総合型選抜の資料室運営: 武蔵野個別指導塾 武蔵境本校

大学入試の合理的配慮——共通テストの「受験上の配慮」と大学の個別試験の申請

最終更新:2026-10-09

大学入学共通テストで配慮を受ける申請と、各大学の試験で配慮を受ける申請は別の手続です。共通テストの申請は2026年7月1日に始まり、出願期間中に結果を知りたいなら8月28日(必着)までの第1期に出すことになっています。申請の時期・書類・流れを、資料の文言どおりに並べます。

資料の年度:2027年度(令和9年度)入試/確認日:2026-10-09

2つの申請は別の手続

大学入試で配慮を受けたいとき、手続は2つに分かれます。

  1. 大学入学共通テストの「受験上の配慮」: 大学入試センターに申請し、センターが審査して決めます。全国で同じ手続・同じ時期です。
  2. 各大学が行う試験での配慮: 総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜の個別の試験(面接・小論文・教科・科目に係る個別テストなど)での配慮です。各大学に相談し、大学が決めます。

大学入試センターの「受験上の配慮案内」は、「大学入学共通テストの受験上の配慮の申請を行っただけでは,各大学が実施する教科・科目に係る個別テスト等での受験上の配慮を申請したことにはなりません」と書いています(大学入試センター, 2026a, 36頁)。受験上の配慮事項決定通知書にも、通知する配慮事項は共通テストでのものであり、各大学の試験で配慮を希望する場合は別途志望大学に相談するよう書かれています(同, 33頁)。

総合型選抜や学校推薦型選抜は、出願が9月から11月にかけて始まり、共通テストより先に試験があることが多い入試です。共通テストの申請期間と、志望大学の事前相談の期限が重なる時期があるので、両方の日付を並べて見ておく必要があります。

このページは、全国共通の決まりと手続の事実だけを書いています。どんな配慮が自分に合うか、診断や検査をどう受けるかは扱いません。

法令と実施要項の位置づけ

文部科学省の令和8年度の協議会資料「大学入試における合理的配慮について」は、背景として「令和6年4月から私立を含むすべての大学等において障害のある学生への合理的配慮の提供が義務化され、引き続き大学入試においても対応が求められている」と書いています(文部科学省, 2026b, 1頁)。同じ協議会の資料「障害のある学生への支援について」も、令和6年4月の改正障害者差別解消法の施行で、私立を含む全ての大学等で合理的配慮の提供が義務化されたと記しています(文部科学省, 2026c, 6頁・8頁)。

令和9年度の実施要項は、第13の2(2)で次のように定めています。

「障害のある入学志願者に対しては、「障害者基本法」(昭和 45 年法律第 84 号)や「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平成 25 年法律第 65 号)の趣旨に十分留意しつつ、その能力・意欲・適性、学習の成果等を適切に評価・判定するために必要な合理的配慮を行い、障害のない学生に比べて不利にならないよう配慮する。」(文部科学省, 2026a, 第13の2(2)、10頁)

続けて要項は、配慮の例として次の3つの組を挙げています(同, 10頁)。

法令と実施要項の位置づけ
例示内容
①点字・拡大文字による出題、ICT機器の活用、拡大解答用紙の作成
②特定試験場の設定、試験場への乗用車での入構、座席指定の工夫
③試験時間の延長、文書による注意事項の伝達、試験室入り口までの付添者の同伴、介助者の配置 など

大学の個別試験での配慮——実施要項が大学に求めること

実施要項と協議会資料が、各大学に求めていることを並べます。

情報の公表には法令上の根拠もあります。学校教育法施行規則第172条の2第1項第4号(令和6年9月30日公布、令和7年4月1日施行)により、大学は「入学者の選抜に関すること」を公表することになり、文部科学省はその内容として、合理的配慮の提供に関する対応方法(相談窓口、事前相談や配慮の申請の方法、受験上の配慮の一般的な例など)を想定していると示しています(文部科学省, 2026c, 5頁)。

協議会資料は、障害のある学生の修学支援に関する検討会の「第三次まとめ」(令和6年3月)から、入学試験について「合理的配慮を決定するまでのプロセスや配慮決定までの期間を伝えるなど、申請手続を明確に示しておくことや、評価方法を明確化しておくことが望ましい」とも引いています(同, 7頁)。

実際の窓口と期限は大学ごとに違います。この資料室の大学別ページでも、東京女子大学の数学的思考力型で合理的配慮の申請期限が募集要項に書かれている例や、津田塾大学の出願書類の欄で受験上の配慮に触れている例を、要項の頁つきで載せています。

共通テストの受験上の配慮——申請期間と通知の時期

令和9年度共通テスト(本試験は2027年1月16日・17日)の受験上の配慮は、申請期間が2つに分かれています。申請は郵送でのみ受け付けます(大学入試センター, 2026a, 3頁)。

