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公立大学の学校推薦型選抜・総合型選抜の決まり——公立大学協会「2027年度大学入学者選抜についての実施要領」で読む

最終更新:2026-10-09

公立大学の年内入試は、国立大学とほぼ同じ日付で動きますが、決まりは公立大学協会の実施要領で別に定められています。募集人員の上限の掛け方、一般選抜の併願の数、国公立大学入学確認票の扱いなど、国立と違う点がいくつかあります。要領の文言のまま、違いを一つずつ読みます。

資料の年度:2027年度(令和9年度)入試/確認日:2026-10-09

公立大学の年内入試は「公立大学協会の要領」で動きます

文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項は、第12で「公立大学の入学者選抜の日程等は、公立大学協会の定める実施要領に基づき実施される」と定めています(文部科学省, 2026a, 第12、9頁)。国立大学が国立大学協会の要領で動くのと同じ形です(国立大学の推薦・総合型の決まり)。

公立大学協会の「公立大学の2027年度入学者選抜についての実施要領」は、2025年9月26日に定められ、2026年6月18日に一部改訂されました。冒頭に「別段の記載がない限り、日付は2027年とする」とあります(公立大学協会, 2026, 1頁)。構成は国立大学協会の要領と同じで、Ⅰ一般選抜、Ⅱ学校推薦型選抜、Ⅲ総合型選抜、Ⅳ共通事項、Ⅴ欠員補充第2次募集、Ⅵ実施日程、Ⅶその他の選抜区分の7章です(同, 1〜7頁)。

日付の多くは国立大学と同じです。違うのは、公立大学にだけある「公立大学中期日程」と、それに伴う併願の数、募集人員の上限の掛け方、入学確認票の扱いなどです。このページでは、公立大学の推薦・総合型の決まりを、国立大学との違いに印を付けながら読みます。

学校推薦型選抜——1人1大学・学部と、推薦だけの5割

要領Ⅱ(a)は、推薦は出身学校長(高等学校長等)が行い、「一人の入学志願者について一つの年度における推薦は、大学入学共通テストを課すもの及びこれを課さないものを含めて、一つの大学・学部に限るものとする」と定めています。同じ大学・学部の同じ募集単位で、共通テストを課さない選抜の不合格者を後の共通テストを課す選抜の被推薦者にする場合だけは認める、という例外(Ⅱ(b))も国立大学と同じ文言です(公立大学協会, 2026, Ⅱ(a)(b)、4頁)。

この「1大学・学部」は、国立と公立を合わせて数えます。大学入試センターの受験案内は、共通テストの成績を大学へ渡す手続の区分「国公立推薦型選抜用」の提供先を1大学に限り、「国公立大学の学校推薦型選抜は,大学入学共通テストを課すかどうかにかかわらず,一つの大学・学部にしか出願できません」と書いています(大学入試センター, 2026, 56頁)。公立大学の推薦と国立大学の推薦を両方受けることはできません。

募集人員の定めは国立と違います。公立大学協会の要領Ⅱ(d)は「学校推薦型選抜の募集人員については、学部・学科等募集単位ごとの入学定員に占める割合が、5割を超えない範囲において」大学・学部が定めるとしています(公立大学協会, 2026, Ⅱ(d)、4頁)。国立大学協会の要領は、同じ箇所で「総合型選抜の募集人員とあわせて5割を超えない範囲」としています(国立大学協会, 2026, Ⅱ(d)、4頁)。公立の要領のⅢ(総合型選抜)には募集人員の定めがありません(公立大学協会, 2026, Ⅲ、5〜6頁)。この点は文部科学省の考え方と同じで、実施要項は推薦の募集人員を入学定員の5割までとし(文部科学省, 2026a, 第8の2、8頁)、Q&Aは公募型の総合型選抜には募集人員の制約がないとしています(文部科学省, 2026c, Q3-4)。

公立大学の学校推薦型選抜も、多くは公募制です。文部科学省の「令和7年度大学入学者選抜実態調査」によると、学校推薦型選抜の種類を入学者数別に見た公募型の割合は、公立大学で90.3%でした(国立大学は98.4%)(文部科学省, 2026d, 5頁)。

出願・合格発表・入学手続の期日

推薦・総合型の期日は、国立大学の要領と同じ日付です(公立大学協会, 2026, Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ、4〜6頁)。とくに断りのない日付は2027年です。

出願・合格発表・入学手続の期日
項目期日要領の箇所
総合型選抜の出願2026年9月1日以降Ⅲ(a)
総合型選抜の合格発表2026年11月1日以降、2月10日までⅢ(a)(c)
学校推薦型選抜の出願2026年11月1日以降Ⅱ(c)
学校推薦型選抜の合格発表(共通テストを課さない)2026年12月1日以降、1月22日までⅡ(c)(f)
学校推薦型選抜の合格発表(共通テストを課す)2月10日までⅡ(f)
推薦・総合型で共通テストを課す場合の成績請求2月2日からⅣ
推薦・総合型の入学手続2月17日までⅡ(f)・Ⅲ(c)
推薦の辞退(出身学校長からの推薦入学辞退願)2月17日まで・大学の許可が要るⅡ(h)
総合型の入学辞退届2月17日までⅢ(d)

