総合型選抜の資料室運営: 武蔵野個別指導塾 武蔵境本校

年内入試で学力をどう確かめるか——実施要項が定める、2月1日より前の学力テストの条件

最終更新:2026-10-09

「年内入試」は通称で、実施要項にこの言葉はありません。要項の言葉で言い直すと、総合型選抜と学校推薦型選抜で、2月1日より前に学力を確かめるときのきまりです。学力の確かめは必須、教科の学力テストを年内に行うのは例外という二段の構えを、条ごとに読みます。

資料の年度:2027年度(令和9年度)入試/確認日:2026-10-09

「年内入試」を実施要項の言葉で言い直す

総合型選抜と学校推薦型選抜は、合格の発表が年内に出ることが多いため「年内入試」と呼ばれます。ただ、文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(2027年度入試のきまり。以下、実施要項)にこの言葉はありません。要項が定めているのは、総合型選抜の出願が2026年9月1日以降・発表が11月1日以降、学校推薦型選抜の出願が11月1日以降・発表が12月1日以降という時期です(文部科学省, 2026a, 第4の4・5、4頁)。

この時期に学力をどう確かめるかについて、要項は二段の構えをとっています。

  1. 学力の確かめは必須。総合型選抜でも学校推薦型選抜でも、調査書などの出願書類だけで決めず、4つの評価方法のうち少なくとも1つを必ず使う。
  2. 教科の学力テストを2月1日より前に行うのは例外。原則の期日は2月1日以降で、総合型・学校推薦型だけが条件つきで前に行える。

この頁は、この二段を条ごとに読みます。高校生には「年内の学力テストがなぜこの形なのか」を、進路指導の先生には「募集要項の配点や試験科目をどの条と照らせばよいか」を示すのがねらいです。総合型選抜と学校推薦型選抜の定義そのものは、総論の総合型選抜とは——実施要項で読むにあります。

原則——学力テストは2月1日から3月25日まで

実施要項は、大学が一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜で行う教科・科目の個別テストの期日を、2027年2月1日から3月25日までの間と定めています。合格者の決定発表は3月31日までです(文部科学省, 2026a, 第4の2、4頁)。

なぜ2月1日なのか。大学入学者選抜協議会の「大学入学者選抜実施要項の遵守についてのお願い」は、入学者選抜は高校における適切な教育の実施を阻害しないように行うべきもので、個別テストの期日は「この観点から原則として2月1日以降と定められている」と説明しています。総合型選抜と学校推薦型選抜は、多面的・総合的な評価を時間をかけて丁寧に行うために「例外的にその前に実施することが認められて」いる、という位置づけです(文部科学省, 2026e, 3頁)。

要項の第1(基本方針)も、大学入学者選抜は高校の教育と大学の教育を接続する教育の一環であり、「高等学校における適切な教育の実施を阻害することとならないよう配慮する」と書いています(文部科学省, 2026a, 第1、1頁)。2月1日という線は、高校3年の授業の時間を守るための線だと読めます。

学力の確かめは必須——4つの評価方法

総合型選抜の③と学校推薦型選抜の②は、ほぼ同じ文です。

「言語能力及び数理的思考力を含め大学教育を受けるために必要な知識・技能、思考力・判断力・表現力等も適切に評価するため、調査書等の出願書類だけではなく、第6の1から4に掲げる評価方法のうち少なくともいずれか一つを必ず活用し、その旨を募集要項に記述する。」(文部科学省, 2026a, 第3の1(2)③、2頁)

学校推薦型選抜では「調査書等の出願書類」が「高等学校の学習成績の状況など調査書・推薦書等の出願書類」になっています(同, 第3の1(3)②、3頁)。評定平均だけで合否を決める推薦は、要項の上では認められていないことになります。