共通テストの受験上の配慮——申請期間と通知の時期
区分申請期間審査結果通知書送付される人
第1期2026年7月1日(水)〜8月28日(金)必着(または8月26日(水)消印有効)9月24日(木)までに送付(出願期間中)申請者全員
第2期2026年8月31日(月)〜10月2日(金)必着(または9月30日(水)消印有効)11月下旬に送付申請して出願した人

(大学入試センター, 2026a, 表紙・2〜3頁・31〜32頁)

配慮案内は、希望する配慮事項によっては審査に時間がかかることがあるので、「できるだけ第1期の期間内に申請してください」と書いています(同, 3頁)。共通テストの出願期間は2026年9月15日(火)10時〜10月2日(金)17時で、第1期に申請すれば、審査結果を見てから出願できます(同, 2頁)(大学入試センター, 2026b, Q5)。

申請から試験までに届く通知は3種類です。

共通テストの受験上の配慮——申請期間と通知の時期
通知対象時期
受験上の配慮事項審査結果通知書第1期の申請者全員、第2期の申請者のうち出願した人第1期は9月24日まで、第2期は11月下旬
受験科目等通知・確認書点字解答・代筆解答・拡大文字問題冊子(22ポイント)の配付を申請し、出願した人10月中旬
受験上の配慮事項決定通知書配慮を申請し、出願した人12月上旬〜中旬

(大学入試センター, 2026a, 31頁)

2027年3月に卒業見込みの人(通信制課程の人を除く)には、通知は在学している学校に送られ、学校から本人に配られます。それ以外の人には本人に直接送られます(同, 31頁)。審査結果通知書に申請した配慮事項の漏れなどがある場合は、受領日を含め1週間以内に大学入試センターへ連絡することになっています(同, 32頁)。決定通知書は、受験票と同じく試験当日に試験場へ持参して机の上に置くものです(同, 33頁)。

共通テストの受験上の配慮——必要な書類

申請には、所定の様式の次の3つを必ず提出します(大学入試センター, 2026a, 4〜5頁)。

共通テストの受験上の配慮——必要な書類
書類中身入手先
【A】受験上の配慮申請書申請者の氏名・住所等と、申請する配慮事項。希望する全ての配慮事項を書く。第1面から第4面まで全て出す共通テスト出願サイトの本人のマイページからだけ取得できる(マイページは7月1日10時から作成可能)
【B】診断書医師が診断名や現症、配慮が必要な理由等を書く。区分ごとに様式が5種類(視覚障害・聴覚障害・肢体不自由・病弱その他・発達障害)マイページ、または大学入試センターのウェブサイト(PDF・Word)
【C】状況報告書高校等でのこれまでの配慮の実施状況などを書くマイページ、または大学入試センターのウェブサイト

(大学入試センター, 2026a, 4〜7頁)(大学入試センター, 2026b, Q28・Q29)

書類について、配慮案内とQ&Aが特に注意している点を並べます。

試験時間の1.5倍の延長を申請するときは、3つの書類に加えて、1.5倍の延長が必要な「具体的な理由」や「これまでの取組み」を示した資料(任意の様式で、校長または専門家が作成したもの)を出します。具体的な理由や取組みが書かれていれば、個別の指導計画・個別の教育支援計画の写しでもかまいません(大学入試センター, 2026a, 5頁・25頁)。

共通テストの受験上の配慮——区分と主な配慮事項

配慮案内は、区分ごとに「対象となる者の例」と「主な配慮事項の例」を示しています。表の例以外の配慮事項も、障害等の種類や程度にかかわらず申請できます(大学入試センター, 2026a, 10頁)。

共通テストの受験上の配慮——区分と主な配慮事項
区分主な配慮事項の例(抜粋)
①視覚障害点字解答(点字問題冊子の配付)、文字解答、試験時間の延長、拡大文字問題冊子(14ポイント・22ポイント)の配付、拡大鏡等の持参使用
②聴覚障害手話通訳士等の配置、注意事項等の文書による伝達、座席を前列に指定、補聴器または人工内耳の装用、リスニングの免除
③肢体不自由チェック解答、代筆解答、試験時間の延長、試験室入口までの付添者の同伴、介助者の配置、車椅子・杖・特製机等の持参使用、試験場への乗用車での入構
④病弱1階またはエレベーターが利用可能な試験室で受験、座席を出入口に近いところに指定、別室の設定
⑤発達障害試験時間延長(マークシート解答)、チェック解答、拡大文字問題冊子の配付、注意事項等の文書による伝達、別室の設定
⑥その他トイレに近い試験室での受験、座席を出入口に近いところに指定、別室の設定

(大学入試センター, 2026a, 10頁)

