難関大の年内入試の英語の基準はなぜ高いのか|英語で学ぶ授業と入学時の英語力の研究
オープンキャンパスで英語による授業の説明を聞き、募集要項の英語資格の欄を開くと、授業への期待と出願への不安が同時に浮かびます。難関大の年内入試で英語に高い水準を求める方式があるのはなぜか、その力を入学後のどこで使うのかが気になるところです。英語の基準を理解する手掛かりは、専門の内容を英語で読み、聞き、説明する学びとの関係にあります。まず出願に必要な条件を読み、その学部や課程の説明と並べると、資格取得の先にある準備が具体的になります。
- 募集要項を開いたら、対象となる学部、課程、選抜方式をそろえて英語の欄を探します。
- 英語で専門科目を教えることを、研究ではEMIと呼びます。
- 中国の大学で経営学を学ぶ学生を調べたXieほかの研究では、試験得点などの対象は100人でした。
- Aizawaほかは、東京の大学で英語による国際経営の課程に学ぶ日本人学生264人を調べました。
オープンキャンパスで英語による授業の説明を聞き、募集要項の英語資格の欄を開くと、授業への期待と出願への不安が同時に浮かびます。難関大の年内入試で英語に高い水準を求める方式があるのはなぜか、その力を入学後のどこで使うのかが気になるところです。英語の基準を理解する手掛かりは、専門の内容を英語で読み、聞き、説明する学びとの関係にあります。まず出願に必要な条件を読み、その学部や課程の説明と並べると、資格取得の先にある準備が具体的になります。
英語で専門科目を学ぶ授業では、言葉を理解しながら、その言葉で説明される概念や資料の関係も考えます。日本の大学生146人を対象にした研究でも、英語の知識と学術英語の技能が科目の成績を予測しました。ただし、これらの研究が示すのは授業での学びとの関係であり、個々の大学が基準を決めた理由や、年内入試に共通する最適な点数ではありません。募集要項の条件を満たすことと、希望する授業に向けて力を整えることを別々に確かめるのが、読み進める際の出発点です。
英語の基準は学部・課程の説明と並べて読む
募集要項を開いたら、対象となる学部、課程、選抜方式をそろえて英語の欄を探します。同じ大学名の下に複数の方式が並んでいても、自分が読むべきなのは希望する方式に対応する記述です。総合型選抜や学校推薦型選抜という区分に加え、その方式の出願資格、選考方法、注記を続けて読みます。英語資格が出願資格なのか、加点や換算の対象なのか、書類の参考資料なのかによって、その欄が果たす役割は変わります。
次に、学部や課程の説明に戻り、英語が学びのどこに登場するかを探します。「英語を学ぶ授業」と「英語で専門を学ぶ授業」は、確認する内容が異なります。前者では言語そのものの習得が中心になり、後者では経営学などの専門内容を英語で理解し、課題に取り組むことが中心になります。授業で使う言語、扱う専門分野、海外で学ぶ機会の位置づけを、説明に沿って書き出すと関係を追いやすくなります。
たとえば、授業の説明に英語による討論や発表があれば、聞き取る力に加えて自分の考えを述べる場面を想像できます。英語の文献を読むと書かれていれば、文章の意味だけでなく、主張と根拠をつかむ作業に目を向けます。これは、基準が高い方式を特定の学部に一律に結びつける読み方とは異なり、希望する課程の記述をたどる作業です。大学の知名度だけで基準の意味を判断するより、学ぶ内容と使う言語を対応させた方が、自分の志望とも照らしやすくなります。
日本の研究では英語の知識と学術英語が成績に結びついた
英語で専門科目を教えることを、研究ではEMIと呼びます。Roseほかは、日本の大学で英語による経営学の課程に在籍する146人について、試験と質問紙のデータを分析しました。英語力、学術英語の技能、動機づけを取り上げ、科目の成績との関係を比べています。学術英語とは、講義の要点をつかむ、資料を読んで説明するなど、学問を進めるために使う英語です。[1]
この研究では、英語の知識と学術英語の技能が、科目の成績を統計的に予測しました。ここで「予測する」とは、測った力の違いを手掛かりに、学生の成績の違いを説明する関係があったという意味です。一方、調べた動機づけは成績を予測しませんでした。英語で学びたいという気持ちを、授業の内容を処理する力と区別して見る必要があるという結果です。
