偏差値が低くても高校の成績と書類で選ばれる入試はあるか|調査書の成績が大学での学業を予測する研究
47,303人の大学出願者を含む米国の研究では、高校の成績は入学試験の点より、大学を所定の期間で卒業することをよく予測しました。この人数は研究対象の大きさで、ある入試方式で合格した人数ではありません。模試の返却日に偏差値を見て、高校の授業や課題で積み重ねた成績を生かせる入試はあるのかと考える人もいるでしょう。高校の成績や書類を選考の材料にする総合型選抜・学校推薦型選抜はあり、出願資格と選考方法を分けて読むことが入口になります。
- 募集要項は、大学が出願や選考の条件を示す文書です。
- 「選考方法」の欄には、提出した書類や当日の試験をどう組み合わせるかが書かれます。
- ここから扱うのは、米国の大学進学で用いられる高校成績と共通試験、イタリアの心理学部の成績と入学試験を調べた研究で、日本の年内入試の研究ではありません。
- Sorgenteらは、イタリアの大学の心理学部の志願者5147人を対象に、高校の成績と入学試験の点を調べました。
47,303人の大学出願者を含む米国の研究では、高校の成績は入学試験の点より、大学を所定の期間で卒業することをよく予測しました。この人数は研究対象の大きさで、ある入試方式で合格した人数ではありません。模試の返却日に偏差値を見て、高校の授業や課題で積み重ねた成績を生かせる入試はあるのかと考える人もいるでしょう。高校の成績や書類を選考の材料にする総合型選抜・学校推薦型選抜はあり、出願資格と選考方法を分けて読むことが入口になります。
模試の偏差値は、その模試を受けた集団の中での得点の位置を表し、高校の評定は学校での学習状況を評価したものです。返された模試と通知表の印象が違っていても、まずはそれぞれが何を測った結果なのかを整理します。募集要項で見るのは、成績の条件を満たして出願できるかと、選考でどの資料や試験が評価されるかです。学校の成績を研究がどう位置づけているかを知ると、模試の結果に加えて何を進路の判断材料にすればよいかが見えてきます。
「偏差値低い」と検索したら、まず出願資格を読む
募集要項は、大学が出願や選考の条件を示す文書です。読むときは、志望する学部と入試方式が載ったページを開き、「出願資格」の欄から確かめます。ここに高校の成績の下限があれば、その基準を満たすことが出願の条件になります。評定平均や「全体の学習成績の状況」といった成績を表す言葉を探し、自分の調査書に記載される値と対応させて読みます。
その際は、全教科をまとめた成績の条件なのか、特定の教科についての条件なのかに注意します。対象となる学年や成績を区切る時期も一緒に読み、通知表の手元の数字だけで判断せず、高校で確認する内容をメモに残します。成績の数値条件が見当たらない場合は、出願資格の別の項目や注記、学部別の条件まで進んで読みます。「成績の下限の記載がない」と「成績を選考に使わない」は意味が違うため、続けて選考方法の欄へ目を移します。
学校推薦型選抜では、高校長の推薦を受けるための校内の手続も関わります。大学が定める出願資格と、高校が推薦を決める際の手続を、それぞれの確認先に分けると話が進みます。大学の基準を満たすかは募集要項で、高校でいつ相談し何を提出するかは担任や進路担当の先生と確かめます。総合型選抜の場合も、その名称から成績条件の有無を決めず、志望する方式の文章を読みます。
模試の判定が気になると、出願資格にも同じ物差しが使われるように感じるかもしれません。そこで、要項に書かれている条件を短く抜き出し、その隣に自分の現状を書くと比較しやすくなります。成績、履修した科目、卒業の見込みなど、条件ごとに確かめるものを分けておきます。模試の返却日にする作業としては、志望先を急いで消すより、要項の条件と照合する準備を整えることが先です。
選考方法で、成績・書類・試験の役割を見分ける
「選考方法」の欄には、提出した書類や当日の試験をどう組み合わせるかが書かれます。調査書は高校が作成する学習などの記録で、志望理由書は志願者が志望の理由などを書く書類です。どちらも書類ですが、記載する人も、伝える内容も異なります。「書類審査」という言葉があれば、何を提出し、何を評価するのかを提出書類の欄と照らして読みます。
出願資格に成績の下限が書かれていても、その数値がそのまま合否を決める線になるわけではありません。出願資格は選考に参加するための条件で、選考方法は参加した人を評価する仕組みです。成績を得点にするのか、書類全体の一部として読むのかは、配点や評価方法の記述に沿って区別します。出願条件を満たすことと、選考で評価を得るために準備することを別々に考えます。
