入室してすぐの印象で面接の評価は決まるか|第一印象と面接の点の研究
年内入試の面接は、入室して最初の数十秒の印象で、評価がほとんど決まってしまうのでしょうか。最初の印象は評価と結びつきますが、その後に何をどう答えるかにも意味があり、入室時だけで評価が決まり切ると考える必要はありません。 控室で呼ばれるのを待つ間、挨拶につまずく場面ばかり思い浮かべてしまうこともあるでしょう。そんなときは、面接の始まりと面接全体を同じものとして捉えていないか、考えを分けてみることが役立ちます。
- 面接でいう冒頭は、必ずしも扉を開けた瞬間や挨拶だけを指しません。
- Barrickらは、冒頭の印象が好き嫌いだけでなく、応募者の能力についての有用な判断を含んでいた可能性を示しました。
- Swiderらは、採用面接で自分をよく見せる話し方である「印象管理」を調べました。
- Woodらは、医師の実技試験の課題の録画を、医師の採点者23人に評価してもらいました。
年内入試の面接は、入室して最初の数十秒の印象で、評価がほとんど決まってしまうのでしょうか。最初の印象は評価と結びつきますが、その後に何をどう答えるかにも意味があり、入室時だけで評価が決まり切ると考える必要はありません。 控室で呼ばれるのを待つ間、挨拶につまずく場面ばかり思い浮かべてしまうこともあるでしょう。そんなときは、面接の始まりと面接全体を同じものとして捉えていないか、考えを分けてみることが役立ちます。
第一印象という言葉には、感じのよさだけでなく、受け答えから受け取る理解の速さや考えのまとまりも含めて考える余地があります。冒頭の会話と最後の評価に結びつきがあるとしても、それを「挨拶の出来で点が固定される」と読むと、途中の応答を見落とします。総合型選抜や学校推薦型選抜の準備では、入室の動作を整えることと、問われた内容を説明できることを、ともに扱うのが現実的です。まずは、印象と点の関係を調べた研究が何を比べているのかを見てから、募集要項の実施方法と評価の観点に目を移します。
冒頭の印象と最後の点は別の評価です
面接でいう冒頭は、必ずしも扉を開けた瞬間や挨拶だけを指しません。Barrickらが調べたのは、インターンの採用面接で、冒頭に打ち解けた会話をする段階の印象でした。質問と採点の基準をそろえる「構造化面接」でも、その印象と最後の面接の点には結びつきがありました。[1] 入室の動作だけを切り取った結果として読むよりも、会話が始まってから相手が得た情報と、その後の評価との関係として読む方が正確です。
この研究で、冒頭の印象と最後の点の相関係数は r = 0.42 でした。[1] 相関係数とは、二つの評価の動きがどれほどそろうかを示す値です。ここでは、最初に高い印象を持たれた人ほど、最後の点も高い傾向があったという意味になります。評価のうちどれだけが冒頭で決まったかを、そのまま表す割合ではありません。
同じ研究では、冒頭の印象とインターンの採用にも r = 0.22 の関係がありました。[1] 面接で付けられた点と採用という結果は、区別して読む必要があります。数字を並べるときも、「相手がどう感じたか」「面接全体をどう評価したか」「選考がどうなったか」を混ぜないことが大切です。この区別を保つと、第一印象の研究を、入試の結果を予想する数字として受け取る読み違いを避けられます。
受験の準備に引き寄せるなら、冒頭も対話の一部として扱うことになります。名前を伝える場面が終わったあとにも、質問を聞き、答えを選び、理由を説明するやり取りは続きます。最初の手応えだけで自分の説明を途中から雑にしたり、残りの質問を形式的に流したりせず、最後まで応答の中身を届けるという方針が立ちます。
第一印象には能力の判断も含まれます
Barrickらは、冒頭の印象が好き嫌いだけでなく、応募者の能力についての有用な判断を含んでいた可能性を示しました。[1] 「印象」という言葉から表情や動作だけを思い浮かべると、この点が抜け落ちます。短い会話にも相手の言葉を受け取って答える過程があり、そこから能力を判断している可能性があるということです。これは、見た目の整え方だけに準備を集める理由とは違います。
