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国立大学の学校推薦型選抜・総合型選抜の決まり——国立大学協会「2027年度入学者選抜についての実施要領」で読む

最終更新:2026-10-09

国立大学の年内入試には、文部科学省の実施要項に加えて、国立大学協会が定める実施要領というもう一つの決まりがあります。学校推薦型選抜は1人1大学・学部まで、募集人員は総合型選抜と合わせて入学定員の5割まで、合格したら2月17日までに入学手続。どの国立大学を受けても同じこの決まりを、要領の文言のまま読みます。

資料の年度:2027年度(令和9年度)入試/確認日:2026-10-09

国立大学の年内入試には「2つの決まり」があります

大学入試の全国共通のルールは、文部科学省が毎年通知する「大学入学者選抜実施要項」です。総合型選抜と学校推薦型選抜の定義や、出願と発表の時期はここで決まります(詳しくは総合型選抜とは——実施要項で読む定義・日程)。ところが国立大学については、実施要項自身が第11で「国立大学の入学者選抜の日程等は、国立大学協会の定める実施要領に基づき実施される」と定めています(文部科学省, 2026a, 第11、9頁)。

国立大学協会(以下、国大協)の「国立大学の2027年度入学者選抜についての実施要領」は、2025年6月25日に定められ、2026年6月29日に改訂されました(国立大学協会, 2026a, 表紙)。同じ6月29日には、1年先の「2028年度」の要領も出ています(国立大学協会, 2026b, 表紙)。2027年度入試の要領の最初の版は、総合型選抜の出願が始まる2026年9月より1年あまり前に出ていたことになります。

要領は7つの章でできています。Ⅰ一般選抜、Ⅱ学校推薦型選抜、Ⅲ総合型選抜、Ⅳ共通事項(合理的配慮・共通テストの成績請求・入学手続)、Ⅴ欠員補充第2次募集、Ⅵ実施日程、Ⅶその他の選抜区分です(国立大学協会, 2026a, 1〜6頁)。このページでは、年内入試にかかわるⅡ・Ⅲ・Ⅳを中心に、一般選抜との関係まで読みます。分かることは次のとおりです。

学校推薦型選抜の推薦は1人1大学・学部まで

要領のⅡ(a)は、推薦は出身学校長(高等学校長等)が行うとしたうえで、「一人の入学志願者について一つの年度における推薦は、大学入学共通テストを課すもの及びこれを課さないものを含めて、一つの大学・学部に限るものとする」と定めています(国立大学協会, 2026a, Ⅱ(a)、3頁)。秋に共通テストなしの推薦を1つ、冬に共通テストを使う推薦をもう1つ、というように別の大学・学部へ推薦を分けることはできません。

例外はⅡ(b)の1つだけです。同じ大学・学部の同じ学校推薦型選抜の募集単位(学科・課程・専攻等)で、共通テストを課さない選抜の合格発表のあとに共通テストを課す選抜を行う場合、前者の不合格者を後者の被推薦者にすることは認められます(同, Ⅱ(b)、4頁)。国大協の「よくあるお問い合わせ」は、A大学B学部C学科の共通テストを課さない選抜に不合格のあと、同じC学科の共通テストを課す選抜に出願するのは認められ、同じ学部のD学科に出願するのは認められない、という例で説明しています(国立大学協会, 日付なし, Q4)。

この決まりは共通テストの手続にも組み込まれています。大学入試センターの受験案内は、共通テストの成績を大学へ渡す手続(成績請求情報の提供)の区分「国公立推薦型選抜用」の提供先を1大学に限り、「国公立大学の学校推薦型選抜は,大学入学共通テストを課すかどうかにかかわらず,一つの大学・学部にしか出願できません」と注記しています(大学入試センター, 2026, 56頁)。この手続の詳しい流れは共通テストを使う推薦・総合型の手続で扱います。

国立大学の学校推薦型選抜は、ほとんどが公募制です。文部科学省の「令和7年度大学入学者選抜実態調査」は、学校推薦型選抜の種類を入学者数別に見ると、公募型が国立大学で98.4%だったとしています(文部科学省, 2026d, 5頁)。入学者数で見ると、国立大学の学校推薦型選抜の入学者のほとんどは公募型によるものです。合格発表の形式(推薦した出身学校長あての通知など)は大学・学部が定めます(国立大学協会, 2026a, Ⅱ(e)、4頁)。