試験時間の延長には倍率の決まりがあります。マークシート解答のまま時間を延ばす「試験時間延長(マークシート解答)」は1.3倍で、別室での受験です(同, 19頁)。点字解答が許可された場合は1.5倍になります(同, 13頁)。1.3倍では時間が足りないと見込まれる場合の1.5倍の延長は、上の追加資料が要る「申請に注意が必要な配慮事項」です(同, 25頁)。

次のような配慮は、申請の前に大学入試センターへの事前相談が必要です(同, 26頁)。

一方、サポーター・テーピング・湿布・ギプス・眼帯・コルセット、白杖は申請せずに使えます。座布団・クッション・ひざ掛けなどは、試験開始前に監督者に申し出て許可を得れば使えます(同, 26頁)。

審査と、その後の変更

配慮事項は、申請にもとづいて大学入試センターが審査し、個々の症状や状態等を総合的に判断して決めます。決まった配慮事項について再審査は行いません(大学入試センター, 2026a, 31頁)。そのため配慮案内は、希望する配慮事項が許可されなかった場合に備えて、第二希望を申請できるとしています(同, 8頁)。申請書に書き忘れた事項を、あとから追加することもできません(大学入試センター, 2026b, Q65・Q66)。

ただし、出願のあとに起きた不慮の事故等(交通事故、負傷、発病、症状の悪化など)で配慮が必要になったときは、「出願後の不慮の事故等による受験上の配慮」を申請できます。申請期間は2026年12月10日(木)から2027年1月12日(火)17時までで、診断書(原本)と受験票を受験票に書かれた「問合せ大学」の窓口に持参して申請します。出願時までに申請すべき内容だった場合は対象になりません(大学入試センター, 2026a, 35頁)。試験当日の病気や事故の扱いは、試験当日の病気・事故・痴漢被害と受験機会で扱っています。

全国の数字

文部科学省の協議会資料は、日本学生支援機構の実態調査から、障害のある受験者と入学者の数を示しています(各年5月1日現在)。

全国の数字
年度障害のある受験者数うち受験上の配慮実施数障害のある入学者数
平成30年度4,883人4,308人1,516人
令和5年度10,319人5,883人5,351人
令和6年度11,816人7,032人6,128人
令和7年度12,133人8,140人5,502人

(文部科学省, 2026c, 2頁。出典は日本学生支援機構「障害のある学生の修学支援実態調査」)

同じ資料によれば、入試要項等に障害学生への配慮に関する記載をしている学校数は、令和7年度で1,047校です(同, 2頁)。出典の調査は、大学・短期大学・高等専門学校を対象にした日本学生支援機構の実態調査です(同, 1〜2頁の出典欄)。

高校の先生が関わる場面

高校の先生が書類に関わるのは、主に次の場面です。

よくある取り違え

このページの限界

出典

よくある質問

共通テストの受験上の配慮は、いつまでに申請すればよいですか。

令和9年度の申請期間は、第1期が2026年7月1日〜8月28日(必着。8月26日消印有効)、第2期が8月31日〜10月2日(必着。9月30日消印有効)です。第1期なら9月24日までに審査結果が届き、出願期間(9月15日〜10月2日)のうちに結果を確かめられます。第2期の結果は11月下旬です(大学入試センター, 2026a, 表紙・2〜3頁)。

診断書は主治医でないといけませんか。病院の様式でもよいですか。

大学入試センターのQ&Aは、必ずしも主治医の診断書である必要はないとしています。ただし様式は令和9年度共通テストの「【B】診断書」に限られ、病院独自の様式や障害者手帳のコピーでは代えられません(大学入試センター, 2026b, Q33・Q40・Q41)。

高校で受けていない配慮でも申請できますか。

できます。配慮事項は、高校等での配慮の実施状況や障害等の種類・程度にかかわらず、必要に応じて申請でき、大学入試センターが個々の症状や状態等を総合的に判断します。高校での状況は「【C】状況報告書」に書きます(大学入試センター, 2026a, 8頁)(大学入試センター, 2026b, Q26)。

状況報告書は誰が書きますか。

卒業見込みの人は、高校等で行っている配慮の内容などを学校の担当者が書きます。既卒の人などは、在学時の状況や、いま通っている学習塾・予備校、自宅での学習の際の配慮の内容などを、保護者等(学習塾等の講師、医師、カウンセラー等も可)が書きます(大学入試センター, 2026a, 5頁)。

総合型選抜や学校推薦型選抜でも合理的配慮は受けられますか。

実施要項の第13の2は入試方法を限っていません。文部科学省の協議会資料も、多様な選抜方法があっても、どのような選抜方法かにかかわらず合理的配慮を適切に実施することが重要だとしています(文部科学省, 2026a, 第13の2(2)、10頁)(文部科学省, 2026c, 7頁)。申請の窓口と期限は、各大学の募集要項で確かめます。

総合型選抜の対策(志望理由書・活動報告書・小論文・面接)は、武蔵野個別指導塾 武蔵境本校で副塾長の宮川涼が直接受け持っています。

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