総合型選抜の資料室運営: 武蔵野個別指導塾 武蔵境本校

試験当日の病気・事故・痴漢被害と受験機会——共通テストと大学の試験の決まり

最終更新:2026-10-09

共通テストには、病気・けが・試験場に向かう途中の事故などで受けられなかった人のための追試験(2027年1月23日・24日)があります。一方、各大学の試験での振替や時間の繰り下げは、実施要項が大学に「柔軟な対応」を求めている事項で、扱いは大学ごとに決まります。2つの層を分けて読みます。

資料の年度:2027年度(令和9年度)入試/確認日:2026-10-09

2つの層を分けて読む

試験当日の病気・けが・事故・痴漢被害で受験の機会がどうなるかは、どの試験かによって決まり方が違います。

2つの層を分けて読む
試験決めるところ決まりの性格
大学入学共通テスト大学入試センター受験案内に追試験・再試験の対象と日程が書かれ、全国で同じ扱い
各大学の試験(総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜の面接・小論文・教科・科目に係る個別テストなど)各大学実施要項が大学に配慮や柔軟な対応を求めている。追試験や振替を設けるか、どう申し出るかは大学ごとに募集要項などで決まる

実施要項は、大学が守る共通の決まりです。その中で、当日の受験機会に関わる部分は「配慮すること」「望ましい」「努めて」といった書き方になっていて、追試験や振替の具体的な仕組みは各大学に任されています。このページは、その文言をそのまま並べ、共通テストの決まりと比べられるようにしたものです。

ここに書くのは2027年度入試(令和9年度)の決まりです。受験生にとって大切なのは、志望大学の募集要項と「受験上の注意」に何が書かれているかで、それは大学ごとに違います。

共通テストの追試験と再試験

令和9年度共通テストの本試験は2027年1月16日(土)・17日(日)、追試験は1月23日(土)・24日(日)です(文部科学省, 2026a, 第4の1、3〜4頁)。受験案内は、追試験の対象者を次の3つとしています(大学入試センター, 2026a, 53頁)。

  1. 疾病(インフルエンザ・ノロウイルス・新型コロナウイルス・風邪等を含む)・負傷により試験を受験できない者
  2. 試験場に向かう途中の事故により試験を受験できない者
  3. その他やむを得ない事由(両親等の危篤・死亡、自宅の火災等)により試験を受験できない者

追試験の決まりは次のとおりです(同, 53頁)。

再試験は別のものです。雪・地震などの災害、試験実施上の事故、その他の事情で本試験が所定の期日に実施できなかったり完了しなかったりした場合だけに行い、原則として所定の期日までに受験希望を申し出た人に許可されます。日程は追試験と同じ1月23日・24日で、当日の実施ができないときはその後できるだけ速やかに行います(同, 53頁)。

共通テストの当日の決まり——感染症・体調不良・遅刻

受験案内の「受験に当たっての主な注意事項」には、当日の体調について次のように書かれています。

「インフルエンザ,ノロウイルス,新型コロナウイルス等の感染症に罹患し,治癒していない場合は,他の受験者や監督者等に感染するおそれがあるため受験できません。追試験の受験を申請してください。」(大学入試センター, 2026a, 48頁)

続けて、試験当日に発熱・せき等の症状があるなど体調が万全でない場合は、無理して受験せず追試験の受験を申請するよう書かれています(同, 48頁)。体調不良やトイレでやむを得ず退室したいときは、手を挙げて監督者に知らせて指示に従い、一時退室が認められても休養室などでの受験はできません(同, 48頁)。

遅刻については、試験時間割の注に「試験開始時刻に遅刻した場合は,試験開始時刻後 20 分以内の遅刻に限り,受験を認めます」とあります。ただしリスニングは、試験開始時刻(17時20分)までに入室していない場合は受験できません。地理歴史・公民と理科で2科目を受ける登録をした人は、遅刻者の入室限度の9時50分までに入室していないと、第2解答科目を含めてその試験時間を一切受験できません(同, 8頁)。

リスニングの最中にICプレーヤーの不具合や不慮の事故等で解答が続けられなくなったときは、監督者の指示で試験を中断し、リスニング終了後に同じ問題で中断した設問から再開する「再開テスト」があります。ただし、周囲の受験者のせきや空調の音など日常的な生活騒音で支障があったと申し出ても、再開テストの対象にはなりません(同, 17頁)。

出願後の病気・けがで配慮が必要になったとき

共通テストの出願後に、交通事故、負傷、発病、症状の悪化などで受験上の配慮が必要になった人は、「出願後の不慮の事故等による受験上の配慮」を申請できます。申請期間は2026年12月10日(木)から2027年1月12日(火)17時までです。申請は、申請する理由が出願後に発生した場合に限られ、出願時までに申請すべき内容だった場合は対象になりません(大学入試センター, 2026a, 47頁)(大学入試センター, 2026b, 35頁)。

