年内入試で話を盛ると面接官に見抜かれるか|受け答えの誇張と見抜く力の研究
部活や活動の経験を少し大きく話せば印象が良くなるのか、それとも面接官に見抜かれるのかが気になります。誇張は見抜かれるとは限りませんが、評価との関係は一方向ではなく、準備では自分が実際に担った役割を具体的に伝えることが大切です。総合型選抜や学校推薦型選抜に向けて経験を言葉にすると、仲間と取り組んだ成果をどこまで自分の成果として語るかで迷うことがあります。立派な役職がない、目立つ結果を残していないという気持ちから、担当した範囲を広げて話したくなる場合もあります。
- 募集要項の「面接の実施方法」は、受け答えの準備の前提を読む欄です。
- 同じ参加者が「できるだけ正直に」と「応募者のつもりで」という指示で模擬面接を受けた実験では、応募者のつもりで臨んだときのほうが評価は高くなりました。
- 構造化面接を受けた182人について、自分の印象操作の申告と、録画された答えを調べた研究があります。
- 印象を整えることには、実際の経験から質問に合う部分を選び、相手が理解しやすい順に話すことも含まれます。
部活や活動の経験を少し大きく話せば印象が良くなるのか、それとも面接官に見抜かれるのかが気になります。誇張は見抜かれるとは限りませんが、評価との関係は一方向ではなく、準備では自分が実際に担った役割を具体的に伝えることが大切です。総合型選抜や学校推薦型選抜に向けて経験を言葉にすると、仲間と取り組んだ成果をどこまで自分の成果として語るかで迷うことがあります。立派な役職がない、目立つ結果を残していないという気持ちから、担当した範囲を広げて話したくなる場合もあります。
面接の準備を考える材料として役立つのは、相手が誇張に気づくか、誇張した答えがどんな評価と結びつくか、選ばれた後に本人がどう感じるかを順に見ることです。採用面接を扱う研究には、見抜く難しさを示す結果も、話を盛るほど評価が低い傾向を示す結果もあります。[1][4]面接官をだませるかだけに関心を絞ると、伝えた人物像と自分の希望との関係が抜け落ちます。募集要項の実施方法と提出する活動の記録を土台に、研究が測った中身から考えていきます。
面接で盛る話は、経験のある面接官にも見抜きにくい
募集要項の「面接の実施方法」は、受け答えの準備の前提を読む欄です。「提出書類にもとづく質問」と書かれていれば、活動報告書や志望理由書の記述が会話の出発点になります。「個人」「集団」は受験者がどのような形で参加するかを示すため、書類にもとづくかという情報と組み合わせて読みます。実施方法に書かれた範囲から準備を考えるのであって、面接官の年齢や経験を想像して、見抜かれやすさを決める欄ではありません。
職業として面接をする246人と、経験の浅い270人に面接の映像を見てもらった研究では、応募者の印象操作を見抜く試みはしばしばうまくいきませんでした。[1]印象操作とは、相手に良い印象を持ってもらおうと、自分の見せ方を調整することです。この研究では、事実を使った正直な印象操作より、話を盛ったり作ったりする偽りの印象操作のほうが見抜きにくい結果でした。[1]経験の長さは見抜く力と関係せず、質問の型は関係していました。[1]
さらに同じ研究では、面接官が「盛っている」と感じたかどうかが評価と結びついていました。[1]つまり、誇張を正確に見分けたことと、誇張を疑って評価したことを分けて結果を読む必要があります。著者らは、見抜けないまま評価を下げようとしてもうまくいかない可能性を指摘しています。[1]この結果を「話を盛れば通用する」と受け取るより、面接官の見抜く力だけでは評価の仕組みを説明しきれないと読むほうが、続く研究を理解しやすくなります。
質問の形によって、印象を整える効果は変わる
同じ参加者が「できるだけ正直に」と「応募者のつもりで」という指示で模擬面接を受けた実験では、応募者のつもりで臨んだときのほうが評価は高くなりました。[2]面接には自由な質問と構造化された質問が含まれ、評価の上がり幅は自由な質問のほうが大きい結果でした。[2]構造化とは、質問や評価の進め方に共通の枠組みを設けることです。自分をどう見せるかによる点の動きは、質問の形によって変わっていました。[2]
この実験で比べたのは、同じ人が異なる指示で受け答えをしたときの評価です。[2]「応募者のつもりで」という条件は、特定の活動をどれだけ誇張するかを全員でそろえた条件として説明されているわけではありません。何を見られているかを読み取る力が高い人ほど、評価の上がり幅も大きいという結果が示されています。[2]評価が上がった部分をすべて「作った話の効果」と呼ぶと、評価の観点をつかみ、伝える内容を選ぶ働きまで一緒に扱うことになります。
