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年内入試に決めたら数学の勉強をやめてよいか|高校の数学の履修と大学での学びの研究

最終更新:2026-11-04

数学を課さない年内入試に決めたら数学の勉強も終えてよい、という考えには、大学の授業で困らないかという迷いが残ります。数学をやめるかは試験科目だけで決めず、志望学部の授業の科目表と入学前課題をもとに、続ける範囲を決めるのが妥当です。入試のために難問を解く時間を減らすこともあれば、入学後に使う内容の復習を残すこともあります。文系という大きなくくりより、進みたい課程で何を学ぶかが、勉強の中身を考える手掛かりになります。

資料の年度:2026/確認日:2026-11-04

数学を課さない年内入試に決めたら数学の勉強も終えてよい、という考えには、大学の授業で困らないかという迷いが残ります。数学をやめるかは試験科目だけで決めず、志望学部の授業の科目表と入学前課題をもとに、続ける範囲を決めるのが妥当です。入試のために難問を解く時間を減らすこともあれば、入学後に使う内容の復習を残すこともあります。文系という大きなくくりより、進みたい課程で何を学ぶかが、勉強の中身を考える手掛かりになります。

冬の朝、出願の準備に使う教材を選ぶ場面で、数学の問題集だけを片づけたくなるかもしれません。そのときに気になるのは、数学を続ける一般的な価値より、自分の進路で何が必要かという点です。高校で数学を履修したこと、つまり授業の科目として学んだことと、その後の進学や収入を結びつける研究はありますが、履修を一律に増やした政策の結果はそろっていません。[1][3][4]こうした研究の比較と、募集要項や授業案内の読み方を組み合わせると、数学を全部続けるか全部やめるかという選択から、必要な学習を具体的に考える段階へ進めます。

年内入試で数学が不要かは、試験科目の欄だけでは決まらない

募集要項の選考方法や試験科目の欄が、その方式で何を課すかを読む場所であるのに対し、入学後の科目表には、学部で学ぶ授業と必修・選択の位置づけが示されます。必修は課程を修めるために履修が求められる科目なので、数学の筆記試験が見当たらないことから、大学の授業でも数式や数量を使わないと考えると、読む資料の範囲が狭くなります。科目表に統計や経済数学などがあれば、授業の内容と履修に必要な準備を記したシラバスも判断材料になります。統計は、集めた数値の特徴や関係を調べるための方法を扱う分野です。たとえば授業案内にグラフの読み取りや関数が挙げられていれば、高校で学ぶどの内容とつながるかを考えられます。

高校で難しい科目を取ることを調べたLongらの研究では、中学段階の成績などが似た生徒を照合し、取った生徒と取らなかった生徒のその後を比べています。難しい科目を取った生徒は、高校の試験、卒業、大学への進学、大学での成績でよい結果を示しました。[2]この研究が追ったのは、高校の科目選択から入学後の成績まで続く経過です。数学だけの研究ではないものの、入学する時点までで学習の役割を考え終えないための材料になります。[2]

年内入試で数学が不要かは、試験科目の欄だけでは決まらない
読む資料・欄読み取る内容数学の学習とのつながり
募集要項の試験科目・選考方法その方式で課される試験選考に向けて準備する範囲
学部の授業の科目表必修・選択の科目と配置入学後に出会う数学の内容
シラバスの授業内容・履修条件扱う題材や前提となる知識復習する単元の候補
入学手続の案内にある課題入学前に取り組む科目入学までの学習に必要な範囲

数学を多く学んだ生徒の、その後を追った研究

Roseらは、高校の数学の履修記録と、卒業後の収入との関係を調べました。数学を取ったかどうかだけでなく、どの段階の科目まで学んだかを扱った点に特徴があります。上の段階の数学を履修した人ほど、収入との結びつきが大きく、低所得と中所得の家庭の生徒の収入の差を縮めうるという結果もありました。[1]そこで示されたのは、数学の履修と、その後の経済的な結果が結びつくという傾向です。

