D
1.8以下E

全体の学習成績の状況は小数点以下第1位までの値なので、区分の境目に隙間はありません。4.3ならA、4.2ならBです。区分は数値で決まるので、学年の中で上から何割という相対的な決め方ではありません。

注意事項9(2)は、「成績段階別人数」の欄に、各段階に属する人数とその合計を「A○○人、B○○人、C○○人、D○○人、E○○人、合計○○人」のように書くと定めています。類型別や科別に分けて書いた場合は、「合計」の欄の( )内に同一学年の生徒の合計数を書きます(文部科学省, 2026a, 21頁)。様式でも、合計の欄は「( 人)」と「人」の2段になっています(同, 16頁)。この欄から、大学は、その生徒の段階が同じ学年(または類型・科)の分布の中でどこにあるかを読み取れます。

学習成績概評の「Ⓐ」は、令和7年度の実施要項から廃止されました。Q&Aは、卒業見込みの人の調査書にⒶが付いていた場合はAとして扱うこと、過年度卒業生のⒶ付きの調査書は卒業見込みの人との間で公平な判定となるよう留意することを求めています(文部科学省, 2026c, Q調-4)。

大学の出願要件での使われ方

実施要項は、大学が「重要と判断する教科・科目を指定し、単位修得や一定水準以上の具体的な評定の獲得を出願要件等として求めることができる」と定めています(文部科学省, 2026a, 第5の2(2)、4頁)。同時に、調査書の「3.各教科の学習成績の状況」だけでなく、他の記載事項も有効に活用するよう求めています(同, 第5の2(1)、4頁)。

募集要項の条件は、次のような形で現れます。

どの形をとるか、いつの時点の成績で判定するかは、大学・学部・方式ごとに違います。要項が定めているのは、卒業見込みの人の最終学年について「直近の成績を総合し、高等学校として判定した成績」を書くことまでです(文部科学省, 2026a, 注意事項7(4)、19頁)。「3年1学期まで」といった時点は、大学の募集要項の側に書かれます。12大学の例は評定平均の出願要件の「いつまでの成績か」にあります。

よくある取り違え

このページで扱わないこと

出典

よくある質問

評定平均はどうやって計算しますか。

調査書の「全体の学習成績の状況」は、すべての教科・科目の評定の合計数を、すべての評定数で割って出します。小数点以下第2位を四捨五入し、小数点以下第1位までの数値で書きます。要項の計算例では、評定の合計120を評定数31で割った3.87…が「3.9」になります(文部科学省, 2026a, 注意事項8(4)、20頁)。

学習成績概評のA段階は何点からですか。

全体の学習成績の状況が5.0〜4.3ならA段階です。4.2〜3.5がB、3.4〜2.7がC、2.6〜1.9がD、1.8以下がEです(文部科学省, 2026a, 注意事項9(1)、21頁)。

評定平均は、教科ごとの平均をさらに平均したものですか。

違います。全体の学習成績の状況は、教科を区別せず、すべての科目の評定の合計を評定の数で割ります。評定の数が多い教科ほど、全体の値に与える影響が大きくなります(文部科学省, 2026a, 注意事項8(4)、20頁)。

保健体育のように何年も続けて履修した科目は、1つと数えますか。

学年ごとの評定をそれぞれ1科目分として数えます。要項の計算例の注に「各学年ごとの評定数をそれぞれ1科目分として取り扱い計算すること」とあります(文部科学省, 2026a, 注意事項8(4)の注、20頁)。

学習成績概評のⒶはまだありますか。

令和7年度の実施要項で廃止されました。卒業見込みの人の調査書にⒶが付いていた場合、大学はAとして扱うようQ&Aが求めています(文部科学省, 2026c, Q調-4)。

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