募集要項の実施方法にある情報と、この実験の比較を対応させると、読むときの着眼点が整理できます。書類を使うという記述は質問の材料を示し、個人か集団かという記述は参加の形式を示します。自由な質問か構造化された質問かという研究上の分類まで、その語だけで決めるものではありません。下の表は、要項から読める内容と実験で比べた内容を並べたものです。
| 見る項目 | 示している内容 | 準備や研究の読み方との関係 |
|---|---|---|
| 書類にもとづく質問 | 会話の出発点になる資料 | 提出する記述の具体性が準備の材料になる |
| 個人・集団 | 受験者の参加の形式 | 質問の自由さや評価基準まで示す語ではない |
| 実験での自由な質問 | 比較した質問の型 | 応募者として臨んだときの評価の上がり幅が大きかった [2] |
| 実験での構造化された質問 | 共通の枠組みを設けた質問の型 | 同じ実験では評価の上がり幅がより小さかった [2] |
話を盛った答えは、高い評価にも低い評価にも結びつく
構造化面接を受けた182人について、自分の印象操作の申告と、録画された答えを調べた研究があります。[3]研究者は答えのもっともらしさと言いよどみを捉え、面接官の評価との関係を分析しました。[3]偽りの印象操作には、評価の高さとの直接の結びつきがある一方、答えのもっともらしさの低さや言いよどみの多さとの結びつきも見られました。[3]もっともらしさの低下を経由する関係では評価が低くなり、同じ分析の中に逆向きの関係が含まれていました。[3]
ここで使われている相関は、複数の測定値が一緒に動く関係を指し、片方がもう片方を変えたという因果を確定するものではありません。盛った程度は本人が申告しており、研究者が全員に同じ誇張をさせ、その後の変化を比較した研究ではありません。[3]正直な印象操作は、答えのもっともらしさの高さと結びついていました。[3]話の中身を選んで自分を伝えることまで、受け答えを悪くするものとして扱う結果ではないのです。
本番に近い形で行われた693件の面接を調べた別の研究では、偽りの印象操作が多いほど面接の評価が低い、ほぼ直線の関係でした。[4]こちらの研究でも相関を調べており、誇張の量と評価がどう並んでいたかを示しています。[4]先の研究で見られた評価の高さとの直接の結びつきだけを抜き出すと、この低い評価との関係が見えなくなります。反対に、誇張した人はすべて同じ評価になると読むと、研究の中で確かめた程度の差や、答えのもっともらしさという測定内容を取り落とします。
正直な自己アピールまで控える必要はない
印象を整えることには、実際の経験から質問に合う部分を選び、相手が理解しやすい順に話すことも含まれます。働いている人に模擬の面接と性格の質問紙を受けてもらった研究は、自分を良く見せることを一律に悪く評価する見方に疑問を投げかけています。[5]面接で印象操作をした人は、質問紙でも自分を良く見せる答え方をしていました。[5]ただし、上司による仕事ぶりの評価と正の関係があったのは質問紙で良く見せた程度で、面接での印象操作は上司の評価と関係していませんでした。[5]
この結果は、面接で自分を良く見せた人ほど仕事が良くできた、という意味にはなりません。[5]質問紙での答え方と面接での見せ方をそれぞれ測り、さらに職場での評価と照らした研究だからです。選考の場での振る舞いだけを見て、その人の仕事ぶりまで良いとも悪いとも決める読み方は、結果の内容を飛び越えます。自分の経験を伝える生徒にとっても、長所を口にする行為そのものと、経験の事実関係を変える行為を同じ扱いにする理由はありません。
一方、693件の面接の研究では、正直な自己アピールも、ある点までは評価の高さと結びつき、その先では評価が低くなる曲線の関係を示していました。[4]この結果は、事実なら長所を重ねるほどよいという考えにも見直しを促します。活動の記述で「全体をまとめた」と言う場合と「意見を記録して共有した」と言う場合では、聞き手が受け取る役割の範囲が変わります。実際に担当したのが記録であれば、後者は経験を小さく隠す表現ではなく、自分の行動を説明する表現です。正直な自己アピールを考えるときは、声高な自己評価の量より、質問に対応する経験の中身に目を向けられます。
選ばれた後の自分に合う話になっているか
面接を受けて仕事に就いた206人を調べた研究では、面接で話を盛った程度と、就職後に仕事や組織に合っていると感じるかが検討されました。[6]誇張した人ほど、仕事や組織に合っていないと感じる傾向があり、その合わなさはストレスや仕事への熱意の低さとも結びついていました。[6]評価者がどれほど誇張に気づくかだけでなく、選ばれた本人がその後の環境をどう受け止めるかを扱った点に、この研究の特徴があります。面接で望ましい人物像を示すことと、その環境で本人が過ごすことを続けて考える材料になります。
