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資料やグラフを読み取る小論文で何が問われるか|グラフの読解の研究

最終更新:2026-10-22

資料やグラフが付いた小論文では、数字を正しく説明できればよいのか、それとも数字の背景まで考えて書くことが求められるのでしょうか。求められるのは、資料に示された事実を捉え、そこから導く解釈や自分の意見と区別しながら、設問に応じて説明する力です。 数字を並べた文と、数字を根拠にした文には違いがあります。さらに、もっともらしい説明であっても、グラフのどの部分に支えられているかが曖昧なら、資料を読んだ結果と自分の知識が混ざってしまいます。

資料の年度:2026/確認日:2026-10-22

資料やグラフが付いた小論文では、数字を正しく説明できればよいのか、それとも数字の背景まで考えて書くことが求められるのでしょうか。求められるのは、資料に示された事実を捉え、そこから導く解釈や自分の意見と区別しながら、設問に応じて説明する力です。 数字を並べた文と、数字を根拠にした文には違いがあります。さらに、もっともらしい説明であっても、グラフのどの部分に支えられているかが曖昧なら、資料を読んだ結果と自分の知識が混ざってしまいます。

週末に過去の出題を開き、文章なら書けそうなのに、グラフが添えられた途端に手が止まる場面を考えてみます。その戸惑いには、値の意味を捉える難しさだけでなく、どこまで推測してよいのかという迷いも含まれます。反対に、よく知る題材ならすぐに意見が浮かび、資料の細かな違いを読み飛ばすこともありそうです。総合型選抜や学校推薦型選抜の準備では、得意か苦手かという大きな区分だけでなく、読み取る、比べる、説明を加えるという働きの違いに目を向けると、取り組む課題が具体的になります。

小論文のグラフ読み取りで問われる説明の範囲

「読み取れることを述べよ」という指示では、答えの中心を資料に置きます。増減や項目間の違いを挙げる場合も、何についての増減か、何と何の違いかが文章から伝わることが大切です。「考えを述べよ」という指示なら、資料の内容を踏まえたうえで、自分の判断とその理由を示します。どちらも文章を書く課題ですが、答えを支える材料と、説明を広げる範囲が違います。

たとえば、ある項目が増えているグラフを見て、「増加している」と述べる文は、図の内容を説明する文です。「関心が高まったため増加した」と述べる文には、増加の理由についての解釈が加わっています。さらに「この動きを支える取り組みが必要だ」と書けば、今後についての意見になります。同じグラフから書き始めても、文が担う役割はこのように変わるため、設問がどの役割を求めているかが重要です。

資料にない説明を考えること自体が、読み取りの失敗なのではありません。意見を求められたときには、資料と自分の判断を結び付ける必要があります。その際は、グラフで示された変化と、その理由として考えたことを、読み手が区別できる文にします。理由の候補を、資料に書かれた事実と同じ確かさで扱うと、論のつながりを確かめにくくなります。

数字がたくさんあることも、長い説明を書くことも、それだけで資料に即した答案の条件を満たすわけではありません。問われている違いに関係する値を取り上げ、その値が自分の説明の中で何を支えるかを示すことが要ります。反対に、数値を正確に写していても、設問の比較対象とずれていれば、問いとの関係が弱くなります。資料型の小論文は、数字の正確さと、問いに対する説明の適切さを合わせて考える課題です。

グラフの難しさは形と題材と予想で変わる

Glazerは、グラフを読み解く力に関する研究を整理し、読み解きがグラフの形や中身、読む人の前提知識に左右されると述べています。前提知識とは、その題材について読む前から知っていることです。生徒がもつ予想や思い込みが、偏った解釈や読み違いにつながることも指摘しています。グラフの読解は複雑な働きであり、明示的に教えるべきものだという立場です。[1]

この整理から考えると、グラフの問題で手が止まったとき、原因を計算の苦手さだけに求めるのは狭い捉え方になります。見慣れない形の図だったのか、扱われた内容の意味がつかめなかったのか、予想した結論に合わせて読んでしまったのかで、起きていることは違います。たとえば増えているはずだと思っている項目が横ばいなら、その意外さも資料の内容です。予想との違いを消してしまうと、知っている話を述べることに近づきます。