たとえば、志望のきっかけを尋ねられた場面を考えます。「関心があります」と述べるだけの場合と、何に触れて関心を持ち、そのどの点を学びたいと思ったかまで述べる場合では、聞き手に渡る情報が違います。後者では、関心の対象と本人の考えのつながりを相手がたどれます。これは応答を具体化するための例であり、言葉を派手にしたり、特別な経験を足したりすることを求めるものではありません。
冒頭の会話を大切にする準備は、決まった表情を長く保つ練習だけでは足りません。短く聞かれたことに短く答え、説明を求められたら理由を添えるという、問いに応じた答え方も準備に入ります。話す内容をすべて先に決めるより、何を尋ねられたときに何を伝えるかを考える方が、会話の目的に沿います。第一印象を整えることと中身を整えることには、重なる部分があります。
保護者が練習を聞くときも、「明るく見えたか」だけで振り返る必要はありません。どんな関心が伝わったか、説明を聞いてどの部分をもう少し知りたくなったかを返すと、本人は内容を直す場所を見つけられます。印象のよしあしを人柄全体の評価に広げず、実際に聞き取れた答えに話を戻すことが、準備を具体的にします。
冒頭の手応えが悪くても応答は続きます
Swiderらは、採用面接で自分をよく見せる話し方である「印象管理」を調べました。自分の長所を述べる話し方は、面接の点と r = 0.20 の正の関係があり、事実を飾る話し方は負の関係でした。[2] 自分のよい面を伝えることと、経験や成果を実際以上に大きく話すことは、分けて考える必要があります。印象を持ち直そうとして、話の材料を増やせばよいという読み方にはなりません。
この研究では、冒頭で自分があまり適切な応募者と見られなかったと感じた人ほど、その後の話し方の効果が大きくなっていました。[2] 大事なのは、本人がどう見られたと感じたかを扱っている点です。「うまく始められなかった」という自分の感覚と、面接官が実際に付けた評価は別の情報です。自分の感覚だけで残りの時間の価値まで決めてしまう必要はありません。
途中からの応答を整えるには、直前の失敗を何度も説明するより、いまの質問に答える内容を選びます。たとえば、活動で工夫した点を尋ねられたら、活動全体の紹介を繰り返すより、困ったことと、それに対して変えたことをつなげて話します。成果の大きさを強調するだけでなく、なぜその方法を選んだかを説明すると、考えた過程が相手に届きます。ここでの目的は、よく見せるための材料を作ることではなく、手元にある経験を質問に合う形で伝えることです。
一方、自分の長所を話す準備ばかりに偏ると、尋ねられたことから離れるおそれがあります。失敗した経験を問われているのに、得意な活動の話へ移してしまえば、質問への答えが置き去りになります。自信を持って話せる内容があっても、その内容を使うかどうかは、いま何を聞かれているかで選びます。冒頭の印象を気にする人ほど、その後の質問を聞く時間を大切にするという準備ができます。
最初の印象の重みは場面と中身で変わります
Woodらは、医師の実技試験の課題の録画を、医師の採点者23人に評価してもらいました。最初の60秒の印象とその後の評価を扱い、最初の印象と専門家の評価との相関として r = 0.59 を報告しています。[3] ただし、推定の不確かさを表す幅である信頼区間は、95%信頼区間が -0.13〜0.90 と広く、受験者によって最初と最後の評価の関係も大きく違いました。[3] 中央の値だけを取り出して、冒頭の印象の重みが誰でも同じだと読むのは適切ではありません。
Samudraらは、台本どおりの授業を使った大学生の実験で、最初の印象と授業の質を扱いました。講師への評価には両方が関わりましたが、学んだ量をいちばん左右したのは授業の質でした。[4] 最初にどう見えたかと、その後に何を受け取ったかを分けると、中身の役割が見えてきます。研究ごとの対象と評価の違いは、次のように並べられます。
| 研究 | 扱った場面 | 結果を読むときの中心 |
|---|---|---|
| Barrickら [1] | インターンの構造化面接 | 冒頭の印象と最後の点の結びつき |
| Swiderら [2] | 採用面接での話し方 | 冒頭の受け止めと、その後の伝え方の関係 |
| Woodら [3] | 医師の実技試験の録画評価 | 受験者によって異なる印象の重み |