受験生の準備に置き換えるなら、資格に向けた学習と、学びたい内容を英語で扱う練習を並べて考えられます。たとえば、短い説明文を読み、何が主張で何が根拠かを日本語で説明した後、英語でも要点を書いてみます。その際は、単語が読めなかったのか、文のつながりを追えなかったのか、内容そのものが難しかったのかを分けて記録します。この区別によって、語彙を補う課題と専門分野の基礎を学ぶ課題を、それぞれ見つけやすくなります。
研究の結果を読むときも、英語の得点と専門科目の成績という別の指標が扱われている点が大切です。資格の試験は英語の力を測り、専門科目の試験はその科目で学んだ内容を問います。両者の関係が示されたことは、英語が内容理解を支えるという見方に根拠を与えます。資格の目標を決める際にも、その先にどのような文章や説明を扱いたいのかを添えると、学習の目的が具体的になります。
海外の研究と比べると専門分野と言語環境が見えてくる
中国の大学で経営学を学ぶ学生を調べたXieほかの研究では、試験得点などの対象は100人でした。英語で学ぶ経営学の成績を予測したのは、ビジネス英語の力です。英語学習の動機づけは成績を予測せず、日本の研究と同様に、学びたいという気持ちと学ぶための言語技能が分けて扱われています。ここでは、経営学という内容に即した英語が調べられた点に注目できます。[2]
アラブ首長国連邦の大学を対象としたSchoeppの研究では、英語で学ぶ学部生953人について、英語試験IELTSとGPAの関係を調べました。GPAは、各科目の成績をまとめた平均的な成績指標です。この環境ではIELTSの点が大学での成績を予測し、6.0が目安として挙げられました。読み比べる際には、試験の種類と、成績を測った大学の授業環境を組み合わせて受け止めます。[3]
研究ごとの結果は、対象と測った成果をそろえて並べると見通しがよくなります。日本と中国の経営学の研究は、専門の内容を英語で扱う力に注目しています。アラブ首長国連邦の研究は、英語試験と大学の成績指標を対応させています。次の表では、学びにくさを調べた日本の研究も加えて、何を説明した結果なのかを区別します。
| 研究 | 国 | 人数 | 言えたこと |
|---|---|---|---|
| Roseほか | 日本 | 146人 | 英語の知識と学術英語の技能が科目の成績を予測した |
| Xieほか | 中国 | 100人 | ビジネス英語の力が経営学の成績を予測した |
| Schoepp | アラブ首長国連邦 | 953人 | IELTSが成績を予測し、6.0が目安とされた |
| Aizawaほか | 日本 | 264人 | 英語力は学びにくさと関係したが、明確な境目は見つからなかった |
基準を超えることと授業で困らないことは別に考える
Aizawaほかは、東京の大学で英語による国際経営の課程に学ぶ日本人学生264人を調べました。英語力は学生が感じる学びにくさを予測しましたが、ここを超えると学びが明確に楽になるという境目は見つかりませんでした。こうした境目を、研究では閾値と呼びます。聞く、読む、書くなどの技能ごとに学生が経験する難しさを見たことが、この研究の特徴です。[4]
この結果は、英語力が学習と関係することと、共通の境目を引けることが別の問題だと示しています。学生の語った経験には、専門内容についてすでに持っている知識、動機づけ、教室での学習環境も関わっていました。同じ英語の得点でも、扱う話題になじみがあるかどうかで、説明を追う際の負担は変わります。入学後の準備を考える際は、英語の総合点とともに、どの作業で手が止まるのかに目を向ける意味があります。
募集要項の基準は、出願の条件として読むときには明確な役割を持ちます。必要な資格や得点が記されているなら、その記述と自分の成績を対応させます。一方、授業への準備を考えるときは、読む速さ、講義の要点の整理、自分の説明の伝わりやすさなどを具体的に振り返ります。出願の条件を満たした後にも、その振り返りを続けることで、資格取得後の学習内容を決められます。
英語の点が高くても文章をまとめる作業が苦手なら、まず主張と理由を短く書く練習が考えられます。聞き取れた語は多いのに説明の流れを追えないなら、聞いた内容の順序や対比をメモする方法を試せます。ここで大切なのは、苦手な作業に名前を付けておくことです。高校の先生に相談するときも、漠然と英語が不安だと伝えるより、実際の文章やメモを示すと相談内容が具体的になります。
英語以外の学力と授業の支援も確認する
Linほかは、中国の大学で、同じ経営学の科目を英語で教える組と中国語で教える組を比べました。この研究は、授業条件の違いを利用して比較する準実験という方法で行われています。両方の組の成績に差はなく、英語で学んだ組では、英語力と学力の両方が成績を予測しました。そのうち、GPAで捉えた学力の方が英語力より強い予測因子でした。[5]
