小論文は序論・本論・結論の型で書けばよいか|文章の型を教える指導の研究
「序論・本論・結論に当てはめれば小論文の点が取れるのか」という疑問は、書く練習を始めるときに気になるところです。型は書く力を支える出発点になりますが、型を守るだけでなく、設問に応じて考えを掘り下げることが必要です。 決まった構成を覚えることと、その構成の中で読み手を納得させることは、分けて考えると見通しがよくなります。
- 序論は何を問題にするかを示す部分、本論はその問題について理由や材料を検討する部分、結論は検討を踏まえた考えを示す部分です。
- Grahamらによる小学生の作文指導のメタ分析は、115本の研究をまとめています。
- Midgetteらの研究は、意見文の構造を明示的に教え、書き直す指導を扱っています。
- Albertsonは、米国デラウェア州の作文試験で書かれた1000本を超える作文を調べました。
「序論・本論・結論に当てはめれば小論文の点が取れるのか」という疑問は、書く練習を始めるときに気になるところです。型は書く力を支える出発点になりますが、型を守るだけでなく、設問に応じて考えを掘り下げることが必要です。 決まった構成を覚えることと、その構成の中で読み手を納得させることは、分けて考えると見通しがよくなります。
放課後に練習した答案を見返す場面を考えてみます。書き出しも締めくくりも整っているのに、理由を説明する部分だけが薄いなら、困っているのは段落の配置より説明の中身です。反対に、言いたいことはあるのに文どうしの関係が見えないなら、文章の構造を学ぶ意味があります。型への頼り方は、今の答案で何が足りないかによって変わります。
文章の構造を教えた研究には、作文の質や説得力が伸びたという結果があります。[1][3] 一方で、決まった段落の型以外でも高い点を取れた作文があり、考えの掘り下げが点と結びついていました。[5] 総合型選抜や学校推薦型選抜の小論文に向けては、こうした結果を、型を丸暗記するか捨てるかの二択にせず、使い方を見直す材料として読むことが大切です。
序論・本論・結論は文章の役割を表す
序論は何を問題にするかを示す部分、本論はその問題について理由や材料を検討する部分、結論は検討を踏まえた考えを示す部分です。これらは文章の役割を表す呼び名で、段落の個数を表す言葉とは区別できます。本論の中で扱う論点がわかれれば、そこに複数の段落を置く考え方もあります。「序論がある」という外形と、何について論じるかが読み手に伝わることは、同じではありません。
型について迷うときは、文章の役割を学ぶ型と、段落の数や文の順序まで固定する型を分けると整理しやすくなります。前者は、理由が主張を支えているか、結論が検討とつながっているかを見るための道具です。後者は、内容が変わっても同じ配置を使う決まりとして働きます。両者を一緒にすると、構造を教えることの利点を、そのまま特定の配置を守る必要性に置き換えてしまいます。
小論文の準備で読む場所は、募集要項や過去の出題にある設問の指示です。構成についての明示的な条件があるのか、段落の数まで指定されているのかを見ます。普段の練習で使っている型は学び方の選択であり、出題で求められた条件は答案が満たすべき約束です。この違いを押さえると、練習の型を使い続ける場面と、設問に合わせて変える場面を区別できます。
たとえば、資料の内容の説明を求める部分と自分の考えを求める部分がわかれている場合、それぞれに応じる必要があります。全体が見慣れた形になっていても、説明を求める部分が意見だけで埋まれば、設問との対応が崩れます。文章の形を見た安心感よりも、求められた仕事を各部分が果たしているかを優先する、という読み方です。
構造を教える指導には作文を伸ばす結果がある
Grahamらによる小学生の作文指導のメタ分析は、115本の研究をまとめています。メタ分析とは、複数の研究の結果をまとめて計算し直す方法です。この分析で、文章の構造を教える指導の効果量は0.59でした。[1] 効果量は、差の大きさを研究どうしで比べられるようにした値で、試験で増える点を表す数字ではありません。
この結果が支えるのは、文章をどう組み立てるかを学ぶことに意味がある、という見方です。書く人にただ題を渡すだけでなく、文章の部分が担う役割を教えることが、作文を伸ばす働きを持っていました。[1] ただし、小学生の作文や英語の意見文で得られた効果の数字を、日本語の大学入試の小論文にそのまま当てはめることはできません。準備で生かすなら、特定の点数を期待する材料より、構造を学ぶ時間を設ける理由として捉えられます。