手続は、医師に発症等の時期と配慮が必要な理由を書いてもらった大学入試センター所定の診断書(原本)と受験票を、受験票に書かれた「問合せ大学」の窓口に本人または代理人(保護者等)が持参し、窓口で申請書を書いて行います。配慮は受験票に表示された試験場で行うため、試験直前の申請や試験場の設備の状況によっては、希望する配慮が行えないことがあります(大学入試センター, 2026b, 35頁)。出願前からの障害や病気による配慮の申請は、大学入試の合理的配慮で扱っています。

各大学の試験——実施要項が大学に求めていること

各大学の試験について、実施要項は当日の受験機会に関わる決まりを3か所に置いています。

第13の2(1) 健康上の理由で当日の受験が難しい場合

「志願者本人に帰責されない身体・健康上の理由により当日の受験が困難な場合は、試験時間の繰り下げや別日程への振替等の対象とするなど柔軟な対応を行うことが望ましい。」(文部科学省, 2026a, 第13の2(1)、10頁)

「本人に帰責されない身体・健康上の理由」について、要項の注は「病気・事故等。例えば、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)と考えられる症状や月経随伴症状等も含む」としています(同, 10頁)。

第13の8 災害等の不測の事態

要項は各大学に、自然災害や人為災害、事件・事故、感染症の全国的な拡大などで所定の日程での実施が難しくなる事態に備え、入学志願者への連絡方法や問い合わせ窓口の設置、相当数の人が当日受験できなかった場合の対応などを検討・準備するよう求めています(同, 第13の8、13頁)。そのうえで、大学の実情に応じて継続的に対応することが考えられる事項として、次の文を置いています。

「自然災害や人為災害、事件・事故など不測の事態により、試験に遅刻した者又は受験することができなかった者がいる場合には、試験時間の繰り下げや別日程への振替等の対象とするなど、当該受験者の受験機会の確保等に配慮すること。」(同, 第13の8、13〜14頁)

第13の9 感染症対策

各大学は、試験の実施時期の感染症の流行状況等を踏まえ、換気の確保や手洗い等の手指衛生の励行など、感染症の特徴に応じた対策を講じます(同, 第13の9、14頁)。

痴漢被害等に遭った受験生の受験機会

文部科学省の令和8年度協議会資料「痴漢被害等に遭った受験生の受験機会確保について」は、背景として、SNS上で「入学者選抜の試験に遅刻できないがゆえに通報することが困難である受験生の心理につけ込んで、痴漢をあおる投稿が相次いでいる」と報道されていることを挙げています(文部科学省, 2026d, 1頁)。

国の方針としては、令和5年3月30日の「痴漢撲滅に向けた政策パッケージ」(内閣府・警察庁・法務省・文部科学省・国土交通省)に、文部科学省の取組として「被害に遭った受験生の受験機会の確保」が入っています。そこでは、試験場に向かう途中の事故・事件に巻き込まれた場合や痴漢の被害にあった場合などやむを得ない事由で受験機会を失うことのないよう、試験時間の繰り下げや別日程への振替等の対象とするなどの柔軟な対応に努めるよう周知するとされています(同, 1頁)。

令和9年度のQ&Aは、受験生が痴漢被害(事件・事故等)にあった場合や、その目撃者となった場合の対応を問うQ13-8-3で、次のように答えています。

「受験生の心理につけ込んだ痴漢被害(事件・事故等)に遭ったことや、その目撃者となったことにより、受験生が受験機会を失うことがないよう、試験時間の繰り下げや別日程への振替等の対象とするなど、受験機会の確保のための柔軟な対応に努めていただくようお願いします。」(文部科学省, 2026b, Q13-8-3)

あわせてQ&Aは、この対応をあらかじめ受験生に周知し、試験当日の服装は私服でも差し支えない旨も明記するなど、痴漢対策への協力を大学に求めています(同, Q13-8-3)。根拠として挙げられているのは、実施要項第13の8と、令和5年1月25日付けの事務連絡「大学入学者選抜における受験生が痴漢被害等にあった場合の対応について(依頼)」です(同)。

共通テストについては、協議会資料が参考として、痴漢被害等にあった場合などを理由に受験できない場合は追試験の対象とすること、試験当日の服装は私服でも構わないことを「受験上の注意」とQ&Aに載せていることを挙げています(文部科学省, 2026d, 1頁)。

感染症にかかった受験者——大学の試験での考え方

Q&Aの感染症対策の問い(Q13-9)は、大学の試験での扱いについて次の考え方を示しています(文部科学省, 2026b)。

感染症にかかった受験者——大学の試験での考え方
問いQ&Aの回答(要約)
Q13-9-1 大学独自にマスク着用を義務付けてよいか推奨・お願いは可能。マスクの着用は個人の主体的な選択を尊重し個人の判断に委ねることが基本とされているので、義務付けは適切でなく、着用していない人の受験拒否も適切でない
Q13-9-2 感染症にかかった人から受験したいと申出があったら単に受験不可とするのではなく、公平性・公正性を踏まえ、本人の症状や体調、会場の状況を考えて、可能な範囲で別日程への振替を案内する、別室での受験を認めるなどの措置が考えられる
Q13-9-3 当日、明らかに感染症の症状がある人が受験を申し出たら、拒否できるか本人の申出で発熱・せき等の症状がある受験者がいた場合、追試験等の措置を講じている大学は追試験による対応等を示すことが考えられる。追試験の受験が難しいなど特別な事情がある場合は、別室での受験を示すことが考えられる

