小論文の接続語は多いほど評価が上がるか|文のつながりと作文の評価の研究
図書室で小論文の下書きを読み返し、「しかし」や「したがって」を足せば筋の通った文章になるのか迷うことがあります。接続語は数を増やすより、前後の文の関係に合うものを選び、必要のない所には置かないことが大切です。段落の冒頭に目印があると、自分では話が整理されたように感じるかもしれませんが、読み手はその後に続く理由や具体例まで読んで判断します。総合型選抜や学校推薦型選抜の準備で小論文を書き始めたときは、言葉を補う作業と、主張を支える内容を考える作業の両方が必要です。
- 接続詞は、「しかし」「したがって」など、前後の内容の関係を示す言葉です。
- Crossleyらは、英語を第二言語として学ぶ大学生が学術英語の授業で書いた作文を分析しました。
- Luらは、英語学習者の意見文3,911本を使い、接続語の数え方によって、人によるつながりの評価との関係がどう変わるかを調べました。
- Plakansらは、読む・聞く・書くを組み合わせた第二言語の作文試験で、答案の構成、論理の筋の通り方、つながりを示す語を調べました。
図書室で小論文の下書きを読み返し、「しかし」や「したがって」を足せば筋の通った文章になるのか迷うことがあります。接続語は数を増やすより、前後の文の関係に合うものを選び、必要のない所には置かないことが大切です。段落の冒頭に目印があると、自分では話が整理されたように感じるかもしれませんが、読み手はその後に続く理由や具体例まで読んで判断します。総合型選抜や学校推薦型選抜の準備で小論文を書き始めたときは、言葉を補う作業と、主張を支える内容を考える作業の両方が必要です。
作文のつながりと評価には、研究でも結びつきが見られていますが、測っているのは接続語の個数だけではありません。英語学習者の作文を分析した研究には、語の繰り返しや段落どうしのつながりなどをまとめて測ったものがあり、文脈を考慮した接続語の数え方を調べた研究もあります。[1][3]「つながりがある文章」と評価された理由を読むには、何を数え、何の点と比べたかに目を向ける必要があります。募集要項や過去の出題の講評にある「構成」「論理の一貫性」「表現の正確さ」を手掛かりに、研究の結果を下書きの見方へつなげていきます。
小論文の接続詞は「評価の観点」と合わせて読む
接続詞は、「しかし」「したがって」など、前後の内容の関係を示す言葉です。小論文で接続語を考えるときには、こうした語に加えて「このため」のような、文をつなぐ働きをする表現も視野に入ります。募集要項の評価の観点に「論理の一貫性」とあれば、結論までの理由に矛盾がないか、「表現の正確さ」とあれば、書き手の意図に合う表現になっているかを読む手掛かりになります。接続語はその関係を読み手に示す位置にあり、理由そのものを代わりに書いてくれる言葉ではありません。
接続語を多く使う生徒の文章に、良い評価が付くという研究はあります。Dugglebyらは高校段階の生徒が実用的な文章に使った、時間・因果・逆接・追加を表す接続語の数と、作文や読解の到達度テストの点との関係を調べました。接続語の数は、作文と読解の点に有意な相関がありました。[2]相関とは、ある数が大きい人ほど別の数も大きいといった結びつきであり、ここでは、もともと読み書きの力がある生徒ほど接続語を多く使う可能性を含んでいます。[2]
過去の出題の講評にある言葉は、下のように、答案のどの部分を見る話なのかに置き換えて読むと具体的になります。これは公表資料を読むための整理で、大学の採点表を再現したものではありません。実際に書かれている観点と、練習で使う観点を対応させておくと、接続語の修正が文章全体のどこに関わるかを説明しやすくなります。
| 要項や講評にある観点 | 答案で対応する部分 | 接続語だけでは補えない内容 |
|---|---|---|
| 構成 | 主張・理由・具体例の配置 | なぜその順番で説明するのか |
| 論理の一貫性 | 理由から結論への道筋 | 結論を支える根拠や条件 |
| 表現の正確さ | 文どうしの関係を示す言葉 | 主語や指示語が何を指すのか |
つながりの特徴が説明した42%の読み方
Crossleyらは、英語を第二言語として学ぶ大学生が学術英語の授業で書いた作文を分析しました。機械で数えたのは、近くの文どうし、段落どうし、文章全体のつながりを示す特徴です。それらをまとめた指標は、人が付けた文章のつながりの評価のばらつきの36%、作文全体の評価のばらつきの42%を説明しました。[1]ここでいう「説明」は、採点された作文間の点の散らばりを、測った特徴からどの程度捉えられたかという統計上の意味です。