この結果から読み取るべきなのは、専門を学ぶ土台にも目を向けることです。文章の中の主張を比べる、図表の意味を読み取る、根拠に沿って自分の説明を組み立てるといった作業は、言語と内容の両方に関係します。資格の目標がはっきりすると英語だけに時間を集めたくなりますが、志望分野につながる高校の学習も計画に残します。日本語で説明するのが難しい内容については、まず内容を理解してから英語での表現を考える順序も取れます。
授業の支援については、学部の説明や履修に関する案内から、どのような学び方が用意されているかを探します。英語による文章作成の支援、専門科目につながる語学科目、授業内容を相談する機会などが、確認する項目です。用意されている場合は、利用する時期や対象となる学生も合わせて読みます。自分が苦手とする作業と支援の内容を対応させると、入学後にどこで助けを求めるかまで考えられます。
英語で専門を学ぶ希望がまだ固まっていない人は、言語より先に学びたい分野を確かめるところから始められます。資格を持っていることを出発点にしても、授業内容への関心を確かめる段階を入れると志望先を比べやすくなります。反対に、学びたい内容は明確で英語に不安がある人は、希望する課程の条件と支援を並べて読みます。どちらの場合も、現在の得点だけで自分の学び方を決めず、学問への関心と準備の課題を一緒に整理します。
出願前は条件・授業・現在の課題を照らす
出願前の確認では、募集要項にある条件を正確に読み取る作業を先に置きます。自分が選ぶ方式の名称と対象となる学部や課程を記し、英語資格の扱いが書かれた欄を対応させます。証明する成績と要項の表記が対応しているかを見て、注記や別表への参照も追います。条件の読み取りに迷う箇所は、要項のページと該当する文を控えておくと、高校で相談するときに話が進みます。
授業については、英語を使う科目と、その科目で求められる作業を書き添えます。シラバスという授業の計画書を読める場合は、授業内容だけでなく、課題や成績評価の方法にも目を通します。討論やレポートなどの記載があれば、自分がこれまで経験した学習と比べます。海外での学びに関心がある場合も、希望する課程での位置づけと、参加する際の条件を別に記録すると整理しやすくなります。
その後に、自分が今取り組む課題を具体的な行動に直します。英文の内容を説明する段階で止まったなら、読んだ文章と説明のメモを残し、何がつながらなかったかを確かめます。高校で相談するときは、資格の成績だけでなく、その記録と希望する授業の説明も持ち寄ります。出願の条件を満たすための学習と、授業の内容を理解するための学習を並べると、今の勉強の配分を話し合いやすくなります。
題名の「なぜ高いのか」に対して、研究が与える手掛かりは、英語が専門を学ぶ際の土台になるという点です。その手掛かりを志望先に結びつける作業は、募集要項と学部・課程の説明を照らすことから始まります。英語の基準を見た後に、そこで何を読み、聞き、書き、話すのかまで確かめます。基準への到達と希望する学びへの準備を並べることが、出願前の学習計画を具体的にします。
よくある質問
基準の資格を取れば合格に近づいたと考えてよいですか
出願条件として必要な資格を取った場合は、その条件を満たしたこととして整理します。続いて選考方法を読み、書類や面接など、英語資格とともに評価される項目を確かめます。合否を考える際は方式全体の記述を追い、学習計画では英語を使って専門内容を理解する練習も続けます。資格の取得状況と、ほかの選考項目への準備状況を並べて記録すると、出願までに取り組む課題が見えます。
英語の点が高ければ専門科目の準備を減らせますか
専門科目につながる学習も、準備の中に残すことが大切です。中国の経営学の比較研究では、英語で学ぶ学生の成績を、英語力より学力の方が強く予測しました。志望分野の内容を日本語で説明し、その要点を英語でも表してみると、内容の理解と表現の課題を区別できます。自分がどちらでつまずいたかを記録して、教科の学習と英語の学習にそれぞれ時間を配分します。
英語で学ぶ授業への不安は何を相談すればよいですか
授業で行う作業と、現在困っている作業を対応させて相談します。たとえば、講義の聞き取りに不安があるなら、単語を聞き取る段階か、聞いた説明をまとめる段階かを具体的に伝えます。学部の案内にある学習支援も持ち寄れば、入学までに取り組むことと入学後に相談することを整理できます。得点の高低だけで話を終えず、実際の英文や自分のメモを材料にすると、準備の内容を決めやすくなります。