Grahamらの別のメタ分析は、学年が6〜12の生徒の作文指導を扱っています。148の指導群と比較群の比較に22,838人が含まれ、作文を教えること全体の効果量は0.38でした。[2] 指導を受けた側と比べる側を置いた研究をまとめることで、教えることによる違いを検討しています。この結果も、書く力を本人の感覚だけに任せず、教えられるものとして扱う根拠になります。
同じ分析では、書く手順を選んで使うための方略の指導に0.59、書く前の準備に0.32の効果量が報告されています。[2] 方略とは、目的に合わせて使う考え方や進め方のことです。ここで扱われている指導は、文章の完成形を見せて同じ形にすることだけでなく、書く過程にも関わります。型への信頼を考えるときにも、見た目を覚える学習と、考えを文章にする働きを学ぶ指導を区別する必要があります。
型の名前より、主張と理由の関係を学ぶ
Midgetteらの研究は、意見文の構造を明示的に教え、書き直す指導を扱っています。対象は、日本の中学の段階にあたる学年の生徒です。主張・理由・反論などの構造を教える指導のいずれでも、文章に含まれる構造の要素と説得力が伸びました。[3] 説得力とは、読み手が主張の理由を理解し、納得できる強さと捉えると読みやすくなります。
この結果で注目したいのは、形が整ったことに加え、説得力にも伸びがあった点です。[3] 主張の置き場所を知るだけでなく、理由が何を支えているのか、異なる見方とどう関係するのかを学ぶことには、内容を伝える働きがあります。型の学習を「ここにこの言葉を書く」とだけ覚えると、その働きが見えにくくなります。構造の要素を知ることは、説明の不足を見つけるためにも役立つと考えられます。
Osawaの研究では、日本の中等学校の生徒26人に、英語の意見文の型を教える指導を行いました。文章の種類ごとの構成と言葉を扱ったところ、指導の前後で課題の達成、文章の構成、文のつながりが伸びました。[4] この研究は比べる群を置かない前後比較なので、伸びのすべてを型の指導だけの効果として切り分けられません。対象と比べ方を押さえたうえで読むと、型を学んだ後にどの面が変わったかを示す例になります。
練習した答案でも、構成とつながりは別々に考えられます。序論から結論までの大きな流れがあっても、隣り合う文の間で理由が抜ければ、読み手は自分で説明を補うことになります。反対に、文が滑らかにつながっていても、最後に示した考えを本論が支えていなければ、全体の関係を見直す必要があります。型の名前を言える状態から、各部分の役割を説明できる状態へ進むことが、これらの研究を準備に生かす方向です。
決まった段落の型以外でも高く評価された
Albertsonは、米国デラウェア州の作文試験で書かれた1000本を超える作文を調べました。対象は学年が8と10の書き手で、決まった段落の型を使った文章と、ほかの構成の文章が含まれていました。定型的な構成を選ぶ生徒は多かったものの、型に頼らない構成でも同じように高い点を取れていました。[5] 型を学ぶ利点を考える際に、固定した配置以外にも道があると示す結果です。
点をよく予測したのは、考えをどれほど掘り下げたかでした。考えを具体的に説明する方法に幅がある書き手ほど、高い点を得ていました。[5] この結果から重視したいのは、定型を外れること自体より、説明の厚みです。文章の配置を変えるだけでなく、読み手が理由をたどれる内容になっていることに目を向けられます。
構造を教える指導の研究と、実際の作文を調べた研究は、見ているものが異なります。前者は教えたときに書く力が伸びるかを扱い、後者は書かれた文章の特徴と点の関係を扱っています。これまでの結果を並べると、型を学ぶ意義と、固定した型だけに評価を結びつけない理由を一緒に読むことができます。
| 研究の見方 | 報告された結果 | 型を使う際に考えたいこと |
|---|---|---|
| 小学生への構造の指導 | 効果量は0.59 [1] | 文章の役割を教える意味がある |
| 広い学年での作文指導 | 全体の効果量は0.38 [2] | 書く過程も学習の対象になる |
| 意見文の構造と書き直し | 構造の要素と説得力が伸びた [3] | 要素を内容の関係として理解する |
| 英語の意見文の前後比較 | 構成と文のつながりなどが伸びた [4] | 何が変わったかを面ごとに見る |
| 試験で書かれた作文の分析 | 定型以外でも高い点を取れた [5] | 考えの掘り下げを重視する |
型が助けになる答案と、型が窮屈になる答案
何を理由として書けばよいかが見えず、主張を繰り返してしまう答案では、文章の役割を学ぶことが助けになります。理由を書く部分だと理解すれば、そこで読み手が必要とする説明にも目を向けやすくなります。型を出発点にする意味は、空欄を埋める量が決まることより、文章が果たすべき仕事を見渡せることにあります。まだ書き慣れていない人が型を使うことと、内容を深めることは両立します。