Longらの研究では、公立校の生徒の記録を使い、難しい科目を取ったかどうかで比較しました。単純に成績のよい生徒とそうでない生徒を並べるのではなく、それ以前の成績などが似ている生徒を組み合わせたうえでも、履修した側によい結果が見られました。[2]その差は、恵まれない家庭や学校の生徒で大きいことが多く、学ぶ機会を広げることの意味を考えさせます。大学への進学だけでなく、入学後の成績も比較に入っているため、高校での学習と大学での学習をつなぐ研究として読めます。[2]

これらの比較では、数学や難しい科目を選ぶ生徒が、もともと持っていた特徴の影響が残ります。[1][2]似た成績の生徒を照合する方法でも、記録に表れない違いまでそろうわけではなく、履修したことの効果だけを切り出す難しさがあります。[2]そこで次に見るGoodmanの研究は、生徒が自分で科目を選んだ結果を比べる代わりに、数学の最低履修を州が引き上げた変化を利用しています。[3]読み進める際には、結果がよかったかに加えて、誰と誰を比べ、何を変えた研究なのかが重要になります。

履修を増やす政策で収入が伸びた生徒と、変わらなかった生徒

Goodmanは、高校で最低限学ぶ数学を増やす政策によって、後の収入がどう変わったかを調べました。黒人の生徒では数学の履修が増え、後の収入も高まり、政策によって追加の数学科目を学ぶことになった生徒の収入の伸びは10%でした。[3]これは、自分から難しい数学を選んだ人の収入が高いという比較よりも、履修を変える働きかけに踏み込んだ結果です。数学を学ぶ機会を増やすことが、その後の経済的な結果につながった事例として位置づけられます。[3]

同じ研究でも、白人の生徒では履修も収入も変化していませんでした。[3]したがって、10%という値を、数学を続ける人全体の収入の伸びとして読むのは適切ではありません。まず政策で実際に履修が増えたかを見て、そのうえで収入の変化を読む必要があります。もともと科目を取っていた人と、制度の変更によって学ぶ内容が増えた人をひとまとめにすると、数字が表している対象を見失います。[3]

一方、Kimらは、高校で代数IIという数学科目を修めたことと、大学への進学・学位の取得を調べました。数学を多く取る生徒がもともと持つ違いによる偏りを除くため、操作変数法という、履修を左右する別の要因を使って効果を推定する方法を用いています。偏りを扱う前後で結果が変わり、代数IIを修めると大学へ進む見込みは高まりましたが、学位の取得にははっきりした効果が見られませんでした。[5]学位とは大学の課程を修めたことを示す資格であり、この結果は、進学先に入る段階と課程を終える段階まで、それぞれ追っている点が大切です。

全員に難しい数学を課すだけでは成果がそろわない

Allensworthらが扱った政策は、補習の授業をなくし、高校に入った生徒全員に、代数と英語の大学進学向け科目を課すものでした。代数は、文字を使った式や方程式などを扱う数学の分野です。政策の前後の学年を比べると、代数の単位を取る生徒は増えましたが、落第も増え、成績はわずかに下がりました。[4]さらに試験の点は上がらず、大学に進む生徒も増えず、中退の増加も見られませんでした。[4]

この結果の読みどころは、科目の単位を取る生徒が増えた一方で、試験や進学では同じ向きの変化が出なかった点です。[4]授業を履修したという記録だけを成果とするか、理解を測る試験の点を見るかによって、政策の見え方が変わります。また、数学の科目を課すことと同時に補習の授業もなくしているため、科目名だけで政策の中身を表すと、学ぶ環境の変化が抜け落ちます。[4]高校生が自分の学習に引き寄せて読むなら、難しい教材に進んだという事実より、何を理解するための学習かを考える材料になります。

Nomiは、全員に代数を課す政策が、もともと代数を取るはずだった学力の高い生徒に及ぼした影響に注目しました。補習の授業をなくした学校では、学力の混ざった教室が増え、学力の高い生徒の周りの生徒の学力が下がり、その生徒自身の試験の点も下がりました。[6]数学の科目名が同じでも、教室の構成が変わる政策だったことが、この結果を読む鍵になります。全員に課す政策を検討した研究は、個人が数学をやめた場合の結果を直接測ったものではなく、ここまでの研究はいずれも米国の事例です。[4][6]

