第一志望でない大学に年内入試で進むと後悔するか|進学先の選び方と満足度の研究
第一志望ではない大学に年内入試で進んだら、あとで選び直したくなるのでしょうか。第一志望でなかったことだけで後悔が決まるわけではなく、入学直後の思い入れと、入学後の経験に対する満足は分けて考える必要があります。 憧れていた進学先を諦める寂しさと、これから通う大学で何を学べるかへの期待は、同時にあっても矛盾しません。今の気持ちをそのまま将来の大学生活の評価にするところに、この問いの難しさがあります。
- 進学先にどれほど思い入れがあるかを調べたOkunらは、結論で「他の選択肢のよさを高く評価する」学生への積極的な助言の必要性に触れています。
- Shafiqらは米国の家計調査を使い、大卒者が進学をどう振り返っているかを調べました。
- 選んだ結果の条件と、選んだ本人の満足が一致しないことを示す例に、Iyengarらの職選びの研究があります。
- Nguyenらは米国で、第一志望に入れなかったアジア系の学生が不利益を受けるという主張を、データで検討しました。
第一志望ではない大学に年内入試で進んだら、あとで選び直したくなるのでしょうか。第一志望でなかったことだけで後悔が決まるわけではなく、入学直後の思い入れと、入学後の経験に対する満足は分けて考える必要があります。 憧れていた進学先を諦める寂しさと、これから通う大学で何を学べるかへの期待は、同時にあっても矛盾しません。今の気持ちをそのまま将来の大学生活の評価にするところに、この問いの難しさがあります。
放課後に募集要項を開き、出願先の候補を前にすると、進路を早く決める安心と、別の可能性を残したい気持ちが並ぶことがあります。そこでは、入学する意思を求める出願条件と、本人の中にある志望順位が重なって見えがちです。しかし、書類に書かれた条件を満たすかという判断と、その大学で過ごすことに納得できるかという判断は、それぞれ違う問いです。後悔を扱う研究も、何を後悔したのか、いつ尋ねたのかによって意味が変わります。
「第一志望じゃない大学」と感じることと入学直後の思い入れ
進学先にどれほど思い入れがあるかを調べたOkunらは、結論で「他の選択肢のよさを高く評価する」学生への積極的な助言の必要性に触れています。[1] ここで扱われているのは、進学先の順位だけでなく、選ばなかった進路を今どう見ているかという感覚です。同じ大学へ進む学生でも、ほかの進路に未練がある場合と、その大学での学びに気持ちが向いている場合では、出発時点の思い入れが違うという見方になります。この引用は、学生の気持ちを大学側が支援の手掛かりとして捉える文脈にあります。
対象は大きな州立大学に入った1166人の学生で、入学直後に質問した調査です。その大学を志望の上位に置いていた学生ほど大学への思い入れが強く、他の選択肢がよかったと考える学生ほど思い入れが弱い傾向がありました。[1] これは相関、つまり別々の事柄が一緒に動く関係を調べたものです。志望順位を変える操作をして気持ちの変化を比べた実験ではなく、実際に大学をやめたかを追った研究でもありません。
そのため、この結果の中心は「入る前の希望が、入ったばかりの気持ちに表れていた」という点です。希望と異なる進路への戸惑いがあることを、すぐに本人の意欲不足と読む必要はありません。一方で、入学直後に強い思い入れがあることと、卒業まで満足が続くことも同じではありません。志望順位は出発時点の気持ちを理解する材料ですが、それ以降の経験まで含んだ大学生活の評価とは時間の幅が異なります。
大学への後悔と専攻への後悔は別の問い
Shafiqらは米国の家計調査を使い、大卒者が進学をどう振り返っているかを調べました。大学の選び方を後悔した人は24%、専攻の選び方を後悔した人は39%でした。[2] 専攻とは、大学で中心に学ぶ専門分野のことです。この違いは、大学名の選択と、学ぶ分野の選択が、振り返る際には別の評価になりうることを示しています。
この結果を読むときには、「第一志望ではない大学に進んだ人のうち24%」と読み替えないことが大切です。ここでの割合は、第一志望だったかどうかで分けた数字ではなく、大卒者がそれぞれの選択について答えた割合です。また、大学への後悔と専攻への後悔は回答の対象が違うため、足して後悔した人の総割合を作る数字でもありません。研究の問いを並べると、ひとくちに後悔や満足と呼んでいても、見ているものが違うとわかります。
| 調べたこと | 結果の中心 | 結果が指す範囲 |
|---|---|---|
| 入学直後の大学への思い入れ | 志望の上位に置いていた学生ほど強かった [1] | 入学して間もない時期の気持ち |
| 大学の選び方への後悔 | 24%が後悔していた [2] | 大卒者による大学選択の振り返り |