42%という値を、接続語を足した人の点がその割合だけ上がったと読むと、研究で測ったものを取り違えます。この分析には、接続語に加えて語の繰り返しなども含まれ、文章の複数の特徴が一緒に扱われています。[1]たとえば同じ対象について述べ続ける文章では、対象を表す語が続けて現れること自体もつながりの手掛かりになります。接続語の直前と直後だけを見る読み方では、こうした文章全体にわたるつながりが視野から抜けます。
この研究は、授業で書かれた作文を観察したもので、接続語を増やす組と増やさない組に分けて効果を比べた実験ではありません。[1]研究の結果を読む際には、「何を変えた結果か」よりも「どんな文章の特徴が評価と結びついたか」が中心になります。文章全体の評価という結果を扱っていても、個々の接続語に配点を割り振ったわけではなく、測った特徴のまとまりと人の評価の関係を示しています。[1]この点を踏まえると、表現の個数を目標にするより、同じ対象や論点が文章の中でどう受け継がれているかに注目する根拠として読めます。
文脈に合った意味で数えると見える関係
Luらは、英語学習者の意見文3,911本を使い、接続語の数え方によって、人によるつながりの評価との関係がどう変わるかを調べました。従来のように語を数える指標と、その文脈でどのような意味の関係を示しているかを考慮する指標を比べています。文脈上の意味を考慮した指標では23個が評価と意味のある相関を示し、従来の指標で同様の関係があったものは少数でした。[3]意味を考慮する指標のほうが、つながりの評価を予測する力も高い結果でした。[3]
この分析の要点は、同じ語を置いたとしても、周りの内容との関係が評価を考える材料になることです。[3]「したがって」は、先に述べた内容から後の判断を導くことを示すので、その前には判断の根拠が必要になります。「しかし」は前の内容から予想される方向を変えたり、対立する内容を示したりするので、何と何が対立するのかが文章に現れる必要があります。語の一覧から選ぶ作業より先に、読み手にどの関係を伝えたいのかを言葉にすることが、意味を考慮するという発想に対応します。
文の関係を整理するための例として、「移動に時間がかかる。したがって、オンラインで参加する方法を設ける」という文章を考えます。ここには、移動の負担を減らすことが目的だという考えがあり、それが前の説明に現れていれば、後の提案への道筋を読み取りやすくなります。一方、「移動に時間がかかる。さらに、参加できる曜日が限られる」なら、問題点を追加しているため、結論を導く語より追加を示す語が合います。募集要項で表現の正確さが挙げられているときは、このように、前後に実際に書いた内容と接続語の働きが合うかという観点に置き換えられます。
語の目印が多くても点の高低を分けなかった研究
Plakansらは、読む・聞く・書くを組み合わせた第二言語の作文試験で、答案の構成、論理の筋の通り方、つながりを示す語を調べました。構成と筋の通り方は試験の点と関係しており、点が高い答案ほど質が良くなっていました。一方、機械で数えたつながりの語については、点数の段階の間で統計上の差が見られませんでした。[5]同じ答案を扱っていても、内容がどう組み立てられているかを見る分析と、目印となる語を数える分析では、捉えたものが違っていたのです。
この結果から考えると、課題文を踏まえて書く練習で、文頭の接続語だけを整えて終える方法には見落としが生じます。Plakansらの研究で点と関係したのは、文章の組織立てや筋の通り方という、内容を読む側面でした。[5]たとえば課題文の説明から自分の意見に進む際、課題文に書かれた事実と、自分がその事実をどう捉えたかが入り交じっていると、接続語の選択だけでは整理がつきません。要項や出題の講評に「課題の理解」や論理に関わる記述がある場合は、語の使い方とともに、どの内容を根拠にしたかが読み取れる文章かを考える必要があります。
Crossleyらによる、第一言語と第二言語の作文評価を扱った総説でも、つながりの指標は専門家の評価を強くは予測しませんでした。[4]総説は、関連する研究の結果をまとめて論じたもので、この論文は同じ研究グループの一連の分析を扱っています。作文の評価と関係する特徴はつながりだけに限られておらず、この総説と、つながりの特徴をまとめて評価との関係を調べた分析では、結果の読み方に幅があります。[1][4]どの研究でも同じ指標が同じ強さで評価と結びつく、という揃った結果にはなっていません。
接続語を足す練習が向かない下書き
