出願書類の顔写真は選考の印象に響くか|写真と第一印象の研究
締切の前日に出願書類へ貼る顔写真を前にして、この写りで選考の印象が決まるのかと迷う人がいます。写真は見る人の印象を動かしうるものの、受験生の準備は見た目の評価を追うことより、募集要項が求める規格を満たすことが中心です。大きさや撮影時期などの条件は要項で決まり、本人確認に使う写真なのかという用途も要項の記載が判断の出発点になります。顔写真の提出があるという事実だけで、容姿を選考の観点にしていると読む必要はありません。
- 募集要項の「出願書類」にある写真の説明は、提出する物の条件を定める部分です。
- Kaufmannらは、一般の人と人事の専門家を対象に、採用を想定した実験を行いました。
- Johnsonらの研究では、大学で採用活動をする担当者300人が女性の応募者の写真を見て、雇用の見込みに関する文を評価しました。
- Goganらは、17人について1人20枚、合計340枚の自然な写真を用意しました。
締切の前日に出願書類へ貼る顔写真を前にして、この写りで選考の印象が決まるのかと迷う人がいます。写真は見る人の印象を動かしうるものの、受験生の準備は見た目の評価を追うことより、募集要項が求める規格を満たすことが中心です。大きさや撮影時期などの条件は要項で決まり、本人確認に使う写真なのかという用途も要項の記載が判断の出発点になります。顔写真の提出があるという事実だけで、容姿を選考の観点にしていると読む必要はありません。
気に入った写真が手元にあっても、それが提出の条件に合うかは、写真の印象だけでは決まりません。紙に貼る場合の指定と、画像のデータを登録する場合の指定では、読むべき項目も変わります。総合型選抜や学校推薦型選抜の準備では、志望理由や活動の記録に加え、こうした提出方法の条件にも目が向きます。
採用や顔の第一印象を扱う研究には、写真から受け取る印象が評価に入り込む例があります。同時に、同じ人の写真でも印象は揺れ、資格に注意を向けるだけでは偏りが消えないという結果もあります。そこで、写真の条件の読み方から、研究で実際に比べたこと、出願までの準備へと順に考えます。
出願の写真は規格と用途の記載から読む
募集要項の「出願書類」にある写真の説明は、提出する物の条件を定める部分です。大きさは写真そのものの寸法なのか、画像の縦横に関する指定なのかで意味が変わり、撮影時期は写真がいつ撮られたかという条件を表します。背景や裏面の記入についても、記載された条件と自分が想像する「証明写真らしさ」を混ぜない読み方が必要です。普段よく見かける写真の形式を、そのまま志望先の条件とみなすと、要項の細かな指定が抜け落ちます。
用途については、「写真を提出する」という指示と、その写真を何に用いるかという説明の関係が焦点になります。本人確認への使用が書かれている場合、その文は写真の用途を読む手掛かりになりますが、写真の規格だけから採点上の扱いまで決めることはできません。受験票の作り方にも写真に関係する指示があれば、出願書類の説明に加えて読む対象になります。同じ要項の中でも、提出物の一覧と受験票の作成手順は、それぞれ別の作業を説明しているためです。
規格の文章は、「何を」「いつのものを」「どの形で」出すかに分けると位置づけが明確になります。たとえば背景の指定は写真に写る範囲の条件であり、裏面の記入は紙の写真に添える情報の条件です。次の表は規格の数値を示すものではなく、各欄の役割を整理したものです。
| 要項で読む項目 | 記載が示す内容 | 読み違えやすい点 |
|---|---|---|
| 大きさ | 提出する写真や画像の寸法に関する条件 | 紙の寸法と画像の縦横を混同する |
| 撮影時期 | 写真を撮った時点の条件 | 印刷した日を撮影した日とみなす |
| 背景 | 写真の背景に求める条件 | 普段使う写真の背景をそのまま採用する |
| 裏面の記入 | 紙の写真に書き添える内容 | 写真を用意しただけで準備が済んだと考える |
| 用途・受験票の作り方 | 写真を使う目的と提出後の扱い | 写真の提出を容姿の採点と結びつける |
写真から年齢や能力を推し量る評価の偏り
Kaufmannらは、一般の人と人事の専門家を対象に、採用を想定した実験を行いました。生年月日で示す年齢を同じにしたまま、写真の顔が何歳くらいに見えるかを変えて評価を比べています。年上に見える候補者は体力や健康の印象が低くなり、採用の見込みも低く評価されました。[1]書類にある年齢の情報がそろっていても、顔の見え方から別の推測が入り込んだ点が、この結果の重要な部分です。
この実験で評価されたのは、写真に写った人の体力そのものではなく、見る側が抱く体力の印象です。写真を見て能力を推し量った判断と、能力を直接調べた結果を混同すると、見た目への評価を本人の資質だと受け取ってしまいます。また、体力について写真からの印象に反する情報を添えると、偏りは小さくなりました。[1]写真以外の情報が、見る側の推測を修正する材料になったことが読み取れます。