| 専攻の選び方への後悔 | 39%が後悔していた [2] | 大卒者による専門分野の振り返り |
| もう一度同じ大学を選ぶ気持ち | 入学後の満足度と結びついていた [5] | 在学中の経験を含んだ選び直しの意向 |
進学先の名前への心残りと、学びたい内容への不満では、迷いの中身が違います。たとえば、希望した大学とは違っても、関心のある分野を学ぶことへの期待は残る場合があります。反対に、希望していた大学でも、専門分野の選択には迷うという組み合わせも考えられます。自分の迷いを言葉にするときは、大学そのものへの心残りなのか、学ぶ分野への懸念なのかを分けて書くと、後悔という大きな言葉の中身を捉えやすくなります。
最もよい条件を選べても満足が高いとは限らない
選んだ結果の条件と、選んだ本人の満足が一致しないことを示す例に、Iyengarらの職選びの研究があります。最終学年の学生を就職活動の間に追うと、最善を求める傾向が強い学生は、その傾向が弱い学生より初任給が20%高い職に就いていました。しかし、得た職への満足は低く、就職活動中の気分も悪かったと報告されています。[3] 外から比較しやすい条件がよくても、本人の受け止めまで同じ方向になるとは限らないという結果です。
ここでいう最善を求める傾向は、単に努力することや、目標を高く持つこととは違います。選択の際に最もよいものを求める姿勢を指しており、研究はその姿勢と結果や満足の関係を扱っています。大学選びに引き寄せて考えるなら、誰から見ても最もよい進路を見つけることと、自分が選んだ進路をどう受け止めるかは、別の課題だという読み方になります。ただし、職選びを追った昔の研究なので、志望大学を諦めるほど満足が高くなるという進学の助言には使えません。
第一志望という順位には、学びたいこと、周囲からの見られ方、これまでの努力への思いなど、異なる意味が入りえます。それらをすべて順位だけで表すと、順位が下がったことと、自分の大切にしていたものを失うことが同じに見えます。たとえば、希望する専門分野が候補に残っている場合と、分野そのものが候補から外れる場合では、同じ志望順位の変更でも内容が異なります。選択の結果を評価する軸は、上位か下位かだけでは尽くせないのです。
また、年内に決める安心感は、入学後に学ぶ内容への満足とは時間の違う評価です。受験が終わることへの気持ちと、選んだ大学への気持ちは、言葉では似ていても対象が違います。職選びの結果は、このように条件のよさと満足の関係を考える材料になります。早く決まることを望む気持ちも、まだ選択肢を残したい気持ちも、それだけで進学後の充実を表す指標になるわけではありません。
第一志望に進んだかだけでは説明しきれない結果
Nguyenらは米国で、第一志望に入れなかったアジア系の学生が不利益を受けるという主張を、データで検討しました。第一志望の大学に行ったかどうかによる学生の結果の差は、ほとんど見られませんでした。[4] ここで読めるのは、第一志望に進まなかったことと悪い結果を単純に結びつける見方に対する反証です。対象はアジア系の学生に限られ、観察による比較なので、進学先を無作為に割り当てた結果とは違います。
一方、Schreinerの研究では、在学中の満足度が「もう一度選べるなら同じ大学を選ぶか」という回答の違いを、さらに35%〜37%説明していました。大学の雰囲気への満足は、翌年も在籍を続けるかという行動とも結びついていました。[5] この割合は、学生のうちその人数が満足したという意味ではなく、回答に見られる違いを分析上どれだけ説明したかを表します。入学後の満足は、気持ちの面だけでなく、その後の在籍とも関係する材料として扱われています。
これらの研究は、入学した時点の志望順位をそのまま最終評価にする見方を問い直します。Okunらが捉えた入学直後の思い入れと、Schreinerが捉えた在学中の満足は、どちらも大学に対する気持ちですが、経験した期間が異なります。[1][5] 入学直後には選ばなかった進路との比較が前面に出ても、在学中には実際に過ごした大学への評価が加わります。満足を考える際には、入学時の順位に加えて、入学後に経験する大学の雰囲気も視野に入るということです。
なお、Schreinerの研究は入学時の志望順位を調べたものではなく、Nguyenらの結果も満足度の差として具体的な大きさを示すものではありません。したがって、志望順位と大学生活の経験のどちらが何倍重要か、といった比較にはなっていません。両者を同じ物差しで測ったかのように並べず、どの問いを扱った研究なのかを保ったまま読む必要があります。それでも、第一志望かどうかだけで入学後の生活を一括して予想するには、見落とす部分があると捉えられます。
本命でなかった学生への支援と、本人に任せきれない部分