| Samudraら [4] | 大学生による授業の評価と学習 | 最初の印象に加えて働く授業の質 |
準備の時間を配分するなら、入室から着席までだけを繰り返して終えるより、その後の質問にも答えるところまで通して行う方法が考えられます。始め方に手応えがなかった回も最後まで続け、答えの内容を振り返ります。冒頭と終盤を別々に見直せるようにすると、「最初がうまくいかなかった」という感想だけで練習全体を片づけずに済みます。
印象を取り戻そうとしすぎない準備
面接の準備で避けたいのは、印象のよさを細かく監視しながら話すことです。「いま好かれているか」を基準に答えを次々と変えるより、聞かれた内容に必要な説明が入っているかを見る方が、修正する場所を決めやすくなります。相手の表情から点を推測する練習よりも、自分の回答を聞いて何が伝わるかを確かめる練習に時間を使えます。研究を読んだあとの実践案としては、こうした観察できる内容を振り返りの中心に置くことが考えられます。
入室の手順を気にするあまり回答の準備が進まない人には、冒頭を磨く練習ばかり増やす方法は向きません。挨拶を終えたら、関心のある学びについて説明するところまでを練習のまとまりにします。言いよどんだ部分があっても、そのあとに理由が伝わったかまで聞いてもらいます。始め方の出来だけを振り返るより、次の練習で変える内容が具体的になります。
反対に、経験を話すことには慣れていても質問から話が広がりやすい人は、説明を足す前に、問いへの答えが入っているかを見ます。活動の経緯を詳しく話したのに、自分が何を学んだかが最後まで出てこないなら、答えの中心を選び直します。詳しさは、情報を多く並べることだけではありません。求められた内容と理由がつながっていることも、説明の大切な条件です。
保護者が支える場合は、本人の印象を全体として採点するより、聞いた回答に沿って感想を返します。「落ち着いていなかった」で終える代わりに、理由は聞き取れたが、経験とのつながりをもう少し知りたかったと伝える形です。本人が直せる言葉にすると、練習のたびに人柄を評価されているような重さを減らし、回答を扱う時間にできます。
出願の前は実施方法と評価の観点を読みます
募集要項では、面接の「実施方法」で個人か集団か、時間がどう示されているかを確かめます。個人面接なら、自分への質問に続けて答える場面を想定して準備できます。集団面接なら、ほかの受験者と同じ場にいる形式として、自分に答える機会が来たときに質問の要点を捉える準備が必要です。形式の違いを、冒頭の印象だけで判断する時間が長いか短いかという推測に置き換えないことが大切です。
時間の記載は、練習でどの程度の長さの説明を用意するかを考える手掛かりになります。面接全体の時間と、自分が自由に話し続けられる時間は同じではありません。質問を聞く時間や、説明を受けてさらに尋ねられる時間も含めて考えます。最初の挨拶にどれだけ力を入れるかを悩むだけでなく、必要な内容を簡潔に伝え、追加の質問に応じる余地を残す準備につなげます。
「評価の観点」では、何について説明を求められるかを、書かれた言葉に沿って考えます。たとえば学ぶ意欲に触れているなら、興味を持ったきっかけと、これから知りたいことのつながりを説明する材料になります。高校で先生に練習を頼むときも、その観点に関わる内容が回答から伝わるかを聞いてもらいます。印象のよさを漠然と判定してもらうより、要項の言葉と自分の応答を結びつけられます。
入室後の短いやり取りも、面接全体の中で位置づけることができます。評価する側にとって、冒頭は応募者についての情報を受け取り始める場面です。その後に示される説明や考え方も判断の材料になり、最初の印象と合わせて、相手を評価するための情報が重なっていきます。[1][2][3]
よくある質問
挨拶で言葉につまったら、その後はもう挽回できませんか
冒頭で自分の印象がよくなかったと感じた人にも、その後の話し方が関わった採用面接の研究があります。[2] 挨拶の出来から残りの評価を決めつけず、次に聞かれたことへの答えを選ぶのが実際的です。練習でも、つまったところから最初へ戻るだけでなく、質問への応答を続けるところまで行うと、始め方とは別に内容を見直せます。
相関0.42は、点の多くが第一印象で決まるという意味ですか