たとえば、公共の場所の利用について意見を書く場面を考えます。「利用しやすくすべきだ」と述べ、その理由が「便利になるから」だけなら、主張と言い換えの距離が近い文章です。利用のしにくさが誰にどのような困りごとを生むかまで説明すれば、理由として検討する対象が具体的になります。これは実際の出題を示す例ではなく、同じ構成の中でも説明の中身が変わることを考える例です。
一方、設問が異なる立場の比較を求めているのに、覚えた型に合わせるため片方の説明を短くすると、型が課題の邪魔になります。理由の数を埋めるために似た内容を並べる場合も、段落が増えるほど考えが深まるわけではありません。型に入れたことで、何を説明し終えたと判断しているのかを見直す余地があります。すでに筋道を追って書ける人なら、覚えた配置を維持することより、設問に必要な説明が収まるかを考えられます。
型に頼りすぎかどうかは、型を使った回数より、内容との関係で判断できます。各部分が必要な説明を担っていれば、慣れた構成を使う意味があります。反対に、段落の位置の説明はできても、その内容が主張を支える理由を説明できなければ、検討は途中です。型を使うことへの自信も不安も、答案の中で果たしている役割に戻して考えると具体的になります。
出願前は設問の構成指定と段落指定を確かめる
募集要項や過去の出題を見る際は、小論文の設問に構成を決める指示があるかを確かめます。文章の流れに関する指定なのか、扱う内容の区分なのか、段落の数の指定なのかを読み分けます。指示がある場合は、それに対応した形で答えることが準備の基準になります。練習で覚えた型の名前と一致するかよりも、設問の要求を満たすかが大切です。
構成の指定と内容の指定が重なる場合は、その違いを言葉にすると整理できます。たとえば、賛否の両方に触れるという指示は、扱う内容についての条件です。それだけで、どの位置にどの長さで置くかまで決まったことにはなりません。段落の個数が指定されている場合は、その条件も踏まえて読むことで、内容の要求と文章の区切りを混同せずに済みます。
構成の指定が見当たらない出題では、普段の型を使うかどうかを、設問との相性から考えます。過去の出題を見比べるときも、同じ配置で書ける題を探すより、どんな説明を求める指示が置かれているかに注目できます。高校で相談する際には、設問のどの表現を構成の指定と読んだのかを示すと、迷っている点を伝えやすくなります。確認する対象を設問の文言に絞れば、好みの型どうしを比べる話から離れられます。
最終的に型を残すか変えるかは、求められた内容を十分に説明できるかで判断するのが筋です。構造の指導で作文が伸びた結果と、定型以外でも高く評価された結果は、その判断の材料になります。[1][5] 採点する側が読むのは、型の名前ではなく、各部分に書かれた説明と結論の関係です。読み手は整った形をたどりながら、設問に対してどのような理由を伴う考えが示されているかを読み取ります。
よくある質問
型を使うと内容が似てしまうので避けるべきですか
構成が似ていることだけを理由に、型を避ける必要はありません。序論や本論の役割を共有していても、何を問題にするか、どの理由を検討するかで、文章の中身は変わります。定型以外でも高い点を取れた作文の研究では、考えの掘り下げが点と結びついていました。[5] 独自の見た目を作ることより、自分の説明が主張をどう支えるかに目を向ける方が、見直す場所を具体的に捉えられます。
序論・本論・結論という見出しを答案に書きますか
まず、設問に見出しや構成についての指定があるかを読みます。文章の各部分の役割を理解することと、その呼び名を紙面に表示することは、別の判断です。見出しを付けるという指示がなければ、型の名前を表示することより、内容から問題・理由・結論の関係が伝わるかを考えられます。判断に迷う場合は、構成について書かれた設問の箇所を示して高校で相談すると、確認すべき点が明確になります。
型どおりに書けた答案はどこを見直せばよいですか
各部分が置かれているかに加え、その中身が設問に応じているかを見ます。本論が主張を言い換えるだけになっていないか、挙げた理由から結論まで説明がつながっているかが、見直す対象になります。型に収まったことを完成の合図にするより、読み手が説明を補わずに筋道を追えるかを考える方が具体的です。段落の数を変更する前に、今ある段落が何を説明しているかを捉えると、修正の目的がはっきりします。
この記事の限界
適用範囲は、ここで引いた小学生から中等学校段階の作文指導や英語の意見文、米国の作文試験に関する研究で、日本の年内入試の小論文を直接扱った結果は含まれていません。扱う研究には時期や対象の幅があり、特定の型で書いたときの入試の得点を示すものとしてではなく、構造を学ぶ意味と内容を掘り下げる必要性を考える材料として読めます。