入学後の経験に目を向けた具体例として、Taylorらによる生物医学科での取り組みがあります。他の学科が本命だった学生に、メールの便りやテーマ別の昼食会という支援を加え、その後の様子を評価しました。成績や学位への満足の指標は直接には上がりませんでしたが、学科や大学に在籍し続ける割合は上がりました。[6] 同じ取り組みの中でも、成績、満足、在籍という結果はそろって動いていません。
この研究は、支援を受けなかった学生の群と比べておらず、ある大学の取り組みの評価です。そのため、メールや昼食会だけが変化の原因だったと切り分ける作りにはなっていません。注目できるのは、本命の学科に進めなかった学生を、大学側が働きかける対象として捉えた点です。入学後の適応を本人の気持ちの切り替えだけに任せず、大学との接点を作る取り組みとして位置づけています。
進路に納得できない気持ちを持つ学生に対して、「自分で選んだのだから満足するはずだ」と考えると、入学後の環境が視野から外れます。逆に、在籍を続けていることだけを見て、迷いがなくなったと読むのも、異なる指標を混同することになります。Taylorらの結果で満足と在籍が別々に動いたことは、その違いをよく表しています。[6] 大学に残ること、成績がよくなること、その学びに満足することは、学生の経験を表す別々の面です。
この見方は、入学前の時点で不安が残る人を、一律にその大学に向かないと決める考え方とも異なります。反対に、学びたい分野とのずれなど具体的な懸念がある場合に、いつか慣れるという期待だけで片づける考え方とも異なります。気持ちには入学後の経験が関わり、経験には大学側の働きかけも含まれます。本人がどれほど前向きかだけでは、満足や在籍の違いを十分に捉えられません。
出願前は意思を求める記載と締切を照合する
総合型選抜や学校推薦型選抜の募集要項を読むとき、この話題に直接関係するのは、出願資格の「専願」「入学確約」の記載と、入学手続の締切の時期です。出願資格の欄は出願時に求められる条件を示し、入学手続の欄は手続の期限を示す役割があります。志望順位の迷いは本人の中にあるものですが、出願に伴って求められる意思や行動は、募集要項の記載に沿って判断することになります。満足度の研究と、書類上の条件では、判断する対象が違います。
実際の読み方としては、出願資格の該当する文と入学手続の締切を同じ紙に抜き出し、求められる意思と時期を照合する方法があります。大学ごとの制度名だけを横に並べるより、どの文に何が書かれているかを残す方が、条件の違いを捉えやすくなります。ここで確認するのは、いつまでにどのような判断が必要になるかという手続の枠です。将来の満足度を予測して空欄を埋める作業とは性質が違います。
研究から見えるのは、第一志望でないことに伴う入学直後の思い入れの弱さと、その後の大学への評価を同一視しない見方です。過去の希望を大切にすることと、進学後に出会う経験を評価することは、両立する考え方です。生徒にとっては、今の志望順位が将来の大学生活の価値を先取りして決めるわけではないという意味があります。保護者にとっては、進学先が決まったかだけでなく、そこで本人がどのような経験をしているかも、納得を理解する材料になるという意味があります。
よくある質問
入学前に気持ちが揺れたら、出願時の考えが間違っていたのですか
入学前の気持ちの変化と、出願時の判断の妥当さは別の問いです。その時点で知っていた内容に沿って選んだ後でも、新しく知ることや、実際の進学が近づくことで受け止めが変わる場合は考えられます。後から違う気持ちになったという事実だけで、以前の自分が不誠実だったということにはなりません。選択を振り返ることと、選んだ本人を責めることは区別できます。
友人が後悔した大学なら、自分も同じように後悔しますか
友人の話は、その人が経験した大学生活を知る手掛かりです。同じ大学について話していても、何を期待し、どの経験を評価しているかが違えば、話の意味も変わります。その人の感想を否定せずに受け止めることと、自分にも同じ結果が起こると予想することは別です。個人の経験談には詳しい経緯がある一方、同じ条件の人がどのくらい同じ感想を持つかという割合までは含まれていません。
大学をやめた人の後悔も大卒者の数字に含まれますか
大卒者を対象としたShafiqらの数字は、大学を卒業した人が選択を振り返ったものです。[2] 大学に入った後、卒業せずに離れた人全体の受け止めを表す数字ではありません。進学を経験した人という広い呼び方に置き換えると、誰の回答だったのかが曖昧になります。この違いは、大学の選び方への後悔を読む際に、割合の大小と同じくらい重要な対象の違いです。
この記事の限界