共通テストが「治っていない場合は受験できない」と明記しているのに対し、大学の試験についてのQ&Aは、単に受験不可とするのではなく振替や別室を考えるという書き方です。大学の試験でどうなるかは、各大学が募集要項や受験上の注意で示す扱いによります。

大学が追試験・振替を設けるときの考え方(Q99)

各大学が自らの判断で追試験や別日程への振替を設ける場合について、Q&Aは「その他」の問いで次のように答えています(文部科学省, 2026b)。

ここから読み取れるのは、大学の追試験や振替は本来の試験と同じ形とは限らないということです。募集要項に「追試験」「振替受験」の項があれば、そこに書かれた教科・科目や方法が、その大学での扱いになります。

オンラインの試験で通信が切れたとき

面接やプレゼンテーションをオンラインで行う大学もあります。実施要項は、ICTを活用したオンラインの試験について、利用環境の差や技術的な不具合で特定の入学志願者が不利益を被らないよう、例えば次のような配慮を行うとしています(文部科学省, 2026a, 第13の7、13頁)。

  1. 通信環境の不具合で試験の続行が難しくなった場合、当日の時間を繰り下げ、または予備日を設けて選抜を行う
  2. 入学志願者が通信環境を整えられない場合、大学でのオンライン受験も可能とする
  3. 大学にサポートデスクなどの連絡窓口を設け、不測の事態に個別に対応できるようにする
  4. ICTを活用する場合も、障害のある入学志願者に必要な合理的な配慮を行う

健康状況と欠席日数の扱い

当日の受験機会とは別に、健康状況が選抜でどう扱われるかの決まりもあります。

文部科学省の協議会資料「健康状況の把握等に関する留意点」も、同じ趣旨を「単に出席日数が少ないことのみをもって直ちに不利益に取り扱われることがないよう、配慮する」などとまとめています(文部科学省, 2026c, 1頁)。調査書の欄については調査書の様式を欄ごとにを参照してください。

よくある取り違え

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出典

よくある質問

共通テストの当日にインフルエンザにかかっていたら、どうなりますか。

受験案内は、インフルエンザ、ノロウイルス、新型コロナウイルス等の感染症にかかり治っていない場合は、他の受験者や監督者等に感染するおそれがあるため受験できないとし、追試験の受験を申請するよう書いています。追試験は2027年1月23日・24日です。申請方法の詳細は12月上旬に大学入試センターのウェブサイトに出る「受験上の注意」に示されます(大学入試センター, 2026a, 48頁・53頁)。

共通テストで電車が遅れて遅刻しました。受けられますか。

試験開始時刻から20分以内の遅刻に限り受験が認められます。リスニングは、試験開始時刻(17時20分)までに入室していないと受験できません。試験場に向かう途中の事故で受験できなかった人は追試験の対象です(大学入試センター, 2026a, 8頁・53頁)。

痴漢被害に遭って試験に間に合わなかった場合はどうなりますか。

文部科学省の協議会資料は、共通テストでは痴漢被害等にあった場合などを理由に受験できない場合は追試験の対象とするとしています。各大学の試験については、実施要項とQ&Aが、試験時間の繰り下げや別日程への振替等の対象とするなど、受験機会の確保のための柔軟な対応に努めるよう大学に求めています(文部科学省, 2026d, 1頁)(文部科学省, 2026b, Q13-8-3)。具体的な扱いは各大学の募集要項や受験上の注意で確かめます。

総合型選抜の面接の日に体調を崩したら、別の日に受けられますか。

実施要項は、志願者本人に帰責されない身体・健康上の理由で当日の受験が難しい場合、試験時間の繰り下げや別日程への振替等の対象とするなど柔軟な対応を行うことが「望ましい」としています(文部科学省, 2026a, 第13の2(1)、10頁)。振替を設けるかどうか、どう申し出るかは大学ごとに決まるので、出願の前に募集要項で確かめます。

大学の試験で、マスクをしていないと受験できないことはありますか。

Q&Aは、各大学がマスクの着用を推奨・お願いすることは可能だが、着用を義務付けることは適切ではなく、着用していない人の受験を拒否することも適切ではないとしています(文部科学省, 2026b, Q13-9-1)。

総合型選抜の対策(志望理由書・活動報告書・小論文・面接)は、武蔵野個別指導塾 武蔵境本校で副塾長の宮川涼が直接受け持っています。

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