4つの評価方法と、2月1日より前に行えるかどうかを並べると次のとおりです(文部科学省, 2026a, 第4・第6、4〜7頁)。

4つの評価方法と、2月1日より前に行えるかどうかを並べると次のとおりです(文部科学省, 2026a, 第4・第6、4〜7頁)
評価方法(要項の条)中身2月1日より前に行えるか
第6の1 教科・科目に係る個別テスト大学が行う教科の学力テスト。学習指導要領に準拠総合型・学校推薦型に限り、第3の1を守れば行える(第4の4・5)
第6の2 大学入学共通テスト本試験 2027年1月16日・17日実施日は国が定める。総合型・学校推薦型でも利用できる(第6の2(3))
第6の3 小論文・面接・実技検査等小論文、面接、実技検査、エッセイ、口頭試問、ディベート、集団討論、プレゼンテーションなど行える(第4の3)
第6の4 資格・検定試験等英語の4技能の検定、専門学科の資格、国際科学オリンピック、国際バカロレアなど行える(第4の3)

第4の3は「第6の3から5に掲げる評価方法については、令和9年2月1日よりも前から実施することができるが、高等学校教育に対する影響や入学志願者に対する負担に十分配慮する」と定めています(文部科学省, 2026a, 第4の3、4頁)。第6の5は本人が書く資料や高校に書いてもらう資料で、学力の確かめに数える4つには入りませんが、時期の扱いは小論文などと同じです。

2月1日より前に個別テストを行う条件

総合型選抜の第4の4は、次のように定めています。

「その評価に当たっては、時間をかけて丁寧な選抜を行うという趣旨を十分に踏まえ、第3の1(2)に記載の事項を遵守した上で、教科・科目に係る個別テストを令和9年2月1日よりも前に実施することができる。この場合、高等学校教育に対する影響や入学志願者に対する負担に十分配慮する。」(文部科学省, 2026a, 第4の4、4頁)

学校推薦型選抜の第4の5も、「第3の1(3)」を守ったうえで同じように行えるとしています(同, 第4の5、4頁)。「第3の1を守る」の中身を整理すると、年内に個別テストを行う選抜は少なくとも次を満たすことになります。

2月1日より前に個別テストを行う条件
条件総合型選抜学校推薦型選抜根拠
本人が書く資料を必ず評価に使う必要(推薦書・調査書が主な資料)第3の1(2)①・(3)
面接による評価を必ず行う必要必要(非公募型で入学を確約するものは大学が判断)第3の1(2)②・(3)①
個別テストは学修に必要な範囲で、高校段階の基礎的な学習の成果を問う必要必要第3の1(2)③・(3)②
個別テストはほかの評価方法とバランスの取れた配分で判定に使う必要必要同上、Q3-3
高校教育への影響と受験生の負担に十分配慮する必要必要第4の4・5

Q&Aは配分について「その成績が実質的に評価・判定の大部分を占めることがないように留意してください」と答えています(文部科学省, 2026c, Q3-3)。協議会資料の「よくある質問①」にも同じ問答が載っています(文部科学省, 2026e, 6頁)。

「基礎的な学習の成果」と「バランスの取れた配分」の読み方

この2つの言葉には、要項にもQ&Aにも数字の定義がありません。原本から言えるのは次のことだけです。

基礎的な学習の成果。条文は「各大学における学修に必要な範囲で、高等学校段階での基礎的な学習の成果を問うもの」です(文部科学省, 2026a, 第3の1(2)③、2頁)。範囲を決める物差しは、その大学での学修に必要かどうかで、学部ごとに違いえます。あわせて、個別テストは学習指導要領に準拠し、教科・科目は学習指導要領に定められた教科・科目の中から大学が定めます(同, 第6の1(1)(2)、5頁)。高校で学ばない内容を出すことは想定されていません。

バランスの取れた配分。条文は「他の評価方法との間でバランスの取れた配分で判定に活用する」です(同, 2頁)。Q&Aが示す線は「大部分を占めることがないように」という否定の形だけで、何割までという線は引かれていません(文部科学省, 2026c, Q3-3)。そのかわり協議会は、各大学に「評価方法ごとの配点割合を公表すること」などで要項の趣旨に沿っていることを対外的に説明するよう求めました(文部科学省, 2026e, 3頁)。募集要項に評価方法ごとの配点が書かれていれば、それがこの説明に当たります。

なお「教科・科目に係る個別テスト」は、令和8年度の要項から使われている語で、それまでは「個別学力検査」と呼ばれていました。Q&Aは、大学のホームページや募集要項の文言を変えることまでは求めていません(文部科学省, 2026c, Q3-2)。募集要項に「学力検査」と書かれていても、要項の上では同じものです。