この研究で尋ねた内容は、面接時の誇張も就職後の感じ方も本人の自己申告でした。[6]外から測った仕事の成績が低下したという結果と置き換えると、何を調べたのかが変わってしまいます。また、合わなさとストレスや熱意が結びついていたという分析なので、話を盛ったことだけを原因として扱う読み方も避けます。面接時の自己申告と、その後の自己申告を照らした結果として読むことで、選考の点数以外に検討する対象があるとわかります。
出願書類の活動の記録には、過去に取り組んだことを書く部分と、そこから今の関心を説明する部分があります。たとえば共同作業の中で、実際には調べる作業に関心があったのに、評価されそうだからという理由で人を率いる役割を強調すると、自分が学びたい内容の説明もその人物像に引かれます。就職後の合わなさを扱った研究を踏まえると、面接の印象だけでなく、自分が何を望んでいるかを話の中に残す視点が得られます。[6]すでに担当した作業を具体的に説明している人は、経験をさらに控えめに縮めるより、その作業で生じた関心を言葉にするほうへ準備を進められます。
出願までにすること
研究では、面接官の見抜く力、答えのもっともらしさ、選考後の本人の感じ方という複数の対象が測られていました。[1][3][6]準備に使うときは、「どこまで盛っても気づかれないか」という量の見積もりから、要項と自分の記録を点検する作業へ移します。研究の結果を受験者の点数に換算するのではなく、面接で扱う材料を正確にそろえるための観点として使います。出願前には、次の順に作業を分けると、それぞれ何を確かめたかを残せます。
- 募集要項の面接の「実施方法」を読み、書類にもとづく質問か、個人か集団かをメモします。書類の名前が挙がっていれば、その名称を提出書類の一覧と照合します。書かれている条件とまだ不明な条件を欄を分けて残すと、想像で形式を補わずに準備を進められます。
- 活動の記録にある役職・担当・成果を、手元の活動日誌や作成物と照らします。団体全体の成果と、その中で自分が行った作業の主語を点検し、担当していない仕事まで自分の行動として書いている箇所を直します。出来事そのものと、後から自分が考えた意味を分けて記すと、実際の行動の範囲が見えます。
- 面接で使う経験について、相手に伝わりにくい動詞を具体的な作業に置き換えます。「貢献した」で止まる箇所なら、何を作ったのか、誰に渡したのか、どんな判断をしたのかを、実際に行った内容で補います。提出前の表現を整えた後は、その文章が自分の希望する学びの説明とつながっているかを声に出して確かめます。
正直な印象操作が答えのもっともらしさと結びついていた研究は、事実を伝える準備にも意味があることを示しています。[3]控室で順番を待つとき、手元の記録は、自分が話した人物像を守るための台本ではなく、経験を思い出す手掛かりになります。話を大きくする余地を探すより、自分が関わった場面を言葉にして臨めます。
よくある質問
提出後に活動の記載が大きすぎたと気づいたらどうするか
まず、募集要項や出願後の案内にある訂正の手順と連絡先を確かめます。訂正したい箇所、元の記載、事実に合う記載を用意して、指定された窓口に扱いを尋ねます。面接で説明すれば書類も訂正されたことになると自己判断せず、大学から案内された方法を記録しておくと、後のやり取りでも経緯を伝えられ、提出した内容と訂正の申し出を混同せずに済みます。
面接中にうっかり大きく言ってしまったら訂正してよいか
自分が言った内容に誤りがあると気づいたら、その場で短く訂正する対応が考えられます。「先ほど全体の担当と言いましたが、担当したのは資料の作成です」のように、誤った部分と正しい内容を示します。長い言い訳を重ねるより、面接官がどの記述を直して受け取ればよいかを明確にし、その後は質問された内容への説明を続け、どこまでが訂正なのかも伝わる形にします。
仲間の名前を出さずに共同の活動を説明してよいか
仲間の実名を出さなくても、「企画を決めた人」「資料を集めた人」といった役割で共同作業を説明できます。相手の名前より、活動の中で誰がどの仕事を担ったかが伝わる表現を選びます。要項や提出様式で共同制作者などの記載を求めている場合はその指示に従い、口頭の説明と提出資料で必要な情報をそれぞれ整え、仲間について不要な個人情報まで加えずに話せます。
この記事の限界
比較の中心は採用面接であり、仕事に応募する人と高校生では選考の目的や経験の範囲が違ううえ、日本の年内入試における誇張の発見や合否を直接測った研究ではありません。映像を見て判断する実験や模擬面接が含まれ、本人の自己申告と相関を用いた研究も多いため、ここでの結果から特定の生徒が見抜かれる見込みや点の変化を見積もることはできません。就職後の合わなさについても、仕事や組織への感じ方を測った結果として扱う必要があります。書類と面接の扱いは受験年度の募集要項と大学の発表を優先し、個別の出願に関する手続きは、該当する記載を根拠に判断します。