総合型選抜の併願は「一律には定めていない」

総合型選抜には、推薦のような「1大学・学部まで」の定めがありません。国大協は「よくあるお問い合わせ」で、国立大学の総合型選抜の出願者がその大学や他の国公立大学の総合型選抜に出願できるかという問いに、「総合型選抜(旧AO入試)の併願の可否について一律には定めておりません」と答えています。学校推薦型選抜と総合型選抜の併願についても同じ答えです(国立大学協会, 日付なし, Q5・Q6)。

共通テストの手続でも、「国公立総合型選抜用」の成績請求情報には提供先の大学数の制限がありません(大学入試センター, 2026, 57頁)。ただし国大協は、大学によっては総合型選抜や学校推薦型選抜の出願要件の中で他大学への出願を認めていない場合があるとして、出願先の募集要項で確かめるよう求めています(国立大学協会, 日付なし, Q5・Q6)。「国の決まりでは禁止されていない」ことと「その大学で併願できる」ことは別です。

募集人員は推薦と総合型を合わせて入学定員の5割まで

募集人員の上限は、文部科学省の実施要項と国大協の要領で中身が違います。ここは取り違えの多いところです。

募集人員は推薦と総合型を合わせて入学定員の5割まで
決まり学校推薦型選抜総合型選抜
文部科学省の実施要項附属高校からの推薦を含めて、募集単位ごとに入学定員の5割を超えない範囲(第8の2)公募型の総合型選抜には募集人員の制約なし(Q&A Q3-4)
国大協の実施要領(国立大学)総合型選抜の募集人員と合わせて、募集単位ごとの入学定員の5割を超えない範囲(Ⅱ(d))学校推薦型選抜の募集人員と合わせて、募集単位ごとの入学定員の5割を超えない範囲(Ⅲ(b))

出典は、実施要項が第8の2(8頁)とQ&AのQ3-4、要領がⅡ(d)とⅢ(b)(4〜5頁)です(文部科学省, 2026a)(文部科学省, 2026c)(国立大学協会, 2026a)。国立大学では、推薦と総合型を合わせた年内入試の枠が、学部・学科ごとに入学定員の半分までに抑えられています。公立大学の要領は推薦だけに5割の上限を置いていて、ここが国立と違います(公立大学の推薦・総合型の決まり)。

一般選抜の側からの決まりもあります。国大協の基本方針(2022年1月28日)は、一般選抜の募集人員を前期日程と後期日程に分ける「分離分割方式」を維持するとし、その「弾力化措置」として、分割比率の少ない日程の募集人員に代えて総合型選抜・学校推薦型選抜に募集人員を置くこともできるとしています(国立大学協会, 2022, 4頁)。同じ方針は、一部の国立大学で後期日程の募集人員を総合型選抜・学校推薦型選抜に振り替える動きがあることにも触れています(同, 3〜4頁)。

出願・合格発表・入学手続の期日

要領が定める2027年度入試の期日は次のとおりです(国立大学協会, 2026a, 1〜7頁)。とくに断りのない日付は2027年です。

出願・合格発表・入学手続の期日
項目期日要領の箇所
総合型選抜の出願2026年9月1日以降Ⅲ(a)
総合型選抜の合格発表2026年11月1日以降、2月10日までⅢ(a)(d)
学校推薦型選抜の出願2026年11月1日以降Ⅱ(c)
学校推薦型選抜の合格発表(共通テストを課さない)2026年12月1日以降、1月22日までⅡ(c)(f)
学校推薦型選抜の合格発表(共通テストを課す)2月10日までⅡ(f)
大学入学共通テスト本試験1月16日・17日、追試験1月23日・24日附属資料
推薦・総合型で共通テストを課す場合の成績請求2月2日からⅣ
推薦・総合型の入学手続2月17日までⅡ(f)・Ⅲ(d)
一般選抜の出願期間1月25日から2月3日までⅠ3(b)
前期日程の試験2月25日からⅠ2
前期日程の合格発表・入学手続3月6日から10日までに発表、手続は3月15日までⅠ5(b)
後期日程の試験・合格発表3月12日以降に試験、3月20日から24日までに発表Ⅰ2・Ⅰ5(c)

表を並べると、一つの前後関係が見えます。一般選抜の出願期間(1月25日〜2月3日)は、共通テストを課す推薦と総合型の合格発表の期限(2月10日)より先に終わります。要領は、推薦・総合型の志願者が不合格に備えて、前期日程と後期日程の合計2つまでの大学・学部に出願できるとしています(同, Ⅱ(i)・Ⅲ(h)、4〜5頁)。共通テストを課す推薦・総合型を受ける人は、その結果が出る前に一般選抜の出願を済ませることになる場合があります。何日に発表されるかは大学ごとに違うので、志望する大学の募集要項で日付を並べて確かめます。