学び直しが必要な人は、難度より前提となる内容を見る

数学が苦手な生徒にとって、Allensworthらの研究は、大学進学向けの科目を履修する人数が増えても、試験の点が上がるとは限らなかった事例です。[4]この結果から学習計画を考えるときは、単に上の段階へ急ぐより、今の授業で何につまずいているかという観点が浮かびます。逆に数学が得意な生徒には、Nomiの研究が、同じ科目を学び続けていても教室の構成によって結果が動いた事例になります。[6]苦手な人にも得意な人にも、取る科目の名前だけでなく、実際に何を学ぶ時間になるかという検討が必要です。

また、Kimらの研究で大学への進学に効果があっても、学位の取得には明確な効果がなかったことは、大学の課程を終えるまでを考えるうえで重要です。[5]研究で扱った代数IIを、日本の同じような名前の数学科目へ機械的に対応させるより、志望学部が示す授業内容に照らすほうが、本人の計画に結びつきます。操作変数法による結果は、分析の前提が成り立つかに左右されるため、研究の科目を履修すれば卒業まで見通せるという読み方も避ける必要があります。[5]進学、入学後の成績、学位、収入のどこを測った結果かを保ったまま読むことが、過剰な期待を防ぎます。

科目表で数学に関わる必修が見つかった場合は、その授業の前提となる知識が学び直しの目標になります。たとえば関数を使う授業なら、複雑な入試問題の演習を続ける計画と、式とグラフの対応を復習する計画では、取り組む問題が変わります。数学の負担が気になる場合にも、科目全体を苦手と呼ぶより、式の変形で止まるのか、問題文から関係を読み取るところで止まるのかを言葉にすると、学習の範囲を絞れます。こうした計画は、文系という区分だけで一律に決めるのではなく、履修予定の授業に合わせて組むものです。

出願までにすること

数学の履修については、その後によい結果が見られた研究と、履修を増やしても期待した結果が出なかった研究がありました。[2][4]本人の判断に使うときは、研究の平均的な結果を目標に置くより、志望する学部の案内に学習の到達点を求めるほうが具体的です。次の作業では、選考で求められる内容、入学後に扱う内容、そこまでに必要な準備を、同じ学部の資料でつなぎます。

  1. 募集要項の試験科目と学部の科目表を並べ、数学を使う必修科目の名前を紙に書き出します。続いてシラバスの履修条件や準備学習の欄から、前提とされる知識を対応させます。科目名だけでは判断しにくいものは、内容を決めつけず、説明を確かめたい箇所として印を付けます。
  1. 要項や入学手続の案内から、入学前課題の科目と提示時期を抜き出します。数学の課題が記載されていれば、その範囲と手元の教科書の単元を対応させます。課題が後日示される場合は、いつ、どの案内で詳細を受け取るのかを予定に残し、未発表の範囲を自分で決めないようにします。
  1. 書き出した内容を高校の数学の担当教員に見せ、現在の理解からどの単元を復習するか相談します。答案や途中で止まった問題を添えると、相談の対象が具体的になります。相談後は、残す学習といったん減らす演習を教材上で印分けし、入学後の授業につながる範囲を学習予定に入れます。

書類を読む側に伝える内容も、この作業を通じて具体化します。志望理由書に学習計画を書く欄があるなら、受験科目を終えたという話だけでなく、どの授業に向けて何を準備するかを示せます。読む側がたどれるのは、学びたい内容と現在の準備のつながりです。

よくある質問

数学を取らない時間割をすでに選んだ場合はどうすればよいか

まず高校での科目変更が可能な時期と手続きを、担任や教務の担当に尋ねます。変更の可否は学校の時間割や履修の運用に関わるため、本人の希望だけで決めるものではありません。変更が難しい場合は、授業として取る方法以外に、校内で利用できる学習相談や教材の案内があるかを聞くと、今の条件で取れる手段を整理できます。出願資格に履修科目の指定がある場合は、その確認を先に扱います。

