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評価する人が二人いると点はそろうのか|年内入試の面接官どうしの評価の一致の研究

最終更新:2026-10-26

年内入試で面接官が複数いると、誰が評価しても同じような点になるのでしょうか。面接官が複数いても点は自動的にはそろわず、課題の組み合わせと採点の仕方によって評価の安定性は変わります。同じ受験者に付く点の安定性を考えるときには、「信頼性」という言葉が使われます。 ここでいう信頼性は、同じ力を測ろうとしたときに結果がどれだけ安定するかという意味で、受験者の誠実さを表す言葉ではありません。

資料の年度:2026/確認日:2026-10-26

年内入試で面接官が複数いると、誰が評価しても同じような点になるのでしょうか。面接官が複数いても点は自動的にはそろわず、課題の組み合わせと採点の仕方によって評価の安定性は変わります。同じ受験者に付く点の安定性を考えるときには、「信頼性」という言葉が使われます。 ここでいう信頼性は、同じ力を測ろうとしたときに結果がどれだけ安定するかという意味で、受験者の誠実さを表す言葉ではありません。

書店で面接の対策本を手にすると、答えの内容や伝え方に目が向きやすいものです。一方、募集要項に書かれた面接官の人数は、答えを受け取る側の仕組みに関する情報です。同じ答えを聞く人が増えることと、違う課題で答える機会が増えることは、それぞれ別の働きを持ちます。どちらも「複数」という言葉で表せますが、評価が揺れる理由のどこに対応するかが違います。

話すことに自信がない生徒にとっても、評価の仕組みを知る意味はあります。面接の点には、本人の答えだけでなく、どの課題で力を示したか、どう採点されたかという条件も関わるからです。総合型選抜や学校推薦型選抜の面接を読む際には、人数の多さと、評価の安定性とを区別する視点が役立ちます。

面接官の評価の一致と、面接全体の信頼性

同じ回答を聞いた面接官が似た評価をすることを、評価者間の一致と呼びます。それに対して面接全体の信頼性は、採点者だけでなく、使う課題や面接の組み合わせも含めた結果の安定性です。同じ場にいる人の点がそろっていても、別の課題に変えたときに受験者の評価が大きく変わるなら、面接全体としては揺れが残ります。題名の「点はそろうのか」を考えるには、この違いが出発点になります。

たとえば、経験を振り返って説明する課題と、初めて示された状況について考える課題とでは、答える際に使う材料が異なります。これは課題の違いを説明する例であり、特定の大学の出題内容ではありません。同じ受験者がどちらでも同じ程度に力を示すとは限らず、聞き手の点がそろうことだけでは、その違いを捉えきれません。採点者の間でそろえる問題と、受験者をどんな場面で見るかという問題が並んでいます。

募集要項の「個人面接」「集団面接」は、主に受験者が個別に臨むか、複数で臨むかを表す区別です。面接官が複数いることや、面接を複数回受けることとは別に読む必要があります。人数、受験者の組み合わせ、実施回数を混同すると、同じ形式を別の形式だと思い込んだり、違う形式を同じだと思い込んだりします。面接の名前だけでなく、何を単位に「複数」としているかが、説明の意味を決めます。

面接官の評価の一致と、面接全体の信頼性
区別する点表していること評価の安定性との関係
面接官の人数同じ場面を評価する人の数採点者による違いを扱う
個人か集団か面接に臨む受験者の組み合わせ回答する場面の形式を表す
面接の回数・課題の組み合わせ力を示す機会の構成課題による違いを扱う
配点か段階評価か結果をどの形で表すか点のまとめ方を読む入口になる

同じ人でも、その場の課題との組み合わせで点は動く

Evaらは、医学部の志願者に短い面接を順に回る複数面接を試しました。この形式はMMIと呼ばれ、別々の課題を通して受験者を見る仕組みです。報告された信頼性は0.65で、点のばらつきは受験者そのものの違いよりも、受験者とその場の課題との組み合わせに由来する部分が大きくなっていました。[1] 誰が受けたかだけでなく、その人が何に答えたかが結果に関わっていたのです。