Boltonらは、香港と英国の大学生の文章を集めた資料と、専門家の学術的な文章を比べ、接続語の頻度を調べました。学生の文章では、母語話者か非母語話者かにかかわらず、幅広い接続語が専門家より多く使われていました。[6]ただし、この研究は使う頻度を比較したもので、使いすぎによって採点が下がったことを調べたものではありません。[6]注目する点は、文章を書く経験の違いを、単純な接続語の多さの順に並べられなかったことです。
Boltonらの比較は、すでに文頭に目印を多く置いている下書きで、さらに数を足す練習を選ぶ前に考える材料になります。[6]「さらに」が続いている文章なら、書き手は理由を積み上げているつもりでも、実際には前の理由の具体例を述べている箇所が含まれているかもしれません。追加の理由と具体例では、後の文が受け持つ役割が変わるため、同じ接続語を置き続けると、その役割が読み手に伝わりにくくなります。募集要項の「構成」という観点を下書きに当てるなら、各部分が理由なのか、例なのか、結論なのかを読む作業に意味があります。
主張を支える理由がまだ書けていない下書きでも、接続語を選ぶ作業だけを先に進めると、考えるべき内容が残ります。たとえば「利用者が増えた。したがって、制度を続けるべきだ」という文には、人数が増えたことを継続の理由にするための説明が必要です。募集要項や講評に論理の一貫性が挙げられていれば、制度の目的に照らして利用の増加をどう評価するのか、継続を判断する条件は何かを、根拠として文章に置くことが検討の対象になります。接続語を入れ替える作業が向くのは関係の表し方がずれている場合で、理由が欠けている場合には、その理由を書く作業が先になります。
出願までにすること
研究の結果を練習へ移す際は、要項にある観点を選び、下書きの具体的な箇所について判断する形にします。Luらが扱った文脈上の意味と、Plakansらが扱った構成や筋の通り方を手掛かりにすると、語の選択と内容の配置を点検する作業を組み合わせられます。[3][5]年内の出願に向けて答案を直す際には、次の順で記録を残すと、次回の練習でどこを直すのかが明確になります。
- 志望する方式の募集要項と過去の出題の講評から、構成・論理の一貫性・表現の正確さに関わる記述を抜き出します。抜き出した言葉の横に資料の年度と欄の名前を付け、出題への条件なのか、答案の評価に関わる説明なのかを書き添えます。講評が出題ごとに付いている場合は、どの問いに対する説明なのかも記録します。
- 下書きの接続語に印を付け、その横に「理由から結論」「対立」「追加」「具体例」など、前後の内容の関係を書きます。分類しにくい箇所は、先に前後の文を短く言い換え、何を受けて何を述べたのかを確かめます。その上で、語を変える箇所、削る箇所、根拠を補う箇所に分けて修正します。
- 直した答案を、元の答案とともに学校の先生など読み手に渡し、どこからどの結論を導いたと読めるかを尋ねます。「読みやすくなったか」だけで終えず、解釈が自分の意図とずれた文に印を付けてもらいます。返された説明と自分の意図を照らし合わせ、次の答案で気を付ける点を短いメモに残します。
研究では、文脈に即したつながりの指標や文章の構成が、読み手の評価と結びついていましたが、接続語を増やしたときに入試の点がどれだけ変わるかは示されていません。[3][5]
よくある質問
課題文にある接続語を引用するときも自分で直すのか
引用では、元の文章を自分の都合で書き換えず、引用した部分と自分の説明が読み手に伝わる形にします。課題文にある「しかし」が、それ以前のどの内容を受けているかも、引用する範囲を決める際の判断材料です。必要な文脈が抜けるなら、引用の範囲を見直すか、筆者の考えを自分の言葉で説明する方法を考えます。解答上の引用方法に指示がある場合は、その指示に沿って書きます。
先生によって接続語の直し方が違うときはどうするか
まず、先生が同じ箇所を同じ目的で直しているかを尋ねます。ある先生は接続語の意味を、別の先生は文章の調子を見て提案していることも考えられるため、変更の理由を聞くことが出発点になります。「この語はいつも避ける」という一覧にするより、今回の文ではどのように読めたために修正したのかを説明してもらいます。答案を返された際のコメントに、その理由を添えて残すと、助言の食い違いを具体的に扱えます。
試験中に接続語の誤りに気づいたらどう訂正するのか
解答用紙や試験当日の注意にある、訂正方法の指示を優先します。消して書き直す場合も、後の文まで無理に詰め込まず、修正後の文が読める状態に整える必要があります。接続語の変更で文の意味も変わるときは、修正部分だけでなく、その前後まで目を通します。使用する筆記具や用紙の扱いに疑問がある場合は、本番の案内で質問の手順を確かめておくと、判断に迷った際の対応が明確になります。
この記事の限界
