頭の中で思い描く練習は年内入試の面接に効くか|イメージによる練習の研究
声を出して練習する時間が取れないとき、頭の中で面接の受け答えを思い描くだけでも準備になるのかが気になります。思い描く練習は不安を下げる助けにはなりますが、評価への効き目は研究で揺れており、声に出す練習の代わりにはなりません。話す順序が頭の中で整った感じ、面接に向かう気持ち、相手が聞いてつける評価を、それぞれ何で確かめるかが大切です。総合型選抜や学校推薦型選抜の準備では、限られた時間を何に使うかを考えるために、イメージで扱える部分と、実際に話して確かめる部分を具体的に見ていく必要があります。
- 募集要項でまず手掛かりになるのは、面接の「時間」「形式」「試験当日の流れ」です。
- Ayresの研究は、就職を控えた最終学年の学生の模擬面接と、実際の選考面接を控えた人の場面を扱っています。
- Tothらは、先行する心的練習のメタ分析を同じ方法でやり直し、さらに分析を広げました。
- まだ話す材料が決まっていない場合は、何を思い描くかが定まりません。
声を出して練習する時間が取れないとき、頭の中で面接の受け答えを思い描くだけでも準備になるのかが気になります。思い描く練習は不安を下げる助けにはなりますが、評価への効き目は研究で揺れており、声に出す練習の代わりにはなりません。話す順序が頭の中で整った感じ、面接に向かう気持ち、相手が聞いてつける評価を、それぞれ何で確かめるかが大切です。総合型選抜や学校推薦型選抜の準備では、限られた時間を何に使うかを考えるために、イメージで扱える部分と、実際に話して確かめる部分を具体的に見ていく必要があります。
心的練習とは、体を動かして実行せず、頭の中で課題の進み方を通しておく練習です。複数の研究をまとめて計算し直すメタ分析では、課題のできが良くなる効果が報告されていますが、その大きさは課題の種類や練習の条件で変わっていました。[1] 面接に近い場面を扱った研究にも、評価の向上を示すものと、気持ちの変化にとどまるものがあります。[2][4] 「効く」という言葉が何を指しているかを読み分けると、頭の中でうまく話せた感覚だけで準備の終わりを決めずに済みます。
面接のイメージトレーニングは何を練習するのか
募集要項でまず手掛かりになるのは、面接の「時間」「形式」「試験当日の流れ」です。時間の記載は話の長さを考える条件になり、形式の記載は誰とどのようにやり取りする場面を思い描くかにつながります。当日の流れには、集合から待機、面接へ進む順番に関する説明が含まれる場合があります。集合時刻と自分が受け答えを始める時刻を同じものとして扱うと、頭の中で準備する範囲もずれるため、欄の見出しごとに意味を読むことが必要です。
Driskellらがまとめた心的練習の研究は、面接だけを対象にしたものではなく、課題を実際に行わずに頭の中で通すことを扱っています。[1] 結果は全体としてできの改善を示しましたが、練習から実行までの間隔や練習の長さによって効果の大きさが変わりました。この結果でいう練習には、行う課題の中身と、その課題に取り組む手順が関わっています。単に良い結果を思い浮かべることと、質問を聞いて答えを組み立てる過程をたどることを、同じ内容の練習として扱うと研究の読み方が粗くなります。
Knudstrupらの研究では、模擬の採用面接の前に、面接をうまくこなす場面を思い描く方法を教えた組と、教えなかった組が比べられました。[2] 思い描いた組では面接の評価が高く、感じたストレスも低くなりました。対象は、思い描き方を教わったうえで実際の模擬面接に進むという組み合わせです。「頭の中だけで準備を完了した」という結果として読むのではなく、面接の前に加えた練習の働きを調べた研究として読むと、試したことの輪郭がつかめます。
この模擬面接では、自分には課題をこなせるという感覚である自己効力感には差がありませんでした。[2] 評価とストレスに変化があっても、自信まで同じ向きに動いたわけではなかった点が特徴です。うまくこなす場面を思い描いたあとに、自信が増したかだけを尋ねると、この研究で捉えられた変化の一部を見落とします。練習の手応えを読む際には、本人の感覚と、課題を行った結果の両方が測定の対象になっていることに目を向けられます。
気持ちが軽くなることと評価が上がること
Ayresの研究は、就職を控えた最終学年の学生の模擬面接と、実際の選考面接を控えた人の場面を扱っています。[3] うまく話す自分を思い描く方法に触れた人ほど、話すことへの不安や否定的な考えが少ない傾向がありました。仕事の内定を受けることとも正の関係がありましたが、次の面接に呼ばれることとは関係がありませんでした。同じ選考の中で起きることでも、何を結果として数えるかによって、思い描く方法との結びつきが変わっています。