この結果の要点は、受験者を固定した性質だけで捉える見方にあります。ある課題での応答から、その人が別の課題でも同じように答えると考えると、課題との相性を本人の力の差として読み込みやすくなります。研究で捉えた揺れは、単に採点者が厳しいか甘いかという問題だけではありません。同じ回答を聞く面接官を増やしても、回答する課題そのものの範囲は広がらないという違いが残ります。

信頼性の0.65は、受験者が選考を通る確率でも、面接官の判断が正しかった割合でもありません。面接の結果がどの程度安定しているかを、研究の条件のもとで表した指標です。この値を得たのは複数の短い面接を組み合わせた形式なので、面接官が何人いるかだけに結びつけると、指標の対象が変わってしまいます。数字が付いていても、何の安定性を計算した数字なのかという説明が欠かせません。

この研究は複数面接の初期の小さな検討で、課題の組み合わせに目を向ける根拠になります。[1] 受験者にとっては、ある応答の出来が自分の力のすべてを表すわけではないという理解につながります。同時に、課題を変えればどの人も高く評価されるという話でもなく、異なる場面を含めて評価を組み立てる意味を示す結果です。

人を増やす工夫と、面接を増やす工夫

Heckerらの獣医学部の選考研究では、教員と地域の獣医師が同じ受験者をそれぞれ独立に採点しました。独立に採点するとは、相手の点に合わせて決めるのではなく、それぞれが判断を記録することです。両者の評価はおおむね一致し、全体の信頼性はG = 0.79でした。[2] Gは、課題や評価者に伴うばらつきを考慮して、結果の安定性を表すために用いた指標です。

同じ研究では、面接の構成を変えた場合の試算も示されています。10の面接を面接官1人ずつで行う場合はG = 0.79、8の面接を面接官2人ずつで行う場合はG = 0.81と見積もられました。[2] どちらも採点の機会を組み合わせる設計ですが、必要な人員や運営上の負担は異なります。人数を増やすことだけが安定性を高める道ではなく、別の課題で観察する機会を設ける道もあると読めます。

ここで、実際に行った採点の結果と、構成を変えた場合の試算とは区別されます。試算は、その研究で得たばらつきの情報を使って、別の配置ならどうなるかを見積もったものです。あらゆる面接で同じ回数と人数を組めば同じ値になるという実施結果ではありません。研究の数字は、望ましい面接官の人数を単独で決める基準というより、試験の構成を比較する材料です。

受験者から見えるのは、主に目の前に座る面接官の人数です。しかし、試験を作る側では、同じ回答を誰が採点するかと、どれだけ異なる回答を得るかを同時に考えることになります。Heckerらの結果は、この両方を含めた設計の選択を扱っています。[2] 面接官の多さだけで安心や不安を決める見方では、試験全体で確保している観察の範囲が抜け落ちます。

課題と採点基準を変えたときの改善

Uijtdehaageらが医学教育課程で調べた複数面接では、初めの年の信頼性は0.58でした。易しい課題をより難しい課題に置き換え、新しい採点の基準表を導入した後の年には、0.71へ上がりました。[3] 受験者を複数の面接で見る形式であっても、その形式の名前だけで安定性が決まるわけではないことを示しています。中で使う課題と、回答を点に変える仕組みが重要です。

採点の基準表は、回答のどの違いを評価の違いとして扱うかを整理したものです。課題が同じでも、理由の説明に重きを置くのか、結論だけを強く見るのかが採点者によって違えば、点の意味はそろいにくくなります。逆に、採点者が共通の尺度で回答を見る仕組みは、評価を比べる土台になります。基準があるという事実と、その基準が実際に同じように使われていることは、別々に検討する対象です。

この研究では課題と基準表が同時に変わっているので、改善のすべてを基準表だけの効果とする説明はできません。また、対象となった志願者も年ごとに異なる小さな研究です。[3] それでも、面接の構成を見直す前後で指標を比べた点は、試験の仕組みを改善の対象として扱う具体例になります。受験者の話し方に原因を求めるだけでは、こうした試験側の変更は見えてきません。