大学どうしの照合の仕組みも要領に書かれています。推薦・総合型を行った大学は、合格者、そのうち入学手続を完了した人、入学辞退を認めた人を2月18日午後5時までに大学入試センターへ知らせ、センターは2月22日以降、大学からの請求にもとづいて資料を提供します(同, Ⅱ(l)(m)・Ⅲ(f)(g)、4〜5頁)。

合格したら——入学辞退と一般選抜の扱い

推薦と総合型は、合格したら入学することが前提の入試です。要領の書き方は次のとおりです。

学校推薦型選抜

総合型選抜

出典はいずれも要領の4〜5頁です(国立大学協会, 2026a)。推薦の辞退には出身学校長からの願い出と大学の許可が要ります。総合型については、国大協は「よくあるお問い合わせ」で、大学によっては入学辞退を認めていない場合もあるので募集要項で確かめるよう書いています(国立大学協会, 日付なし, Q8)。

入学手続そのものにも共通の決まりがあります。各大学は合格者に、大学入試センターが発行する「国公立大学入学確認票」を提出させます。また、一つの国立大学に入学手続を完了したあとで、それを取り消して他の国立大学へ入学手続をとることは認められません(国立大学協会, 2026a, Ⅳ、5頁)。

共通テストを課す型と課さない型

要領は、学校推薦型選抜を「大学入学共通テストを課すもの」と「課さないもの」に分けて期日を定めています。どちらの型かは、大学・学部・募集単位ごとに募集要項で決まります。総合型選抜にも共通テストを課すものがあり、その場合の成績請求は推薦と同じく2月2日から行えます(国立大学協会, 2026a, Ⅳ、5頁)。

国大協の基本方針は、一般選抜では共通テストに原則として「6教科8科目」を課すとしています(国立大学協会, 2022, 2頁)。総合型選抜・学校推薦型選抜については、「一定の学力を担保した上で、調査書等の出願書類に加えて、小論文や面接、プレゼンテーションなど多様な評価方法を活用し」た丁寧な選抜を「加速・拡大する」と書いています(同, 4頁)。共通テストを課すかどうかは、この「一定の学力」をどう確かめるかの選び方の一つです。文部科学省の実施要項でも、共通テストは総合型・学校推薦型で学力を確かめる方法の一つに数えられています(文部科学省, 2026a, 第3の1(2)・(3)、2〜3頁)。

英語の資格・検定試験についても方針があります。基本方針は、英語の民間の資格・検定試験を使う場合、家庭環境や居住地域により受検の負担が大きい志願者を考え、同じ募集単位で検定を使わない募集区分を設けたり、個別学力検査の成績と選んで使えるようにしたりして、受験機会の公平性・公正性に可能な範囲で配慮するとしています(国立大学協会, 2022, 5頁)。

障害等のある志願者への配慮については、各大学は合理的配慮を行い、その配慮内容の情報をあらかじめ公表し、志願者からの相談に適切に対応するとされています(国立大学協会, 2026a, Ⅳ、5頁)。

国立大学の推薦・総合型はどれくらい広がったか

国大協は2015年9月の「国立大学の将来ビジョンに関するアクションプラン(工程表)」で、入試改革の取組として「推薦入試、AO入試、国際バカロレア入試等の拡大(入学定員の30%を目標)」を掲げました(国立大学協会, 2015, 1頁)。2022年の基本方針でも、特色ある総合型選抜・学校推薦型選抜の導入が相次いでいるとし、その取組を加速・拡大するとしています(国立大学協会, 2022, 4頁)。

実際の数は、文部科学省の「令和7年度国公私立大学入学者選抜実施状況」(2025年5月1日現在)で見られます(文部科学省, 2025, 1〜2頁)。

国立大学の推薦・総合型はどれくらい広がったか
2025年度入試(令和7年度)・国立大学実施大学・学部入学志願者入学者
総合型選抜75大学・381学部27,119人7,714人
学校推薦型選抜76大学・304学部31,953人12,706人
一般選抜—313,428人79,542人
国立大学の計81大学・424学部372,500人99,962人

入学者に占める割合を計算すると、総合型選抜が約7.7%、学校推薦型選抜が約12.7%、合わせて約20.4%です(割合はこのサイトでの計算)。この表には外国人留学生を対象とする選抜と第2次募集によるものも含まれます。また令和7年度から区分の数え方が「一般選抜とそれ以外」から3区分に改められたため、文部科学省は令和6年度以前の数値と比べることはできないと注記しています(同, 1頁 注4・注9)。