募集要項や設問の条件は年度ごとに変わるため、出願する年度の要項と大学が発表する指示が、構成や段落の指定を判断する基準になります。この記事が扱うのは型への頼り方を考える視点であり、個々の出願先でどのような答案を書くかの判断は、その設問に求められる説明との対応に基づくものです。
参考文献
- Graham ほか. A Meta-Analysis of Writing Instruction for Students in the Elementary Grades. Journal of Educational Psychology. 2012;104(4):879-896.
- Graham ほか. Effective Writing Instruction for Students in Grades 6 to 12: A Best Evidence Meta-Analysis. Reading and Writing. 2025;38(4):1-46.
- Midgette ほか. Planning and Revising Written Arguments: The Effects of Two Text Structure-Based Interventions on Persuasiveness of 8th-Grade Students' Essays. Reading Psychology. 2016;37(7):1043-1075.
- Osawa. Genre-Based Writing Instruction for Secondary School Students in an English as a Foreign Language Context: Facilitating Text Organization and Cohesion. Sage Open. 2025;15(4).
- Albertson. Organization and Development Features of Grade 8 and Grade 10 Writers: A Descriptive Study of Delaware Student Testing Program (DSTP) Essays. Research in the Teaching of English. 2007;41(4):435-464.
要項の一文を、あなたの出願書類の一文に変えるところまで付き合う
- 向く人: 要項を読んでも、自分の評定と英検で出せる方式を絞り切れない高校生
- 向く人: 志望理由書と小論文を、出願の数か月前から一対一で書き直していきたい人
- 向かない人: 志望理由書や活動報告書を代わりに書いてほしい人
- 向かない人: 要項を自分で読まずに、受かるかどうかの見込みだけを知りたい人
このサイトは武蔵野個別指導塾の運営者が制作しています。武蔵境駅から徒歩30秒の完全1対1で、総合型選抜は代表の宮川が専任で担当し、ほかの科目は大学教員や東京大学などの大学院生が教えます。アルバイト講師はいません。
よくある質問
型を使うと内容が似てしまうので避けるべきですか
構成が似ていることだけを理由に、型を避ける必要はありません。序論や本論の役割を共有していても、何を問題にするか、どの理由を検討するかで、文章の中身は変わります。定型以外でも高い点を取れた作文の研究では、考えの掘り下げが点と結びついていました。[5] 独自の見た目を作ることより、自分の説明が主張をどう支えるかに目を向ける方が、見直す場所を具体的に捉えられます。
序論・本論・結論という見出しを答案に書きますか
まず、設問に見出しや構成についての指定があるかを読みます。文章の各部分の役割を理解することと、その呼び名を紙面に表示することは、別の判断です。見出しを付けるという指示がなければ、型の名前を表示することより、内容から問題・理由・結論の関係が伝わるかを考えられます。判断に迷う場合は、構成について書かれた設問の箇所を示して高校で相談すると、確認すべき点が明確になります。
型どおりに書けた答案はどこを見直せばよいですか
各部分が置かれているかに加え、その中身が設問に応じているかを見ます。本論が主張を言い換えるだけになっていないか、挙げた理由から結論まで説明がつながっているかが、見直す対象になります。型に収まったことを完成の合図にするより、読み手が説明を補わずに筋道を追えるかを考える方が具体的です。段落の数を変更する前に、今ある段落が何を説明しているかを捉えると、修正の目的がはっきりします。