Binaliらは、大学生と高校生183人について、理科の場面と日常の場面でグラフを読み解く力を調べました。学校段階による違いが見られ、理科の場面での読み解く力と、日常の場面での読み解く力には結びつきがありました。グラフの理解を、理科だけに閉じた力として扱うより、題材をまたいで関わる力として考える材料になります。[2]

小論文の準備に引き寄せるなら、普段の学習でグラフに触れている経験を、資料の説明に結び付けて考える余地があります。ただし、題材を知っている感覚と、目の前の図を説明できることは別に捉えます。なじみのある話題でも、資料の対象や示された関係が変われば、必要な説明も変わります。「この話なら知っている」という安心感の中に、図そのものへの理解があるかが大切です。

値を読むことと予測や比較をすることは違う

Bragdonらが大学生の直線のグラフの理解を調べた研究では、グラフに書かれていない値を予測する場面で、とくにつまずきが見られました。どの解き方を選んだかは、正しく答えられるかを予測しませんでした。図にある値を取り出すことと、そこにない値まで関係を広げて考えることには、異なる難しさがあります。解き方の名前を知っているだけでなく、その図で関係を説明できることが問題になります。[3]

小論文でも、資料に示された期間の動きを述べる文と、その後の動きを予測する文では、説明の性質が変わります。前者は示された記録に基づき、後者は、その動きが続くなどの前提を加えて考えます。「これまで増えている」と「これからも増える」を同じ意味で使うと、前提を置いた部分が見えなくなります。将来について意見を書く場合には、どのような条件の下で考えた予測かが、論の中身になります。

Ozmenらは、8年生46人のグラフを読む力を調べ、全体の得点が低かったと報告しています。つまずきが見られたのは、グラフどうしを比較すること、場面に合うグラフの種類を判断すること、グラフの誤りに気づくことでした。中学生を対象にしたこの研究は、値の読み取りを越えたところにも難しさがあることを具体的に示します。比較する場面では、個々の値を読めることに加え、それらの関係を説明する働きが必要になります。[4]

小論文の資料を考えるときも、同じ「グラフを使う」という表現の中に、異なる要求が含まれています。下の表は、研究で扱われた難しさを踏まえ、答案の文がどの範囲まで述べているかを比べるための整理です。値を読む文から意見を書く文へ移るにつれて、書き手自身が加えた判断の役割が大きくなります。

小論文の資料を考えるときも、同じ「グラフを使う」という表現の中に、異なる要求が含まれています
文の役割説明の中心混ざりやすいもの
資料の記述示された値や増減題材について以前から抱いていた印象
資料間の比較共通点と相違点比較する条件が違うままの大小判断
予測示された関係を先まで延ばす考え今後も同じ関係が続くという前提
意見資料を踏まえた判断と理由自分が望む結果と、資料が示す結果

文章とグラフが並ぶと読みが片方に寄る

文章が添えられた資料では、その文章の筋が通っているほど、グラフも同じ結論を示しているように感じることがあります。ここで問題になるのは、文章の意味がわからないことだけではありません。意味を理解して納得した結果、グラフに残る曖昧さを見落とすという難しさもあります。文章とグラフを両方使ったつもりでも、実際には文章だけが説明を決めている場合です。

Bråtenらの研究では、大学生120人が、片方の立場に寄った文章と、どちらとも読めるグラフを一緒に読み、内容についてレポートを書きました。多くの学生は、そのグラフを無視するか、文章の主張に合わせてゆがめて解釈しました。記憶を頼りに描き直したグラフにも、文章の側への偏りが見られました。資料が複数あるとき、文章の主張がグラフの理解まで方向付ける様子が示されています。[6]

この結果を小論文の準備の観点から読むと、資料を全部読んだことと、資料の違いを保ったまま説明したことを分けて考える必要があります。たとえば、文章が強い増加を主張し、図では項目によって動きが異なるなら、その違いも答案の材料になります。文章の主張を紹介する文では「文章はこう述べている」とし、図の説明では「この項目にはこの動きが見られる」と書けば、根拠の所在が伝わります。資料の間に残る食い違いを、きれいな話にまとめるために消す必要はありません。