推薦の合格者は2月17日までに入学手続を行うので、他に出願済みの大学・学部を受験しても合格者とはならず、その旨を募集要項に明記します(Ⅱ(g))。辞退を許可された人は、出願済みの一般選抜を受験して合格者となりえます(Ⅱ(j))。ここまでは国立大学と同じ書き方です(公立大学協会, 2026, 4〜5頁)。

一般選抜の併願は「合計3つまで」

国立と公立で大きく違うのが、推薦・総合型で不合格になった場合に備えて出願できる一般選抜の数です。

公立大学の一般選抜は、「分離分割方式」(前期日程・後期日程)と「公立大学中期日程」の2つを併存させて行います(公立大学協会, 2026, Ⅰ1、1頁)。前期日程は2月25日から、後期日程は3月12日以降、公立大学中期日程は3月8日以降に試験を始めます(同, Ⅰ2、1頁)。国公立大学の志願者は、前期・公立大学中期・後期の各日程から1つずつ、合計3つまでの大学・学部に出願できます(同, Ⅰ3(a)、2頁)。出願期間は1月25日から2月3日までで、国立大学と同じです(同, Ⅰ3(b)、2頁)。

要領は、推薦を受けた人も総合型の志願者も、不合格となった場合に備えてこの「合計三つまで」の大学・学部に出願できるとしています(同, Ⅱ(i)・Ⅲ(g)、5〜6頁)。国立大学協会の要領は同じ箇所が「合計二つまで」です(国立大学協会, 2026, Ⅱ(i)・Ⅲ(h)、4〜5頁)。公立大学中期日程を行う公立大学があるために、国公立全体で出願できる数が1つ増えています。

公立大学中期日程には、後期日程と組み合わせて受験し2つの大学・学部に合格したとき、両方の合格発表を確かめたあとで入学先を本人が決める「事後選択制」が適用されます(公立大学協会, 2026, Ⅰ1(d)、1頁)。前期日程の合格発表は3月1日から10日まで、公立大学中期日程と後期日程の発表は3月20日から24日まで(できる限り23日まで)です(同, Ⅰ5(b)(c)、2頁)。2段階選抜の第1段階の結果発表は、前期日程が2月10日まで、公立大学中期日程が2月18日まで、後期日程が2月28日までです(同, Ⅰ5(d)、2頁)。

総合型選抜に合格したら

総合型選抜について、公立大学協会の要領Ⅲ(b)は「国公立大学の総合型選抜に合格し入学手続を完了した者は、前期、公立大学中期及び後期日程試験の合格者となりえないこととし、その旨を募集要項に明記する」と定めています(公立大学協会, 2026, Ⅲ(b)、5頁)。「国公立大学の」とあるので、国立大学の総合型選抜で入学手続を完了した人も、公立大学の一般選抜の合格者にはなりません。同じように、2月17日までに入学辞退届を出さない場合は、前期・公立大学中期・後期日程の合格者となりえません(同, Ⅲ(d)、5頁)。

総合型選抜の併願の可否について、公立大学協会の要領には定めがありません。共通テストの手続でも「国公立総合型選抜用」の成績請求情報には提供先の大学数の制限がありません(大学入試センター, 2026, 57頁)。併願を認めるかどうかは、大学ごとの出願要件で確かめます。

国立大学の要領と違うところ

国立大学協会の要領(2027年度)と公立大学協会の要領(2027年度)を項目ごとに並べると、違いは次のとおりです。

国立大学協会の要領(2027年度)と公立大学協会の要領(2027年度)を項目ごとに並べると、違いは次のとおりです
項目国立大学(国立大学協会)公立大学(公立大学協会)
推薦の募集人員の上限総合型と合わせて入学定員の5割(Ⅱ(d)・Ⅲ(b))推薦だけで入学定員の5割(Ⅱ(d))。総合型の定めなし
推薦・総合型の不合格に備えた一般選抜の出願合計2つまで(前期・後期)合計3つまで(前期・公立大学中期・後期)
総合型の合格・手続完了者が合格者となりえない日程前期・後期(Ⅲ(c))前期・公立大学中期・後期(Ⅲ(b))
前期日程の合格発表3月6日から10日まで3月1日から10日まで
中期・後期日程の入学手続の締切後期は3月27日(入学手続第1次締切期日)中期・後期は3月27日までに各大学が設定
国公立大学入学確認票合格者に提出させる推薦・総合型等で共通テストを課さない場合を除く
入試方法についての注記なし文部科学省の実施要項の趣旨・内容に十分留意する(Ⅳ)
合理的配慮の情報あらかじめ公表するあらかじめ情報公表等につとめる
欠員補充第2次募集に出願できる人(合格していた人)1つまたは2つの国立大学に合格していた人で、いずれにも入学手続をとっていない人1つまたは複数の国公立大学に合格していた人で、いずれにも入学手続をとっていない人