令和8年度と令和9年度の違い

年内の個別テストのきまりは、この2年で大きく動きました。新旧対照表で比べます(文部科学省, 2026d, 1〜5頁)(文部科学省, 2025, 2〜3頁)。

令和8年度と令和9年度の違い
点令和8年度(2026年度入試)令和9年度(2027年度入試)
前倒しの規定の置き場所第4の2(1)のなお書き第4の4(総合型)・第4の5(学校推薦型)
前倒しの条件調査書等の出願書類に加え、第6の3(小論文・面接等)または第6の5(本人が書く資料等)と必ず組み合わせて丁寧に評価する第3の1(2)・(3)の留意点を守る。面接の必須化、本人が書く資料(総合型)、基礎的な学習の成果、バランスの取れた配分を含む
第3の1の個別テストの扱い「第4の2に基づき実施すること」「学修に必要な範囲」「基礎的な学習の成果」「バランスの取れた配分」
小論文などで教科の知識を問わない留意「令和8年2月1日以前に行う際」に限る時期の限定なし
面接総合型・学校推薦型とも必須の規定なし必須(経過措置あり)

令和8年度は、小論文か本人が書く資料のどちらかと組み合わせさえすれば、配点の配分には条文の制限がありませんでした。通知によれば、令和8年度入試では一部の大学で、2月1日より前に行う個別テストの配点割合が著しく高い、またはほかの要素が点数化されていないなど、実質的に学力検査の成績に大きく偏って合否が決まる事例がありました(文部科学省, 2026b, 2頁)。協議会はこれを実質的な「一般選抜の前倒し」と呼び、要項の趣旨から許されないとしました(文部科学省, 2026e, 3頁)。令和9年度の「バランスの取れた配分」と面接の必須化は、この事例への答えです。変更点の全体は2027年度入試で実施要項の何が変わったかで条ごとに読めます。

小論文・総合問題との境目

第6の3(小論文・面接・実技検査等)の最後の段落は、次のとおりです。

「本記載の小論文・面接・実技検査等(第6の3)については、第6の1と異なる評価方法として規定している趣旨を踏まえ、専ら教科・科目に係る知識を問うこと(例えば、教科・科目に係る知識を問う問題を小論文等の形式で行うこと)にならないように留意しなければならない。」(文部科学省, 2026a, 第6の3、6頁)

小論文は第4の3で2月1日より前に行えますが、教科の知識を問う問題を「小論文」と名づけて年内に出すことは、要項の趣旨に合いません。令和8年度はこの留意が2月1日以前に行う場合に限られていましたが、令和9年度は時期の限定がなくなりました(文部科学省, 2026d, 5頁)。

境目が分かりにくいのは「総合問題」です。要項の第6の1(2)は、個別テストの工夫として「複数教科を統合して学力を判断する総合的な問題の出題など」を挙げています(文部科学省, 2026a, 5頁)。総合問題は個別テストの側に置かれていると読めます。文部科学省の令和7年度大学入学者選抜実態調査も、「個別学力検査」に学習指導要領の教科・科目の学力検査と「総合問題」を含め、小論文・面接・討論・実技検査等は含めないと定義しています(文部科学省, 2026f, 5頁)。一方、文部科学省の委託事業による調査研究は、①小論文・レポート・エッセイ、②面接・口頭試問・プレゼンテーション・集団討論、③総合問題について、「大学ごとに実施方法や定義が異なっている」としています(文部科学省, 2026g, 1頁)。募集要項で「総合問題」「小論文」と書かれた試験がどちらに当たるかは、その大学が募集要項で何をどう評価すると書いているかで読むことになります。

共通テストと資格・検定試験を使う年内入試

各大学は、総合型選抜と学校推薦型選抜でも共通テストを利用できます。成績の使い方は、一定の学力水準に達しているかの判定に主に使う資格試験的な利用や、成績の複数年度利用など、多様な工夫が望ましいとされています(文部科学省, 2026a, 第6の2(3)(4)、6頁)。共通テストを使う学校推薦型選抜は、合否の発表を「前日までのなるべく早い期日」にします(同, 第4の5、4頁)。共通テストの成績を合否に使う以上、発表は2027年1月の共通テストのあとになります。