Shapirらの質問紙の研究では、イスラエルの公認会計士の事務所で、管理職の会計士が見た目の魅力の高い候補者を採用したがる傾向がありました。その傾向は大手の事務所で大きく、候補者の魅力は会計士として成功する資質を持っているという受け止めにも結びついていました。[2]ここでも中心にあるのは、外見から仕事の資質を推測する評価者の判断です。受験生に特定の顔立ちや見え方を求める理由として読むのではなく、書類を読む側が無関係な印象を能力の根拠にしてしまう問題として理解するのが適切です。
写真の服装を調べた研究で評価されたもの
Johnsonらの研究では、大学で採用活動をする担当者300人が女性の応募者の写真を見て、雇用の見込みに関する文を評価しました。調べたのは、見た目の魅力、写真に写る服装、職種の影響です。そのうち服装は一貫して評価に影響していました。[3]「大学で採用活動をする担当者」という対象は、学生を採用する側を指し、大学の入学者を選ぶ担当者を意味するものではありません。
この結果で注目するところは、顔写真に含まれる情報が顔立ちに限られていないことです。写真を見る人は、そこに写る服装も含めて応募者を受け止め、仕事に向いていそうかという評価をしています。[3]ただし、この研究は1987年の採用の場面を扱っており、現在の日本の年内入試で何を着て撮れば評価が上がるかは示していません。写真の服装から面接当日の服装へ話を広げると、研究が実際に比べた範囲を越えてしまいます。
要項に写真の服装について条件があるなら、それは提出時に守る条件として読む対象です。一方、「この服なら意欲が伝わるはずだ」という期待は、書類に書かれた条件ではなく、見る人の印象についての予想です。服装が評価に影響したというJohnsonらの結果は、予想どおりの印象をすべての相手に与えられるという根拠にはなりません。[3]受験生の側に細かな見せ方を積み重ねさせるよりも、写真に写る情報と、選考で評価したい内容との関係を問う視点が必要になります。
同じ人でも写真ごとの第一印象は揺れる
Goganらは、17人について1人20枚、合計340枚の自然な写真を用意しました。95人の参加者が、信頼できそうか、支配的に見えるか、魅力的かという観点のどれかを用いて写真を評価しています。この研究では、分析の計画をあらかじめ登録する事前登録という方法が用いられました。[4]同じ人物の複数の写真を調べることで、人が違うために生じる印象の差だけでなく、写真が変わることで生じる揺れも捉えています。
結果として、同じ人への印象は写真によって大きく変わり、とくに信頼できそうかという評価が揺れました。それでも人物どうしの差ははっきり残っていました。[4]つまり、写真の違いだけですべての評価が決まるという結果でも、顔が同じなら印象が固定されるという結果でもありません。評価の揺れと人物間の差がともにあることが、写真から受け取る印象の複雑さを示しています。
「この写真は自分らしく見えない」と感じるとき、写真の印象をそのまま人間全体への判定として受け止める必要はありません。研究で尋ねた「信頼できそうか」は、写真を見た人の受け止めであり、その人物が実際に誠実な行動を取るかを測った値ではありません。[4]出願用の写真でも、本人が気に入る写りという基準と、提出条件を満たすという基準は同じ働きをしません。前者は好みに関する判断で、後者は要項の文章に沿って適合を考える判断です。
見た目の偏りを受験生の課題にしない
写真の印象を扱う研究を読むと、出願する側が工夫を重ねれば問題を解決できるように感じるかもしれません。Cannらの研究は、むしろ評価する手順に目を向ける材料になります。大学生が男女の応募者の資格を評価する際に、個別の資格を先に評価するか後に評価するかを変えて比べました。[5]資格に先に注意を向ければ、見た目に引っ張られずに全体を判断できるのかが論点になります。
結果では、評価の順序は個別の資格の評価に影響しましたが、全体の評価や採用の判断は変わりませんでした。男性と魅力的な応募者が好まれ、個別の資格に注意を向けさせるだけでは見た目の偏りは消えませんでした。[5]Kaufmannらの研究で反対の情報により偏りが小さくなった結果と合わせると、偏りへの働きかけは何でも同じ効果を持つわけではないと読めます。[1]何の情報を、どの判断のために使うかが、評価する側の課題になります。
容姿を気にしている生徒に対し、こうした研究を根拠に外見の変更を求めるのは、評価する側の問題を本人の責任に置き換えることになります。写真で特定の印象を与えることと、学びたい内容やこれまでの活動を伝えることでは、準備の目的が違います。規格への適合は提出物について扱える課題ですが、他人が抱く印象のすべてを本人が管理することはできません。Cannらが示したように、注意の向け方を変えても評価の偏りが残る場合があることは、受験生の努力だけに解決を求める考えへの注意になります。[5]
出願までに行う写真の準備は3つ
最初の行動は、募集要項から写真の大きさ・撮影時期・背景・裏面の記入の指定を書き出すことです。書き出す対象は自分が出願する方式の条件であり、別の方式で使った写真の条件を移す作業ではありません。撮影時期の表現は、どの時点を基準にしているかも含めた文章として扱うと意味が保たれます。紙の写真に必要な項目と画像に必要な項目がある場合も、一つの欄に押し込めず、指示の対象を残した記録にすると提出物との対応が明確になります。