面接や小論文が組み合わされている場合は、その評価の観点にも目を向けます。面接には学びたい内容の説明を求めるものや、教科の理解を口頭で問うものがあり、形式の記述から準備すべき内容を探します。小論文も、提示された文章を読むのか、資料を使うのかなど、課題の説明を読みます。書類が選考に含まれることを確かめた後は、併せて課される評価を含めて、自分の準備の全体を見積もります。
選考が段階にわかれているときは、各段階で使う資料と、その後の判定への扱いを順に追います。書類審査を通過してから面接に進む仕組みと、書類と面接をまとめて評価する仕組みでは、要項から読み取る順序も変わります。配点が示されている箇所はそのまま記録し、「総合的に判定」とある箇所はその表現を残します。書類の枚数や試験時間の長さから重みを推測せず、公表された評価方法を比較の土台にします。
高校の成績は、大学で学び続ける力を映す
ここから扱うのは、米国の大学進学で用いられる高校成績と共通試験、イタリアの心理学部の成績と入学試験を調べた研究で、日本の年内入試の研究ではありません。研究の「予測」は、過去の成績とその後の学業の結びつきを集団のデータから調べる意味です。GPAは履修した科目の成績を平均した指標で、研究では高校と大学の両方の成績を表すために使われます。これらの研究を読む目的は、高校の成績が、試験の点に加えてどんな情報を持つのかを知ることです。
Gallaらの研究は、47,303人の大学出願者の全国標本と、1,622人の高校最終学年の生徒の標本を使っています。高校の成績が大学の卒業を予測する力を、大学入学に使われる試験の点と比べました。高校の成績が試験の点に加えて持つ予測の力は、自己調整の指標によって説明されました。自己調整とは、自分の目標に合わせて注意や行動を整え、取り組みを続ける力のことです。
同じ分析で、試験の点が上乗せする予測の力は、考えたり理解したりする認知能力の指標によって説明されました。高校の成績と試験の点は、入学後につながる異なる側面を含む、という読み方になります。授業での学習を続けることと、決められた時間に問題を解くことを、同じ評価としてまとめずに考えるための結果です。模試の答案を復習すると同時に、学校で続けてきた学びも進路を考える材料として扱えます。
Allensworthらは米国の高校卒業生について、高校のGPAと、大学入学に用いる共通試験ACTの点を大学卒業との関係で比べました。高校のGPAと卒業の結びつきは強く、一貫しており、出身高校による差より大きい結果でした。一方、ACTの点と卒業の結びつきは弱く、その関係の現れ方も高校によって違っていました。学校ごとに成績のつけ方が違うという疑問に対し、学校の違いを考えても成績に予測の情報が残ることを示しています。
研究を比べると、試験の点が補う情報も見える
Sorgenteらは、イタリアの大学の心理学部の志願者5147人を対象に、高校の成績と入学試験の点を調べました。そのうち2559人について、大学での成績や期限内の卒業、中退などの記録を分析しています。高校のGPAは大学での学業を最もよく予測する指標でしたが、入学試験の点も高校のGPAで説明されない部分を予測しました。高校の成績に注目することと、試験で測る力を学習の課題として残すことを両立させる結果です。
研究を並べる際には、何を結果として測ったかをそろえて読みます。大学でよい成績を取ること、学位を取ること、所定の期間で卒業することは、それぞれ別の結果です。次の表は、比較した指標と測った結果を見失わないために、研究の対象と適用範囲をまとめたものです。
| 研究 | 国 | 何を予測したか | 何が言えないか |
|---|---|---|---|
| Gallaら | 米国 | 高校の成績と入学試験の点から、所定の期間での大学卒業を予測 | 日本の総合型選抜の個人の合格確率 |
| Allensworthら | 米国 | 高校のGPAとACTの点から、大学卒業を予測 | 日本の高校ごとの評定の公平さ |
| Sorgenteら | イタリア | 心理学部での成績、期限内の卒業、中退などを予測 | 他の学部も含む成績と試験の最適な配点 |
| Kobrinら | 米国 | 高校のGPAとSATの点から、入学後初年の成績を予測 | 日本の特定大学の選考方法の妥当性 |
学校の成績と模試の結果が食い違うときは、どちらかを取り消すように考える必要はありません。成績が比較的よい教科でも、模試の答案に読み違いや知識の抜けがあれば、そこは具体的な学習課題になります。逆に、模試で難しかった教科についても、学校で理解が進んだ単元や改善した取り組みを振り返れます。物差しごとの結果を残すことで、書類の準備と教科学習をどう並行して進めるかが考えやすくなります。
評定への疑問は、学校差と大学差に分けて考える
高校の成績を読む際には、「成績が高くつくようになったら、学力の情報は薄れるのではないか」という疑問があります。Pattisonらは、米国の全国を代表する標本を使い、成績の上昇と、成績が持つ信号としての力を調べました。信号としての力とは、成績の値が、その人の学業などについてどれだけ情報を伝えるかという意味です。結果は、高校の成績は上がっていたものの、その信号の力はほとんど低下していないというものでした。