この記事の限界
対象は主に日本、中国、アラブ首長国連邦で英語による専門教育を受ける大学生で、経営学の課程を扱った研究が多く、入学後の成績や学生自身が感じる学びにくさを調べています。日本の年内入試の研究ではないため、英語力と授業での学びの関係から、特定の選抜方式が基準を設定した理由や、級を取得した場合の合格の見込みまで判断することはできません。取り上げた論文は2018年から2023年に刊行されたもので、調査された課程の言語環境や支援のあり方を背景にしています。出願する年度の条件と授業の説明については最新の募集要項と大学の発表を優先し、個別の出願判断は希望する学びと自分の準備状況を照らして行います。
参考文献
- Rose ほか. What drives success in English medium taught courses? The interplay between language proficiency, academic skills, and motivation. Studies in Higher Education. 2020;45(11):2149-2161.
- Xie ほか. Success in English Medium Instruction in China: significant indicators and implications. International Journal of Bilingual Education and Bilingualism. 2022;25(2):585-597.
- Schoepp. Predictive validity of the IELTS in an English as a medium of instruction environment. Higher Education Quarterly. 2018;72(4):271-285.
- Aizawa ほか. Beyond the threshold: Exploring English language proficiency, linguistic challenges, and academic language skills of Japanese students in an English medium instruction programme. Language Teaching Research. 2023;27(4):837-861.
- Lin ほか. English-Medium Instruction and Content Learning in Higher Education: Effects of Medium of Instruction, English Proficiency, and Academic Ability. Sage Open. 2021;11(4).
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よくある質問
基準の資格を取れば合格に近づいたと考えてよいですか
出願条件として必要な資格を取った場合は、その条件を満たしたこととして整理します。続いて選考方法を読み、書類や面接など、英語資格とともに評価される項目を確かめます。合否を考える際は方式全体の記述を追い、学習計画では英語を使って専門内容を理解する練習も続けます。資格の取得状況と、ほかの選考項目への準備状況を並べて記録すると、出願までに取り組む課題が見えます。
英語の点が高ければ専門科目の準備を減らせますか
専門科目につながる学習も、準備の中に残すことが大切です。中国の経営学の比較研究では、英語で学ぶ学生の成績を、英語力より学力の方が強く予測しました。志望分野の内容を日本語で説明し、その要点を英語でも表してみると、内容の理解と表現の課題を区別できます。自分がどちらでつまずいたかを記録して、教科の学習と英語の学習にそれぞれ時間を配分します。
英語で学ぶ授業への不安は何を相談すればよいですか
授業で行う作業と、現在困っている作業を対応させて相談します。たとえば、講義の聞き取りに不安があるなら、単語を聞き取る段階か、聞いた説明をまとめる段階かを具体的に伝えます。学部の案内にある学習支援も持ち寄れば、入学までに取り組むことと入学後に相談することを整理できます。得点の高低だけで話を終えず、実際の英文や自分のメモを材料にすると、準備の内容を決めやすくなります。