測定の対象には、接続語の頻度、文脈上の意味を考慮した指標、文章全体のつながりなどがあり、比較する評価も、つながりの評価と作文全体の点にわかれています。[1][3][5]中心となるのは英語で書く作文の研究で、日本の年内入試の答案を対象に、接続語を増減させる指導の効果を確かめたものではありません。観察された結びつきには書き手のもともとの読み書きの力も関わり、文章を直す手順については、研究結果を踏まえた練習上の提案として示しています。実際の出願で求められる文章や評価の観点については、受験する年度の募集要項と大学が公表する出題の説明が基準です。
参考文献
- Crossley ほか. The development and use of cohesive devices in L2 writing and their relations to judgments of essay quality. Journal of Second Language Writing. 2016;32:1-16.
- Duggleby ほか. Does the Use of Connective Words in Written Assessments Predict High School Students’ Reading and Writing Achievement?. Reading Psychology. 2016;37(4):511-532.
- Lu ほか. Sense-aware connective-based indices of cohesion and their relationship to cohesion ratings of English language learners’ written production. Studies in Second Language Acquisition. 2024;46(3):644-662.
- Crossley ほか. Understanding expert ratings of essay quality: Coh-Metrix analyses of first and second language writing. International Journal of Continuing Engineering Education and Life-Long Learning. 2011;21(2/3):170.
- Plakans ほか. Exploring the relationship of organization and connection with scores in integrated writing assessment. Assessing Writing. 2017;31:98-112.
- Bolton ほか. A corpus-based study of connectors in student writing. International Journal of Corpus Linguistics. 2002;7(2):165-182.
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よくある質問
課題文にある接続語を引用するときも自分で直すのか
引用では、元の文章を自分の都合で書き換えず、引用した部分と自分の説明が読み手に伝わる形にします。課題文にある「しかし」が、それ以前のどの内容を受けているかも、引用する範囲を決める際の判断材料です。必要な文脈が抜けるなら、引用の範囲を見直すか、筆者の考えを自分の言葉で説明する方法を考えます。解答上の引用方法に指示がある場合は、その指示に沿って書きます。
先生によって接続語の直し方が違うときはどうするか
まず、先生が同じ箇所を同じ目的で直しているかを尋ねます。ある先生は接続語の意味を、別の先生は文章の調子を見て提案していることも考えられるため、変更の理由を聞くことが出発点になります。「この語はいつも避ける」という一覧にするより、今回の文ではどのように読めたために修正したのかを説明してもらいます。答案を返された際のコメントに、その理由を添えて残すと、助言の食い違いを具体的に扱えます。
試験中に接続語の誤りに気づいたらどう訂正するのか
解答用紙や試験当日の注意にある、訂正方法の指示を優先します。消して書き直す場合も、後の文まで無理に詰め込まず、修正後の文が読める状態に整える必要があります。接続語の変更で文の意味も変わるときは、修正部分だけでなく、その前後まで目を通します。使用する筆記具や用紙の扱いに疑問がある場合は、本番の案内で質問の手順を確かめておくと、判断に迷った際の対応が明確になります。