この結果を読むときは、平均の成績が上がることと、成績が人の違いを伝える力を失うことを分けます。平均値の動きだけを見て成績の価値を決めるのではなく、その値が後の学業とどう結びつくかを見る必要があるためです。Allensworthらの研究も、学校の違いを考慮したうえで成績と卒業の関係を見ています。学校の成績に疑問を持つときほど、どの違いを問題にしているのかを言葉にすると、研究の結果を読み違えにくくなります。
一方、大学による予測力の違いを示したのがKobrinらの米国研究です。大学入学に使われる共通試験SATと高校のGPAについて、入学後初年の成績を予測する力を大学ごとに調べています。入学者のSATの平均点が高い大学ほど、高校のGPAの予測力が低くなる傾向がありました。複数大学をまとめた結果だけを見るより、どのような学生が入る大学で測った関係なのかも読むことが大切です。
こうした違いは、成績が高い人にも、模試に自信のない人にも関わります。成績の高さに安心して選考の別の課題を後回しにしたり、模試の結果だけで学校の学習を軽く扱ったりすると、要項が求める準備とずれてしまいます。志望学部がどのような学びを求め、どんな方法で確かめるかを読むことで、今の成績に加えて取り組む課題が具体的になります。研究の評価と、自分の出願準備の点検をつなぐ場所は、志望する方式の選考方法です。
出願前は、自分の成績と準備を要項に照らす
実際に方式を選ぶ際には、要項の条件と自分の記録を対応させます。成績条件については、対象教科、対象となる期間、高校が証明する内容を確かめます。高校への相談には、該当する要項の箇所と、判断に迷った言葉を持っていくと具体的に話せます。「推薦を考えている」という相談から進めて、「この成績条件を満たすか」「いつの成績で判断するか」と聞く内容を整理します。
次に、提出書類の設問と評価の観点を読み、自分が説明する事実を集めます。学校で取り組んだ課題、考えが変わった経験、志望分野への関心を持った経緯などを、書類で求められる内容に合わせて振り返ります。調査書に載る成績と、自分の言葉で説明する学びを行き来すると、数字の背景にある取り組みを整理できます。成績が高いことを繰り返すより、その学びを大学で何につなげたいかまで考える時間を取ります。
成績条件に届かない方式については、別の条件を持つ方式の要項を読み直すことになります。面接や小論文で得点を補う準備と、出願資格を満たすことは、別々に点検する必要があります。また、書類に書く材料を整理する時間や、当日の評価に向けた学習時間も見積もります。名称だけで受けやすさを決めず、今の学習を続けながら必要な準備を進められる方式を比べます。
最後に、候補ごとに「満たしている条件」「高校に聞くこと」「これから準備すること」を書き分けます。模試の返却日は、結果を受け止める日であると同時に、学校での学習も含めて進路を見直す機会になります。偏差値と評定を別の物差しとして扱えば、弱点の復習と、積み重ねた学びの説明を並行して進められます。高校の成績を生かせる条件と必要な選考への準備を照合することが、出願先を絞る手掛かりです。
よくある質問
模試の偏差値が低くても、年内入試に出願できますか
志望する方式の出願資格を満たしていれば、出願の対象になります。まず募集要項で成績などの条件を確かめ、学校推薦型選抜なら高校の推薦に必要な手続も確認します。模試の判定は今の学習課題を見直す材料として使い、出願の可否は要項の条件と自分の記録を照らして判断します。そのうえで、書類に加えて面接や小論文など何が課されるかを読み、準備に必要な時間を考えます。
高校の成績がよければ、書類だけで合格が決まりますか
合否の決め方は、募集要項の選考方法や配点の記載に沿って読みます。調査書を提出する方式でも、面接や小論文などを組み合わせて評価する場合があるので、選考の全体を確かめます。書類審査の中でも、調査書のほかに志望理由書などを提出するなら、それぞれの設問と役割を読みます。成績の条件を満たした後も、志望先が求める内容を説明し、課される評価に備える準備が続きます。
成績の下限が書かれていない方式は、どう読めばよいですか
出願資格の成績条件と、選考で成績を使うかどうかを分けて読みます。下限の記載を探した後は、学部別の注記を確認し、提出書類に調査書が含まれるか、選考方法にどう書かれているかへ進みます。解釈に迷う文章はその箇所を残し、大学の入試担当部署に質問する内容を具体的にします。高校には調査書の発行や推薦の手続を相談し、条件の読み取りと書類の準備をつなげます。
この記事の限界