また、グラフに注目することは、文章を疑って読む態度だけを強めることとも違います。文章は、図の背景や取り上げる問題を理解する助けになりますし、図は、文章の主張を検討する材料になります。大切なのは、どちらかを最初から正しい側に置くことより、各資料が何を示しているかを区別することです。自分の意見を書く際にも、資料のうち都合のよい部分だけを選んでいないかが、論の確かさに関わります。

点には読み解く力以外の慣れも関わる

Yangは、医療系の専攻の英語学習者が、グラフを読み取って英語で書く試験に取り組む際の方略を調べました。方略とは、課題を解くために使う考え方や取り組み方です。グラフを理解する、解釈する、文に直すという方略の使用は、それぞれ試験の点に正の影響を与えていました。一方で、グラフへの慣れ、題材の知識、試験慣れも、本来測りたい力とは別に点へ入り込む可能性が示されています。[5]

この区別は、練習の結果を振り返るときに役立ちます。よく知る題材の図を説明できたとき、その経験には読解の力と題材への慣れの両方が関わっているかもしれません。逆に、見慣れない題材で書けなかったときも、文章を組み立てる力の問題なのか、図の内容を捉える段階の問題なのかで、考えるべき点が違います。結果を単に「グラフが苦手」とまとめるより、どこで説明が途切れたかに目を向ける方が具体的です。

そのため、すでに値を読める人に、数値を写す練習だけを重ねるやり方は向きにくいと考えられます。資料どうしの比較で説明が崩れるなら、増減を見つける課題とは違う難しさに取り組んでいるからです。背景知識が豊富な人も、知っている事例を多く付け足すことだけに力を使うと、資料の説明が薄くなります。練習の焦点は、持っている知識の量だけでなく、今回の図と説明がどうつながっているかに置きます。

研究では、グラフの理解が表現の形や題材、読む人の予想に左右され、比較や予測でつまずきが起きることが示されています。[1][3][4] 準備の中では、つまずきの種類を捉える材料として研究を使います。具体的な試験の要求は、過去の出題の資料と設問に即して捉えることになります。

出願の前に確かめる資料の種類と設問

募集要項を読んで小論文の準備を進める段階では、過去の出題にある資料の種類と、設問の指示の組み合わせが確認の対象になります。表を中心に読む課題なのか、グラフを説明する課題なのか、文章も合わせて使う課題なのかを区別します。同じ資料型でも、値を取り出して述べる場合と、文章の主張を資料に照らして考える場合では、必要な説明が変わります。資料の量より、資料どうしがどのような関係で置かれているかに目を向けます。

設問の「読み取れることを述べよ」と「考えを述べよ」も、同じ指示として扱わないことが大切です。読み取れることを求める部分では、意見の面白さより、示された内容を過不足なく説明することが中心になります。自分の考えを求める部分では、資料の記述を繰り返すだけでなく、その内容をどう受け止め、どの理由で判断したかを示します。複数の指示がある場合は、それぞれが求める文の役割を見分けます。

過去の出題を使って書いた文を読むときにも、この区別をそのまま当てて考えられます。資料の説明を求められた箇所に原因の推測ばかりを書いていれば、説明の範囲が広がっています。意見を求められた箇所に値の紹介だけが続いていれば、判断の理由を伝える部分が残っています。これは書く量の問題より、設問と文の役割の対応の問題です。

資料を用いる小論文では、何かを知っていることに加え、提示された材料に応じて説明の範囲を調整することが問われます。研究は、読み取りが比較や予測、添えられた文章の影響によって難しくなることを示しています。[3][4][6] 個々の大学がどの誤りをどの程度重く評価するかは、これらの研究が扱った範囲の外です。