点が安定することと、その点が入学後の学びを言い当てることも別です。後者は予測力、つまり選考時の評価と将来の成績などがどれだけ結びつくかという問題で、この研究では今後の検討課題として残されています。[3] 誰が見ても似た点になる尺度であっても、大学が知りたい力を十分に捉えているかは別に確かめる必要があります。評価の一致は大切ですが、それだけで面接の価値のすべてを説明することはできません。

手順をそろえても残る揺れと、評価する側の情報

改善を示す研究と並べて読む必要があるのが、Kreiterらの医学部面接の研究です。手順をそろえた面接でも、信頼性は低い水準から中程度にとどまり、他の選考資料ほどの精度は得られていませんでした。[4] 著者らは、面接を合否に強く影響する要素として使うことの公平さに疑問を示しています。一定の手順があるという説明と、その手順で十分に安定した結果が出ているという証拠には距離があります。

Shawらが医学部の志願者471人について調べた研究では、人柄の評価が、面接官から見える成績や入試の点に引きずられていました。性別や人種も評価に関わり、面接官どうしの一致は中程度でした。[5] ここで問題になるのは、話を聞く人の数に加えて、その人たちがどんな情報を持っているかです。面接で得た情報と、先に知っていた情報の影響は、点の上では一緒になり得ます。

Tsikasらは、ドイツの医学部で5,200人の志願者と370以上の面接委員会の記録を分析しています。委員会の構成によって点に差がありましたが、著者らは性別のひいきという説明より、訓練の不足、採点の仕方や経験の違い、受験者の割り当ての偏りなどを重視しました。[6] これは実際の記録を分析した研究で、特定の要因だけを変えて効果を確かめた実験とは異なります。委員会の構成に差があることから、特定の属性の面接官を避ければよいと考えるのは、研究の結論と違う方向です。

これらの結果が問題にしているのは、受験者が見た面接官の態度から採点を当てる方法ではありません。誰が何を知り、どんな手順で判断したかという、評価する側の条件です。Shawらの結果は古い研究であり、Tsikasらの結果も特定の医学部の記録にもとづきます。[5][6] 結果を通して検討されるのは、人の性格の良し悪しより、採点の条件をどこまでそろえているかという課題です。

出願前は実施方法と結果の表し方を読む

出願前に行う確認は、募集要項の面接の「実施方法」と「配点・段階評価」の記載を照らし合わせることです。実施方法では、面接官の人数、受験者が個人か集団か、面接が複数回あるかという区別を扱います。配点や段階評価の記載は、面接の結果をどんな形で選考に用いるかを読む入口になります。実施方法が評価を得る過程なら、配点や段階評価は、その評価を表す側の情報です。

点数で示す場合は、面接の評価を数として扱う形式になります。段階で示す場合は、評価をいくつかの区分に当てはめる形式になります。細かな点数が書かれていること自体は、採点の細かな違いまで安定して測れていることの証拠ではありません。同様に、段階評価だから採点者による違いが小さいという意味にもならず、表示の仕方と測定の精度は別の問題です。

面接官の人数が記載されていないとき、文章から人数を補って読むことはできません。また、複数回という記載があっても、それだけで研究で扱ったMMIと同じ構成になるわけではありません。要項にある実施方法は、その選考で公表されている仕組みを理解するための情報です。そこから読み取れる範囲と、試験の内部でどの程度の一致があるかを示す研究の情報とは、役割が異なります。

この区別は、面接官が多い形式を選べば自分の点も高くなると期待している人に特に関わります。安定性が高まることは、評価が全体として上がることとは別で、話すことへの苦手意識の強さから自分の得点を計算することもできません。研究が示すのは、面接の点に含まれる揺れを小さくするために、課題と採点の設計を検討できるということです。[1][2][3] その工夫が日本の年内入試で個々の受験者の点にどれほど影響するかについては、直接の検証が欠けています。

よくある質問

模擬面接で先生と保護者の評価が違うと、本番も食い違いますか

模擬面接での食い違いは、その場で見ていた内容や判断の仕方の違いを含み、本番の一致の度合いを測った結果にはなりません。先生と保護者が付けた評価には、本番と同じ課題や採点手順を使っているという前提がないためです。練習で意見が異なったという出来事と、選考での点の安定性は、異なる場面についての情報として位置づけられます。