学部の授業案内に知らない数学用語がある場合は誰に聞けばよいか

授業の前提となる知識については、大学が案内する学部の窓口に確認する方法があります。質問には科目名と、説明のうち意味をつかめなかった語を添えると、答えてほしい点が伝わります。「数学が苦手でも大丈夫か」という広い聞き方より、「この科目の前提知識として、この語は高校のどの学習内容を指すか」という形が具体的です。返答を受けたら、自分の入学年度に対応した説明かも記録に残します。

同じ学部を目指す友人と同じ問題集を使ってよいか

同じ学部が志望先でも、すでに学んだ範囲や解ける問題は人によって変わります。問題集の最初の例題を開き、解説を読んで途中の計算を追えるかが、教材を選ぶための手掛かりになります。説明の中で使われる式そのものに戸惑うなら、その内容を扱った教科書へ戻る選択もあります。友人と教材名をそろえることより、自分が取り組める問題と、学ぶ必要のある内容が重なる教材を選ぶほうが計画を立てやすくなります。

この記事の限界

対象としたのは、高校の科目履修や必修化の政策を追った生徒の記録であり、日本の年内入試を選んだ文系の高校生が数学の自学を中断した場合の影響は測っていません。収入、進学、大学での成績、学位の取得はそれぞれ研究が追った結果で、数学の勉強を続けるべき期間や、必要な演習量を直接示すものでもありません。観察データには履修する生徒のもともとの違いが残り、政策の研究には、補習の廃止や教室の構成の変化も含まれています。個々の出願と学習範囲の判断には、入学する年度の募集要項、授業案内、大学が発表する入学前課題が優先されます。

参考文献

  1. Rose ほか. The Effect of High School Courses on Earnings. Review of Economics and Statistics. 2004;86(2):497-513.
  2. Long ほか. Effects of High School Course-Taking on Secondary and Postsecondary Success. American Educational Research Journal. 2012;49(2):285-322.
  3. Goodman. The Labor of Division: Returns to Compulsory High School Math Coursework. Journal of Labor Economics. 2019;37(4):1141-1182.
  4. Allensworth ほか. College Preparatory Curriculum for All: Academic Consequences of Requiring Algebra and English I for Ninth Graders in Chicago. Educational Evaluation and Policy Analysis. 2009;31(4):367-391.
  5. Kim ほか. Completing Algebra II in High School: Does it Increase College Access and Success? The Journal of Higher Education. 2015;86(4):628-662.
  6. Nomi. The Unintended Consequences of an Algebra-for-All Policy on High-Skill Students. Educational Evaluation and Policy Analysis. 2012;34(4):489-505.

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よくある質問

数学を取らない時間割をすでに選んだ場合はどうすればよいか

まず高校での科目変更が可能な時期と手続きを、担任や教務の担当に尋ねます。変更の可否は学校の時間割や履修の運用に関わるため、本人の希望だけで決めるものではありません。変更が難しい場合は、授業として取る方法以外に、校内で利用できる学習相談や教材の案内があるかを聞くと、今の条件で取れる手段を整理できます。出願資格に履修科目の指定がある場合は、その確認を先に扱います。

学部の授業案内に知らない数学用語がある場合は誰に聞けばよいか

授業の前提となる知識については、大学が案内する学部の窓口に確認する方法があります。質問には科目名と、説明のうち意味をつかめなかった語を添えると、答えてほしい点が伝わります。「数学が苦手でも大丈夫か」という広い聞き方より、「この科目の前提知識として、この語は高校のどの学習内容を指すか」という形が具体的です。返答を受けたら、自分の入学年度に対応した説明かも記録に残します。

同じ学部を目指す友人と同じ問題集を使ってよいか

同じ学部が志望先でも、すでに学んだ範囲や解ける問題は人によって変わります。問題集の最初の例題を開き、解説を読んで途中の計算を追えるかが、教材を選ぶための手掛かりになります。説明の中で使われる式そのものに戸惑うなら、その内容を扱った教科書へ戻る選択もあります。友人と教材名をそろえることより、自分が取り組める問題と、学ぶ必要のある内容が重なる教材を選ぶほうが計画を立てやすくなります。