よくある質問

数学が苦手だと、資料の付いた小論文も難しいですか

グラフを読む場面には、値を捉えることに加えて、図どうしを比べたり、文章との関係を考えたりする働きがあります。数学が得意か苦手かという自己評価だけで判断せず、どの説明で手が止まるかを見ると、課題が具体的になります。計算はできても、予測に加えた前提を説明することに迷う場合もあります。過去の出題にある資料と指示を手掛かりに、必要な説明を捉えることが大切です。

グラフの原因を推測して書いてもよいですか

自分の考えを求める設問なら、原因の候補を考えて論じる余地があります。その場合は、図が示す増減と、自分が考えた原因を文の中で区別します。「この変化がある」から「この原因で起きた」へ進むには、説明を支える理由が必要です。読み取れることを述べる設問では、原因の推測を中心に据えると、資料そのものの説明から離れてしまいます。

文章とグラフの内容が食い違って見えたらどうしますか

食い違いをなくすために、グラフの説明を文章へ合わせる必要はありません。文章が述べる主張と、図に示された動きをそれぞれ説明すると、どこに違いがあるかが伝わります。そのうえで意見を求められていれば、違いが主張のどの部分に関わるかを考えます。両方の資料を使うとは、同じ結論へそろえることより、それぞれの根拠としての役割を保つことです。

参考文献

  1. Glazer. Challenges with Graph Interpretation: A Review of the Literature. Studies in Science Education. 2011;47(2):183-210.
  2. Binali ほか. High School and College Students' Graph-Interpretation Competence in Scientific and Daily Contexts of Data Visualization. Science & Education. 2024;33(3):763-785.
  3. Bragdon ほか. University Students' Graph Interpretation and Comprehension Abilities. Investigations in Mathematics Learning. 2019;11(4):275-290.
  4. Ozmen ほか. Determining the Graphical Literacy Levels of the 8th Grade Students. Eurasian Journal of Educational Research. 2020;20(86):1-24.
  5. Yang. Modeling the Relationships between Test-Taking Strategies and Test Performance on a Graph-Writing Task: Implications for EAP. English for Specific Purposes. 2012;31(3):174-187.
  6. Bråten ほか. Learning from Multiple Representations: What Happens When an Informational Text Is Combined with an Ambiguous Graph?. Reading Research Quarterly. 2025;60(4).

この記事の限界

比較した課題は、理科や日常のグラフの理解、直線のグラフからの予測、英語での記述、文章と図を合わせた読解などで、同じ能力を同じ条件で測った結果ではありません。中学生、高校生、大学生、医療系の専攻の英語学習者という対象の違いや、発表された時期の幅もあり、各研究はつまずきの性質を考えるための材料です。

日本の年内入試についての直接の検証は今回の研究に含まれず、個別の答案の評価や出願先の判断を代わりに決めるものではありません。出題や選考の案内は年度によって変わるため、受験する年度の募集要項と大学の発表が、実際の準備で優先する情報です。

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よくある質問

数学が苦手だと、資料の付いた小論文も難しいですか

グラフを読む場面には、値を捉えることに加えて、図どうしを比べたり、文章との関係を考えたりする働きがあります。数学が得意か苦手かという自己評価だけで判断せず、どの説明で手が止まるかを見ると、課題が具体的になります。計算はできても、予測に加えた前提を説明することに迷う場合もあります。過去の出題にある資料と指示を手掛かりに、必要な説明を捉えることが大切です。

グラフの原因を推測して書いてもよいですか

自分の考えを求める設問なら、原因の候補を考えて論じる余地があります。その場合は、図が示す増減と、自分が考えた原因を文の中で区別します。「この変化がある」から「この原因で起きた」へ進むには、説明を支える理由が必要です。読み取れることを述べる設問では、原因の推測を中心に据えると、資料そのものの説明から離れてしまいます。

文章とグラフの内容が食い違って見えたらどうしますか

食い違いをなくすために、グラフの説明を文章へ合わせる必要はありません。文章が述べる主張と、図に示された動きをそれぞれ説明すると、どこに違いがあるかが伝わります。そのうえで意見を求められていれば、違いが主張のどの部分に関わるかを考えます。両方の資料を使うとは、同じ結論へそろえることより、それぞれの根拠としての役割を保つことです。