Feilerらは、前向きな自己像を思い描く方法と、相手や周りに注意を向ける方法を試しました。[4] どちらの方法も面接への不安を下げ、自信を高めましたが、面接の評価の点は変わりませんでした。これは、気持ちが変わったという報告を、受け答えの点が上がったという報告に置き換えずに読む必要がある結果です。先ほどの模擬面接では自信に差がなかったのに対し、この研究では自信が高まり、評価の点は動かなかったという対照があります。[2][4]
研究を並べる際は、面接を終えた本人が答えたこと、評価者がつけた点、選考の先へ進んだかという結果を、それぞれの欄に置くと見通しが良くなります。[2][3][4] たとえば「不安が少ない」という記述があっても、評価の欄に改善が示されているとは限りません。下の表では、思い描く方法を扱った研究について、変化が示された内容と、同じ研究で変化や関係が示されなかった内容を並べています。
| 研究の場面 | 変化や関係が示された内容 | 変化や関係が示されなかった内容 |
|---|---|---|
| 方法を教えた組と教えなかった組の模擬採用面接 [2] | 思い描いた組の評価が高く、ストレスが低かった | 自分にはできるという感覚の差 |
| 模擬面接と実際の選考を扱った研究 [3] | 不安・否定的な考えの少なさ、内定との正の関係 | 次の面接に呼ばれることとの関係 |
| 前向きな自己像と注意の向け先への働きかけ [4] | 面接への不安の低下、自信の上昇 | 面接の評価の点の変化 |
効果の大きさは研究の選び方でも変わる
Tothらは、先行する心的練習のメタ分析を同じ方法でやり直し、さらに分析を広げました。[5] 効果が見られた研究ほど世に出やすいという出版の偏りを補正した後も、全体では小さいながら効果が残り、大きさは r = 0.131 でした。ここでの効果量は、効果の大きさを研究どうしで比べられるように表した値で、面接の点がどれだけ増えるかを表す数字ではありません。主に体を動かす課題を扱った分析であり、何を実行させて測った値なのかも数字と一緒に読む必要があります。
この分析でも、練習の長さ、課題の種類、思い描き方の種類によって効果が変わりました。[5] 全体の効果が小さいという結果と、条件によって変わるという結果は、ともに報告されています。前者はどのような練習でも大きく伸びるという期待を抑え、後者は練習の中身を省いて効果だけを語ることの難しさを示します。Driskellらの分析でも課題や間隔、長さによる違いが報告されており、心的練習という呼び名だけでは実施条件までそろわないことが読み取れます。[1]
Reineboらは、地域や大学以上の水準で競う運動選手を対象に、心理的な働きかけを調べた研究をまとめました。[6] イメージの練習には、対照と比べて中くらいの効果とされた g = 0.75 が出ていましたが、くじ引きで組を分けていない研究と、本人の感じ方で成績を測った研究を除くと、効果ははっきりしなくなりました。つまり、全体の結果だけでなく、どの研究を残して計算したかが結論に関わっています。成績を本人がどう感じたかで測るのか、外から測るのかという違いも、練習の評価を読む重要な条件です。
Ayresの現場の研究も、練習前後を比べる形で、練習を受けない対照群がありませんでした。[3] 前後の変化には、思い描く方法以外の出来事が重なる余地があるため、内定との結びつきを方法の効果だけで説明することは控える必要があります。ここで扱うのは採用面接と運動を中心とした研究であり、日本の年内入試の面接の点にそのまま当てはめられません。良い方向の結果と、結果を左右する比較の条件を一緒に読むことで、練習への期待を具体的な範囲に置けます。
イメージだけで済ませないほうがよい準備
まだ話す材料が決まっていない場合は、何を思い描くかが定まりません。募集要項の形式に関する記述を手掛かりにすると、自分が話し始める場面を用意するのか、質問を受けて考える場面を用意するのかを整理できます。たとえば志望について問われる場面を置くなら、興味を持ったきっかけや学びたい内容など、答えに入れる材料が先に必要です。相手が好意的に聞いてくれる様子だけを描いても、説明に使う経験や理由の不足は埋まりません。