実態調査によれば、令和7年度入試で、共通テストを利用していると答えた選抜区分のうち、さらに個別学力検査も行っていたのは、一般選抜で69.8%、総合型選抜で5.9%、学校推薦型選抜で1.7%でした(文部科学省, 2026f, 5頁)。共通テストを使う総合型・学校推薦型の大半は、教科の個別テストを重ねていないことになります。共通テストを使う推薦の手続は共通テストを使う学校推薦型選抜・総合型選抜で扱います。

資格・検定試験では、英語について英検やTOEFLなど4技能を測る検定の結果を使います。要項は、家庭環境や居住地域によって受検の負担が大きい人のために、検定を使わない選抜区分を設けたり、個別テストと検定のいずれか有利な方を使ったりする措置が望ましいとしています(文部科学省, 2026a, 第6の4(1)①、7頁)。大学は検定の具体的な活用方法を、分かりやすく示すことになっています(同, 第6の4(2)、7頁)。12大学の英語の要件は英語の資格・検定の要件にまとめています。

学力テストがあっても面接は必須

年内に学力テストを行う選抜でも、面接は省けません。Q&Aは「教科・科目に係る個別テストの実施の有無及び時期に関わらず、総合型選抜・学校推薦型選抜に位置付けるものについては、面接による評価を行ってください」と答えています(文部科学省, 2026c, Q3-5)。学力テストで学力を、面接で意欲や適性を、本人が書く資料で活動や目的意識を見る、という組み合わせが、要項の想定する総合型選抜の形です。

例外は、非公募型の学校推薦型選抜で入学を確約するもの(大学が面接の要否を判断)と、令和8年度からある区分の経過措置(遅くとも令和11年度入試までに面接を導入)の2つです(文部科学省, 2026a, 第3の1(3)①、3頁/第14、15頁)。

よくある取り違え

受験生が年内の学力テストに向けてどう準備するかは、この資料室では扱いません。運営者の公式サイトの総合型選抜(旧AO)入試対策へどうぞ。

このページの限界

出典

よくある質問

年内入試で学力試験を行うのは認められていますか。

認められています。実施要項は、総合型選抜と学校推薦型選抜について、第3の1の留意点を守ったうえで、教科・科目の個別テストを2027年2月1日より前に行えると定めています。高校教育への影響と受験生の負担には十分配慮することになっています(文部科学省, 2026a, 第4の4・5、4頁)。

年内入試の学力テストは何点分まで、という決まりはありますか。

数字の上限は要項にもQ&Aにもありません。Q&Aは、個別テストをほかの評価方法とバランスの取れた配分で使い、「その成績が実質的に評価・判定の大部分を占めることがないように」と答えています(文部科学省, 2026c, Q3-3)。大学入学者選抜協議会は、各大学に評価方法ごとの配点割合を公表するなどして説明するよう求めています(文部科学省, 2026e, 3頁)。

学力テストがない総合型選抜もありますか。

あります。学力の確かめに使える評価方法は4つあり、教科の個別テストはその1つです。共通テスト、小論文・面接・実技検査等、資格・検定試験等のどれかで学力を確かめる選抜もあります(文部科学省, 2026a, 第3の1(2)③、2頁)。どれを使うかは大学の募集要項に書かれます。

年内入試で学力テストがあれば、面接はなくてもよいのですか。

いいえ。Q&Aは、個別テストの実施の有無や時期に関わらず、総合型選抜・学校推薦型選抜に位置づける選抜では面接による評価を行うよう求めています(文部科学省, 2026c, Q3-5)。令和8年度からある区分には令和11年度入試までの経過措置があります(文部科学省, 2026a, 第14、15頁)。

「基礎的な学習の成果」とは、どの程度の問題のことですか。

要項に難易度の定義はありません。書かれているのは、大学での学修に必要な範囲で、高校段階の基礎的な学習の成果を問うということと、個別テストは学習指導要領に準拠して行うということです(文部科学省, 2026a, 第3の1(2)③、2頁/第6の1(1)、5頁)。

総合型選抜の対策(志望理由書・活動報告書・小論文・面接)は、武蔵野個別指導塾 武蔵境本校で副塾長の宮川涼が直接受け持っています。

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