出典は、国立大学が国立大学協会の要領の1〜6頁、公立大学が公立大学協会の要領の1〜7頁です(国立大学協会, 2026)(公立大学協会, 2026)。

入学確認票の違いは、手続の場面で効いてきます。国立大学の要領は、入学手続で合格者に「国公立大学入学確認票」を提出させるとしています。公立大学の要領は同じ決まりを書いたうえで、括弧書きで「学校推薦型選抜、総合型選抜等において、大学入学共通テストを課さない場合は除く」としています(公立大学協会, 2026, Ⅳ、6頁)。大学入試センターの受験案内も、入学確認票が要るのは「国公立大学(公立短期大学及び一部の公立大学を除く。)」としています(大学入試センター, 2026, 58頁)。一方で、一つの国公立大学に入学手続を完了したあと、それを取り消して他の国公立大学へ入学手続をとれないという決まりは、公立大学の要領にも書かれています(公立大学協会, 2026, Ⅳ、6頁)。

全国の公立大学の推薦・総合型の数字

文部科学省の「令和7年度国公私立大学入学者選抜実施状況」(2025年5月1日現在)で、公立大学の数を見ます(文部科学省, 2025, 1〜2頁)。

全国の公立大学の推薦・総合型の数字
2025年度入試(令和7年度)・公立大学実施大学・学部入学志願者入学者
総合型選抜79大学・175学部7,157人2,183人
学校推薦型選抜97大学・213学部23,032人9,732人
一般選抜—134,342人24,321人
公立大学の計98大学・222学部164,531人36,236人

入学者に占める割合を計算すると、学校推薦型選抜が約26.9%、総合型選抜が約6.0%、合わせて約32.9%です(割合はこのサイトでの計算)。国立大学(合わせて約20.4%)より年内入試の比重が大きく、とくに学校推薦型選抜を行う公立大学は98大学のうち97大学でした。表には外国人留学生を対象とする選抜と第2次募集によるものも含まれ、区分の数え方が変わったため令和6年度以前の数値とは比べられないと注記されています(同, 1頁 注4・注9)。

選抜区分の数で見た割合は、文部科学省の実態調査にあります。公立大学の選抜区分(2,448区分)のうち、一般選抜は41.9%、総合型選抜は23.6%、学校推薦型選抜は34.5%でした(文部科学省, 2026d, 2頁)。2023年度・2024年度の総合型選抜はいずれも9.4%と載っていますが、2025年度と2024年度以前は単純に比較できないと注記されています(同, 2頁)。

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出典

よくある質問

公立大学の学校推薦型選抜は、国立大学の推薦と併願できますか。

できません。公立大学協会の実施要領も、国立大学協会の実施要領も、1人の入学志願者についての1年度の推薦は、共通テストを課すものと課さないものを含めて1つの大学・学部に限るとしています(公立大学協会, 2026, Ⅱ(a)、4頁)(国立大学協会, 2026, Ⅱ(a)、3頁)。共通テストの手続でも「国公立推薦型選抜用」の提供先は国公立あわせて1大学です(大学入試センター, 2026, 56頁)。

公立大学の推薦に落ちたら、一般選抜はいくつ出願できますか。

前期日程・公立大学中期日程・後期日程から1つずつ、合計3つまでです。要領は、推薦や総合型の志願者が不合格になった場合に備えて、この合計3つまでの大学・学部に出願できるとしています(公立大学協会, 2026, Ⅰ3(a)・Ⅱ(i)・Ⅲ(g)、2・5・6頁)。

公立大学の総合型選抜にも募集人員の上限はありますか。

公立大学協会の要領には、総合型選抜の募集人員の上限の定めがありません。5割の上限は学校推薦型選抜の募集人員だけに掛かります(公立大学協会, 2026, Ⅱ(d)、4頁)。文部科学省のQ&Aも、公募型の総合型選抜には募集人員の制約がないとしています(文部科学省, 2026c, Q3-4)。

公立大学の総合型選抜に合格したら、国立大学の前期日程を受けられますか。

受験はできても合格者にはなりません。公立大学協会の要領は、国公立大学の総合型選抜に合格し入学手続を完了した人は、前期・公立大学中期・後期日程の合格者となりえないとし、その旨を募集要項に明記するとしています(公立大学協会, 2026, Ⅲ(b)、5頁)。

公立大学の推薦で共通テストを課さない場合も、国公立大学入学確認票は要りますか。

公立大学協会の要領は、入学手続で国公立大学入学確認票を提出させる決まりから、学校推薦型選抜・総合型選抜等で共通テストを課さない場合を除いています(公立大学協会, 2026, Ⅳ、6頁)。具体的な手続は大学の募集要項で確かめます。

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