選抜区分の数で見ると、印象は違います。「令和7年度大学入学者選抜実態調査」によれば、国立大学の選抜区分(6,053区分)のうち、一般選抜は44.6%、総合型選抜は31.5%、学校推薦型選抜は23.8%でした(文部科学省, 2026d, 2頁)。区分の数では推薦と総合型が半分を超えるのに、入学者では約2割にとどまります。総合型・推薦の区分は、1つあたりの人数が一般選抜より小さいということです。実態調査は2023年度(一般57.0%・総合型19.3%・推薦23.7%)と2024年度(同50.8%・22.3%・26.9%)の割合も載せていますが、2025年度と2024年度以前は単純に比較できないと注記しています(同, 2頁)。

アクションプランの「30%」は入学定員に対する割合で、上の約20.4%は入学者に対する割合です。分母が違うので、この2つをそのまま比べることはできません。

2028年度入試の要領で変わる日付

国大協は2026年6月29日に「国立大学の2028年度入学者選抜についての実施要領」も公表しています。いまの高校2年生が受ける入試です。2027年度の要領と項目は同じで、変わるのは日付だけです(国立大学協会, 2026a)(国立大学協会, 2026b)。

2028年度入試の要領で変わる日付
項目2027年度入試2028年度入試
総合型選抜の出願・合格発表2026年9月1日以降・11月1日以降2027年9月1日以降・11月1日以降
学校推薦型選抜の出願・合格発表2026年11月1日以降・12月1日以降2027年11月1日以降・12月1日以降
推薦(共通テストを課さない)の合格発表の期限2027年1月22日2028年1月21日
推薦(共通テストを課す)・総合型の合格発表の期限2027年2月10日2028年2月9日
推薦・総合型の入学手続の期限2027年2月17日2028年2月16日
推薦・総合型で共通テストを課す場合の成績請求2027年2月2日から2028年2月1日から
大学入学共通テスト2027年1月16日・17日2028年1月15日・16日
一般選抜の出願期間2027年1月25日〜2月3日2028年1月24日〜2月2日

推薦の「1人1大学・学部」、推薦と総合型を合わせた「5割」、合格後の扱いは、2028年度の要領でも同じ文言です(国立大学協会, 2026b, Ⅱ・Ⅲ、3〜5頁)。前期日程の試験が2月25日から、後期日程が3月12日以降という日程も変わりません。

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出典

よくある質問

国立大学の学校推薦型選抜は、2つの大学に出願できますか。

できません。国立大学協会の実施要領は、1人の入学志願者についての1つの年度の推薦は、共通テストを課すものと課さないものを含めて1つの大学・学部に限るとしています(国立大学協会, 2026a, Ⅱ(a)、3頁)。例外は、同じ大学・学部の同じ募集単位で、共通テストを課さない選抜に不合格となった人を、後から行う共通テストを課す選抜の被推薦者とする場合だけです(同, Ⅱ(b)、4頁)。

国立大学の総合型選抜は、いくつも併願できますか。

国立大学協会は、総合型選抜の併願の可否を一律には定めていません。大学によっては出願要件の中で他大学への出願を認めていない場合があるので、出願先の募集要項で確かめます(国立大学協会, 日付なし, Q5)。

国立大学の推薦や総合型に出願したら、一般選抜には出願できませんか。

出願できます。要領は、学校推薦型選抜・総合型選抜で不合格となった場合に備えて、前期日程と後期日程の合計2つまでの大学・学部に出願できるとしています。ただし推薦・総合型に合格して入学手続を完了すると、一般選抜を受けてもその合格者にはなりません(国立大学協会, 2026a, Ⅱ(i)・Ⅲ(c)(h)、4〜5頁)。

国立大学の推薦に合格したあと、入学を辞退できますか。

要領は、推薦の合格者は入学するのが当然としたうえで、特別の事情があり、推薦した出身学校長から2月17日までに「推薦入学辞退願」が出され、大学の許可を得た場合に限って辞退を認めています(国立大学協会, 2026a, Ⅱ(h)、4頁)。

国立大学の推薦・総合型の募集人員に上限はありますか。

あります。国立大学では、学校推薦型選抜の募集人員は総合型選抜の募集人員と合わせて、学部・学科等の募集単位ごとの入学定員の5割を超えない範囲で各大学が定めます(国立大学協会, 2026a, Ⅱ(d)・Ⅲ(b)、4〜5頁)。

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