Knudstrupらが示した評価の向上は、思い描く方法を教えた組が、実際に模擬面接を受けたときの結果でした。[2] この研究の流れを準備に結びつけるなら、頭の中で通した内容を、相手に聞こえる言葉にする段階まで残す考え方になります。頭の中では省略した主語や経験の背景も、相手に伝えるときには言葉にする必要があります。声に出したときに説明が長くなる、言いたい語が出てこないといった箇所は、実際の受け答えで点検する対象です。
また、本人が「落ち着いてきた」と感じた時点を、準備の完成と扱うことにも慎重さが要ります。Feilerらの研究は、不安が下がり自信が高まっても、評価の点が変わらない組み合わせを示しました。[4] 気持ちの変化を尊重しながら、答えが質問に沿っているか、経験の説明が相手に伝わるかを、別の観点として残すのが適切です。保護者が練習に関わる際にも、本人が安心したという報告を、そのまま受け答えの完成度の判定に使わない読み方が役立ちます。
時間を増やせばそれだけ良いという考え方も、心的練習の研究の結果とは合いません。DriskellらとTothらは、練習の長さが効果を左右する条件だと報告していますが、すべての課題に共通する長さを示したわけではありません。[1][5] 思い描くことに時間を使い続けるより、どの課題を通しているか、次に何を実行して確かめるかを意識するほうが、限られた準備時間の用途が明確になります。練習の長さは、募集要項にある面接時間とも混同せず、それぞれ何の時間なのかを押さえて扱います。
出願までにすること
募集要項を読んでから練習に移るときは、要項に書かれた条件、頭の中でたどる手順、声に出して確かめる場面をつなぐ作業が必要です。次の手順は、面接の時間・形式・当日の流れを練習に移すための準備案です。案内に書かれた事実と自分が練習のために置いた場面を混ぜず、予定を具体化するために使います。
- 募集要項から面接の「時間」「形式」「試験当日の流れ」を抜き出し、同じメモに並べます。集合の指示と受け答えの条件は欄を分け、書かれていない部分は空欄として残します。あとから届く受験案内で補う項目が見えるよう、参照した書類名も添えます。
- そのメモに沿って、質問を聞き、話す材料を選び、答えを終えるまでの流れを頭の中でたどります。途中で説明が飛ぶところや、理由が出てこないところは、次に準備する項目として短く書き留めます。うまく終わった場面だけでなく、自分が何を順に行ったかを記録に残します。
- 書き留めた箇所を含む受け答えを、声に出して試す時間を予定に入れます。相手を頼める場合は、話を聞いてどの経験や理由が伝わったかを返してもらい、頭の中で伝えたつもりだった内容と照らします。所要時間も測り、要項の時間の記載が何を含むかと合わせて練習の範囲を調整します。
思い描いた後に声に出す段階を置くのは、気持ちだけで準備の成果を判定しないためです。評価が上がった模擬面接の研究も、気持ちが変わって評価は動かなかった研究も、実際の面接のできを測っていました。[2][4] 帰りの電車で声を出せない間も、頭の中で止まった箇所が見つかれば、次の練習で扱う内容が具体的になります。
よくある質問
本番の部屋を見たことがなくても取り組めますか
部屋の細部を再現することより、知らされている形式に沿ってやり取りの流れを扱うところから始められます。今回の研究は、部屋を事前に見た人と見ていない人の効果を比べたものではなく、室内を正確に描くことを条件として示していません。[1][2] 机の位置や相手の表情を細かく決め込む必要はなく、会場の配置や当日の進み方は、届いた案内や係の指示に合わせて受け止める範囲として残せます。
鮮明な映像が浮かばないと練習になりませんか
鮮明さだけを理由に、自分はこの方法に向いていないと判定する必要はありません。Tothらの分析では思い描き方の種類によって効果が変わりましたが、映像の鮮明さを面接準備の可否の基準にする結果は示されていません。[5] 映像を作ろうとして手が止まるなら、することの順番を短い言葉で確かめる形を選び、鮮明な像を作ること自体を準備の目標にしない扱い方が考えられます。
面接の案内が後から変わったときはどう扱いますか
変更された箇所を確かめ、すでに持っている案内との対応を読み直します。変更が時間、集合場所、形式のどこに及ぶかを分けると、修正が必要な準備の範囲を絞れます。連絡の対象や適用される日程が読み取れない場合は、大学が案内する入試の窓口に、手元の書類名と疑問の箇所を示して尋ねます。以前思い描いた場面を本番の決まりとして抱え続けず、大学の新しい発表に合わせて扱います。
この記事の限界