参考文献
- Roulin ほか. Honest and Deceptive Impression Management in the Employment Interview: Can It Be Detected and How Does It Impact Evaluations? Personnel Psychology. 2015;68(2):395-444.
- Bill ほか. Are traditional interviews more prone to effects of impression management than structured interviews? Applied Psychology. 2024;73(3):1309-1330.
- Roth ほか. Liar, Liar, Pants on Fire: How Verbal Deception Cues Signal Deceptive Versus Honest Impression Management and Influence Interview Ratings. Personnel Assessment and Decisions. 2021;7(1).
- Robie ほか. Nonlinearity in the relationship between impression management tactics and interview performance. International Journal of Selection and Assessment. 2020;28(4):522-530.
- Ingold ほか. Shall we continue or stop disapproving of self-presentation? Evidence on impression management and faking in a selection context and their relation to job performance. European Journal of Work and Organizational Psychology. 2015;24(3):420-432.
- Charbonneau ほか. Unintended Consequences of Interview Faking: Impact on Perceived Fit and Affective Outcomes. Personnel Assessment and Decisions. 2021;7(1).
要項の一文を、あなたの出願書類の一文に変えるところまで付き合う
- 向く人: 要項を読んでも、自分の評定と英検で出せる方式を絞り切れない高校生
- 向く人: 志望理由書と小論文を、出願の数か月前から一対一で書き直していきたい人
- 向かない人: 志望理由書や活動報告書を代わりに書いてほしい人
- 向かない人: 要項を自分で読まずに、受かるかどうかの見込みだけを知りたい人
このサイトは武蔵野個別指導塾の運営者が制作しています。武蔵境駅から徒歩30秒の完全1対1で、総合型選抜は代表の宮川が専任で担当し、ほかの科目は大学教員や東京大学などの大学院生が教えます。アルバイト講師はいません。
よくある質問
提出後に活動の記載が大きすぎたと気づいたらどうするか
まず、募集要項や出願後の案内にある訂正の手順と連絡先を確かめます。訂正したい箇所、元の記載、事実に合う記載を用意して、指定された窓口に扱いを尋ねます。面接で説明すれば書類も訂正されたことになると自己判断せず、大学から案内された方法を記録しておくと、後のやり取りでも経緯を伝えられ、提出した内容と訂正の申し出を混同せずに済みます。
面接中にうっかり大きく言ってしまったら訂正してよいか
自分が言った内容に誤りがあると気づいたら、その場で短く訂正する対応が考えられます。「先ほど全体の担当と言いましたが、担当したのは資料の作成です」のように、誤った部分と正しい内容を示します。長い言い訳を重ねるより、面接官がどの記述を直して受け取ればよいかを明確にし、その後は質問された内容への説明を続け、どこまでが訂正なのかも伝わる形にします。
仲間の名前を出さずに共同の活動を説明してよいか
仲間の実名を出さなくても、「企画を決めた人」「資料を集めた人」といった役割で共同作業を説明できます。相手の名前より、活動の中で誰がどの仕事を担ったかが伝わる表現を選びます。要項や提出様式で共同制作者などの記載を求めている場合はその指示に従い、口頭の説明と提出資料で必要な情報をそれぞれ整え、仲間について不要な個人情報まで加えずに話せます。