相関係数0.42は、冒頭の印象が高い人ほど最後の点も高い傾向を表します。[1] 配点の割合や、入室の瞬間に確定する点を示した数字ではありません。研究で扱われた冒頭には打ち解けた会話が含まれているので、挨拶や動作だけに点が付いた結果として読むと、比べたものを取り違えます。
短い面接なら、内容より感じのよさを優先すべきですか
短い時間に合わせるなら、聞かれたことへの答えと、その理由を簡潔に伝える準備を軸にできます。感じよく始めることだけに集中すると、学びたい内容や経験についての説明が後回しになります。募集要項の時間と評価の観点を読み合わせ、何を伝えるための面接なのかに沿って回答の長さを整えます。
この記事の限界
比較しているのは採用面接、医師の実技試験、授業の評価であり、日本の年内入試の面接で第一印象の重みを直接測った研究ではないため、数値や結果をそのまま個別の出願判断に当てはめることはできません。医師の実技試験では信頼区間が広く、本人が感じた冒頭の手応えを扱う採用面接の研究と、採点者の印象を扱う研究でも測定の対象が異なります。
これらの知見は、冒頭の印象と後の内容を分けて考えるための材料として位置づけます。出願先の実施方法と評価の観点については、年度ごとに更新される最新の募集要項と大学の発表が優先する判断材料です。
参考文献
- Barrick ほか. Initial Evaluations in the Interview: Relationships with Subsequent Interviewer Evaluations and Employment Offers. Journal of Applied Psychology. 2010;95(6):1163-1172.
- Swider ほか. Managing and Creating an Image in the Interview: The Role of Interviewee Initial Impressions. Journal of Applied Psychology. 2011;96(6):1275-1288.
- Wood ほか. The Influence of First Impressions on Subsequent Ratings within an OSCE Station. Advances in Health Sciences Education. 2017;22(4):969-983.
- Samudra ほか. No Second Chance to Make a First Impression: The "Thin-Slice" Effect on Instructor Ratings and Learning Outcomes in Higher Education. Journal of Educational Measurement. 2016;53(3):313-331.
要項の一文を、あなたの出願書類の一文に変えるところまで付き合う
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よくある質問
挨拶で言葉につまったら、その後はもう挽回できませんか
冒頭で自分の印象がよくなかったと感じた人にも、その後の話し方が関わった採用面接の研究があります。[2] 挨拶の出来から残りの評価を決めつけず、次に聞かれたことへの答えを選ぶのが実際的です。練習でも、つまったところから最初へ戻るだけでなく、質問への応答を続けるところまで行うと、始め方とは別に内容を見直せます。
相関0.42は、点の多くが第一印象で決まるという意味ですか
相関係数0.42は、冒頭の印象が高い人ほど最後の点も高い傾向を表します。[1] 配点の割合や、入室の瞬間に確定する点を示した数字ではありません。研究で扱われた冒頭には打ち解けた会話が含まれているので、挨拶や動作だけに点が付いた結果として読むと、比べたものを取り違えます。
短い面接なら、内容より感じのよさを優先すべきですか
短い時間に合わせるなら、聞かれたことへの答えと、その理由を簡潔に伝える準備を軸にできます。感じよく始めることだけに集中すると、学びたい内容や経験についての説明が後回しになります。募集要項の時間と評価の観点を読み合わせ、何を伝えるための面接なのかに沿って回答の長さを整えます。