適用範囲は、米国の大卒者やアジア系の学生、海外の大学の在学生、就職活動中の学生を対象とする研究であり、日本の年内入試で第一志望以外に進む生徒の将来の後悔を直接見積もるものではありません。入学直後の気持ち、在学中の満足、卒業後の振り返りという時期の違いに加え、古い職選びの研究や、比較する群のない学科の取り組みも含まれています。
選び方と満足についての知見は、本人が学びたい内容や生活条件を含む個別の出願判断を置き換えるものではありません。出願資格と入学手続は年度ごとに変わるため、実際に意思決定する際の条件は、最新の募集要項と大学の発表を優先して読む扱いです。
参考文献
- Okun ほか. Quality of Alternatives, Institutional Preference, and Institutional Commitment among First-Year College Students. Educational Psychology. 2009;29(4):371-383.
- Shafiq ほか. Perceived Returns and Regrets among College Graduates. Education Economics. 2024;32(5):686-702.
- Iyengar ほか. Doing better but feeling worse. Looking for the "best" job undermines satisfaction. Psychological Science. 2006;17(2):143-150.
- Nguyen ほか. Asian Americans, Admissions, and College Choice: An Empirical Test of Claims of Harm Used in Federal Investigations. Educational Researcher. 2020;49(8):579-594.
- Schreiner. The Contribution of Student Satisfaction to Persistence. Journal of College Student Retention: Research, Theory & Practice. 2013;15(1):73-111.
- Taylor ほか. Supporting Biomedical Students Struggling with Second-Choice-Syndrome to Thrive Rather than Just Survive First Year. Journal of College Student Retention: Research, Theory & Practice. 2018;20(2):176-196.
要項の一文を、あなたの出願書類の一文に変えるところまで付き合う
- 向く人: 要項を読んでも、自分の評定と英検で出せる方式を絞り切れない高校生
- 向く人: 志望理由書と小論文を、出願の数か月前から一対一で書き直していきたい人
- 向かない人: 志望理由書や活動報告書を代わりに書いてほしい人
- 向かない人: 要項を自分で読まずに、受かるかどうかの見込みだけを知りたい人
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よくある質問
入学前に気持ちが揺れたら、出願時の考えが間違っていたのですか
入学前の気持ちの変化と、出願時の判断の妥当さは別の問いです。その時点で知っていた内容に沿って選んだ後でも、新しく知ることや、実際の進学が近づくことで受け止めが変わる場合は考えられます。後から違う気持ちになったという事実だけで、以前の自分が不誠実だったということにはなりません。選択を振り返ることと、選んだ本人を責めることは区別できます。
友人が後悔した大学なら、自分も同じように後悔しますか
友人の話は、その人が経験した大学生活を知る手掛かりです。同じ大学について話していても、何を期待し、どの経験を評価しているかが違えば、話の意味も変わります。その人の感想を否定せずに受け止めることと、自分にも同じ結果が起こると予想することは別です。個人の経験談には詳しい経緯がある一方、同じ条件の人がどのくらい同じ感想を持つかという割合までは含まれていません。
大学をやめた人の後悔も大卒者の数字に含まれますか
大卒者を対象としたShafiqらの数字は、大学を卒業した人が選択を振り返ったものです。[2] 大学に入った後、卒業せずに離れた人全体の受け止めを表す数字ではありません。進学を経験した人という広い呼び方に置き換えると、誰の回答だったのかが曖昧になります。この違いは、大学の選び方への後悔を読む際に、割合の大小と同じくらい重要な対象の違いです。