測定された成果は、大学での成績や卒業、中退であり、日本の総合型選抜・学校推薦型選抜に出願した人の合否とは異なるため、研究の関連を個人の合格確率や評定を上げる効果へ置き換えることはできません。米国の大学進学とイタリアの心理学部を扱う研究が中心で、成績の尺度、選抜の仕組み、調査時期にも偏りがあり、日本の年内入試についての直接の検証は今後の課題です。本文は成績と試験の関係を読む手掛かりを示すもので、個々の高校の評定や、個人に適した出願先を判定するものではありません。出願条件と選考方法は年度によって変わるため、志望先の最新の募集要項と大学の発表を優先し、高校の手続と照らして判断する必要があります。
参考文献
- Galla ほか. Why High School Grades Are Better Predictors of On-Time College Graduation Than Are Admissions Test Scores: The Roles of Self-Regulation and Cognitive Ability. American Educational Research Journal. 2019;56(6):2077-2115.
- Allensworth ほか. High School GPAs and ACT Scores as Predictors of College Completion: Examining Assumptions About Consistency Across High Schools. Educational Researcher. 2020;49(3):198-211.
- Sorgente ほか. How to select candidates for an undergraduate degree in psychology? Combining high-school GPA and admission test score. Asia Pacific Education Review. 2025;26(2):459-471.
- Pattison ほか. Is the Sky Falling? Grade Inflation and the Signaling Power of Grades. Educational Researcher. 2013;42(5):259-265.
- Kobrin ほか. Contextual Factors Associated With the Validity of SAT Scores and High School GPA for Predicting First-Year College Grades. Educational Assessment. 2011;16(4):207-226.
要項の一文を、あなたの出願書類の一文に変えるところまで付き合う
- 向く人: 要項を読んでも、自分の評定と英検で出せる方式を絞り切れない高校生
- 向く人: 志望理由書と小論文を、出願の数か月前から一対一で書き直していきたい人
- 向かない人: 志望理由書や活動報告書を代わりに書いてほしい人
- 向かない人: 要項を自分で読まずに、受かるかどうかの見込みだけを知りたい人
このサイトは武蔵野個別指導塾の運営者が制作しています。武蔵境駅から徒歩30秒の完全1対1で、総合型選抜は代表の宮川が専任で担当し、ほかの科目は大学教員や東京大学などの大学院生が教えます。アルバイト講師はいません。
よくある質問
模試の偏差値が低くても、年内入試に出願できますか
志望する方式の出願資格を満たしていれば、出願の対象になります。まず募集要項で成績などの条件を確かめ、学校推薦型選抜なら高校の推薦に必要な手続も確認します。模試の判定は今の学習課題を見直す材料として使い、出願の可否は要項の条件と自分の記録を照らして判断します。そのうえで、書類に加えて面接や小論文など何が課されるかを読み、準備に必要な時間を考えます。
高校の成績がよければ、書類だけで合格が決まりますか
合否の決め方は、募集要項の選考方法や配点の記載に沿って読みます。調査書を提出する方式でも、面接や小論文などを組み合わせて評価する場合があるので、選考の全体を確かめます。書類審査の中でも、調査書のほかに志望理由書などを提出するなら、それぞれの設問と役割を読みます。成績の条件を満たした後も、志望先が求める内容を説明し、課される評価に備える準備が続きます。
成績の下限が書かれていない方式は、どう読めばよいですか
出願資格の成績条件と、選考で成績を使うかどうかを分けて読みます。下限の記載を探した後は、学部別の注記を確認し、提出書類に調査書が含まれるか、選考方法にどう書かれているかへ進みます。解釈に迷う文章はその箇所を残し、大学の入試担当部署に質問する内容を具体的にします。高校には調査書の発行や推薦の手続を相談し、条件の読み取りと書類の準備をつなげます。