面接後に開示された総合点から、面接官別の点を知れますか

総合点だけでは、面接官ごとにどんな点が付いていたかまでは読み取れません。開示される項目として総合点だけが示される場合と、内訳が示される場合とでは、得られる情報の細かさが違います。同じ総合点になっていても、各評価がそろっていた場合と異なっていた場合の区別は残り、開示の範囲を超えた採点過程を逆算する材料にはなりません。

成績を見ずに面接する研究結果なら、評定の低さは影響しませんか

面接官が成績を知ることの影響と、選考全体で評定を使うことは別の問題です。Shawらの研究は、面接官が知っている学業の情報と人柄の評価との関わりを扱っており、評定が低い人に特定の方式を勧める結果ではありません。[5] 面接時に何を知らせるかという条件だけを取り出しても、出願者の成績を選考全体でどう扱うかという判断まで置き換えることはできません。

この記事の限界

適用範囲は医学部・獣医学部などの選考研究が中心で、日本の年内入試を直接調べた根拠ではなく、古い研究や特定の課程の小さな研究も含まれています。面接官の一致、複数の課題を合わせた信頼性、委員会による評価の違いは、同じ対象を同じ方法で測った値ではないため、それぞれの結果を並べて大学や選考方式の優劣を決める用途には向きません。

面接の実施方法や評価の記載は年度ごとに変わり、実際の条件には最新の募集要項と大学の発表が優先されます。この記事が説明できるのは試験の安定性を読む視点であり、個別の出願については本人の条件を含む検討が残ります。

参考文献

  1. Eva ほか. An admissions OSCE: the multiple mini-interview. Medical Education. 2004;38(3):314-326.
  2. Hecker ほか. A generalizability analysis of a veterinary school Multiple Mini Interview: effect of number of interviewers, type of interviewers, and number of stations. Teaching and Learning in Medicine. 2011;23(4):331-336.
  3. Uijtdehaage ほか. Enhancing the reliability of the multiple mini-interview for selecting prospective health care leaders. Academic Medicine. 2011;86(8):1032-1039.
  4. Kreiter ほか. Investigating the reliability of the medical school admissions interview. Advances in Health Sciences Education. 2004;9(2):147-159.
  5. Shaw ほか. The Influence of Medical School Applicants' Demographic and Cognitive Characteristics on Interviewers' Ratings of Noncognitive Traits. Academic Medicine. 1995;70(6):532-536.
  6. Tsikas. Examining interviewer bias in medical school admissions: The interplay between applicant and interviewer gender and its effects on interview outcomes. PLoS One. 2024;19(8):e0309293.

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よくある質問

模擬面接で先生と保護者の評価が違うと、本番も食い違いますか

模擬面接での食い違いは、その場で見ていた内容や判断の仕方の違いを含み、本番の一致の度合いを測った結果にはなりません。先生と保護者が付けた評価には、本番と同じ課題や採点手順を使っているという前提がないためです。練習で意見が異なったという出来事と、選考での点の安定性は、異なる場面についての情報として位置づけられます。

面接後に開示された総合点から、面接官別の点を知れますか

総合点だけでは、面接官ごとにどんな点が付いていたかまでは読み取れません。開示される項目として総合点だけが示される場合と、内訳が示される場合とでは、得られる情報の細かさが違います。同じ総合点になっていても、各評価がそろっていた場合と異なっていた場合の区別は残り、開示の範囲を超えた採点過程を逆算する材料にはなりません。

成績を見ずに面接する研究結果なら、評定の低さは影響しませんか

面接官が成績を知ることの影響と、選考全体で評定を使うことは別の問題です。Shawらの研究は、面接官が知っている学業の情報と人柄の評価との関わりを扱っており、評定が低い人に特定の方式を勧める結果ではありません。[5] 面接時に何を知らせるかという条件だけを取り出しても、出願者の成績を選考全体でどう扱うかという判断まで置き換えることはできません。