比較の条件は、思い描く方法を教えた組と教えなかった組を置く研究、対照群のない前後比較、運動課題をまとめた分析にまたがり、面接の点として一括して読むには幅があります。[2][3][5] 扱った採用面接の研究は大学の選抜に向けた高校生の準備を直接測っておらず、運動選手の結果には身体を動かす課題という対象の偏りもあります。[6] また、不安、自信、評価者の点のうち、何が変わったかは研究ごとに対応を追う必要があり、この整理だけで個別の出願の判断を置き換えることはできません。実際に準備する面接の時間や形式、集合からの流れは、出願する年度の募集要項と大学が追加して発表する案内に沿って確かめます。
参考文献
- Driskell ほか. Does mental practice enhance performance? Journal of Applied Psychology. 1994;79(4):481-492.
- Knudstrup ほか. The use of mental imagery in the simulated employment interview situation. Journal of Managerial Psychology. 2003;18(6):573-591.
- Ayres ほか. Effects of performance visualization on employment interviews. Communication Quarterly. 2001;49(2):160-171.
- Feiler ほか. The Role of Self-focused Attention and Negative Self-thought in Interview Anxiety: A test of two interventions. International Journal of Selection and Assessment. 2016;24(2):132-149.
- Toth ほか. Does mental practice still enhance performance? A 24 Year follow-up and meta-analytic replication and extension. Psychology of Sport and Exercise. 2020;48:101672.
- Reinebo ほか. Effects of Psychological Interventions to Enhance Athletic Performance: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Medicine. 2024;54(2):347-373.
要項の一文を、あなたの出願書類の一文に変えるところまで付き合う
- 向く人: 要項を読んでも、自分の評定と英検で出せる方式を絞り切れない高校生
- 向く人: 志望理由書と小論文を、出願の数か月前から一対一で書き直していきたい人
- 向かない人: 志望理由書や活動報告書を代わりに書いてほしい人
- 向かない人: 要項を自分で読まずに、受かるかどうかの見込みだけを知りたい人
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よくある質問
本番の部屋を見たことがなくても取り組めますか
部屋の細部を再現することより、知らされている形式に沿ってやり取りの流れを扱うところから始められます。今回の研究は、部屋を事前に見た人と見ていない人の効果を比べたものではなく、室内を正確に描くことを条件として示していません。[1][2] 机の位置や相手の表情を細かく決め込む必要はなく、会場の配置や当日の進み方は、届いた案内や係の指示に合わせて受け止める範囲として残せます。
鮮明な映像が浮かばないと練習になりませんか
鮮明さだけを理由に、自分はこの方法に向いていないと判定する必要はありません。Tothらの分析では思い描き方の種類によって効果が変わりましたが、映像の鮮明さを面接準備の可否の基準にする結果は示されていません。[5] 映像を作ろうとして手が止まるなら、することの順番を短い言葉で確かめる形を選び、鮮明な像を作ること自体を準備の目標にしない扱い方が考えられます。
面接の案内が後から変わったときはどう扱いますか
変更された箇所を確かめ、すでに持っている案内との対応を読み直します。変更が時間、集合場所、形式のどこに及ぶかを分けると、修正が必要な準備の範囲を絞れます。連絡の対象や適用される日程が読み取れない場合は、大学が案内する入試の窓口に、手元の書類名と疑問の箇所を示して尋ねます。以前思い描いた場面を本番の決まりとして抱え続けず、大学の新しい発表に合わせて扱います。