次の行動は、規格に合う写真を締切の1週間前までに用意することです。この時期は大学が定めた提出期限ではなく、準備のために置く目安です。写真を用意する作業にも、条件に合うものが手元にある段階と、書類に貼るなど提出できる形になる段階があります。早めの準備には、その間に必要な作業を残しておく意味があり、納得のいく写りを際限なく探すことを目的にはしません。
オンライン出願で写真のデータを上げる場合の行動は、画面の確認の表示で顔が切れていないかを見ることです。元の画像が手元にある状態と、提出先の枠の中に表示された状態では、目に入る範囲が変わることがあります。ここで扱うのは写真への好みではなく、登録後の表示で生じる欠けです。評価する側から見れば、写真の印象を学ぶ力の証拠に置き換えず、出願書類が伝える内容を評価する責任があります。写真に引っ張られる判断が研究で示されていることは、評価の根拠を明確にする必要性を表しています。[1][2][5]
よくある質問
スマートフォンで撮った写真でもよいか
撮影した機器の名前だけで提出の可否は決まらず、要項が定める撮影方法や画像の条件に従います。自分で撮影した写真の扱いが書かれている場合は、その説明が適否を考える根拠になります。スマートフォンの画面で見やすいことと、提出先が求める画像の条件を満たすことは同じではないため、「きれいに写っている」という感想だけで受け付けられると考えないことが大切です。
眼鏡やマスクは外すべきか
眼鏡やマスクをどう扱うかは、顔写真についての要項の指定に従います。普段の着用の有無から一律に結論を出すのではなく、顔の写り方に関する条件が適用の基準になります。事情があって記載どおりの撮影が難しい場合は、大学の入試担当への相談事項であり、印象を扱う研究から例外の可否を判断するものではありません。必要な事情への対応と、写真の見栄えへの好みを混ぜずに扱うことが大切です。
受験票と出願書類で同じ写真を使うか
同じ写真を使うかどうかは、要項の指定と受験票の作り方の説明に従います。同一の写真を求める記載があればそれが基準になり、出願書類に写真が必要という説明だけでは、受験票にどう載るかまで決まりません。写真の欄がある書類どうしでも、画像の登録と紙への貼付など、作成の手順が違う場合があります。書類名と写真についての指示の対応によって、同じ写真が必要な範囲が定まります。
この記事の限界
対象は採用の候補者を評価する人や顔写真の印象を評価する参加者で、日本の年内入試の出願写真と選考結果を直接結びつけた研究はここに含まれていません。イスラエルの会計士の事務所での質問紙や古い採用の研究も含まれ、写真から抱く印象、採用したいという評価、実際の入学者選抜を同じ結果として扱うことには限界があります。
写真の規格や用途、提出方法は年度ごとに変わるため、実際の手続きでは出願年度の最新の募集要項と大学の発表が優先します。研究と規格の読み方は準備の参考になりますが、個々の写真の受理や出願の進め方については、本人の状況と提出先の条件による判断が求められます。
参考文献
- Kaufmann ほか. Age Bias in Selection Decisions: The Role of Facial Appearance and Fitness Impressions. Frontiers in Psychology. 2017;8:2065.
- Shapir ほか. Beauty is in the eye of the employer: Labor market discrimination of accountants. Frontiers in Psychology. 2022;13:928451.
- Johnson ほか. The Influence of Physical Attractiveness and Dress on Campus Recruiters' Impressions of Female Job Applicants. Home Economics Research Journal. 1987;16(2):87-95.
- Gogan ほか. Within-Person Variability in First Impressions From Faces. Perception. 2021;50(7):595-614.
- Cann ほか. Forced Attention to Specific Applicant Qualifications: Impact on Physical Attractiveness and Sex of Applicant Biases. Personnel Psychology. 1981;34(1):65-75.
要項の一文を、あなたの出願書類の一文に変えるところまで付き合う
- 向く人: 要項を読んでも、自分の評定と英検で出せる方式を絞り切れない高校生
- 向く人: 志望理由書と小論文を、出願の数か月前から一対一で書き直していきたい人
- 向かない人: 志望理由書や活動報告書を代わりに書いてほしい人
- 向かない人: 要項を自分で読まずに、受かるかどうかの見込みだけを知りたい人
このサイトは武蔵野個別指導塾の運営者が制作しています。武蔵境駅から徒歩30秒の完全1対1で、総合型選抜は代表の宮川が専任で担当し、ほかの科目は大学教員や東京大学などの大学院生が教えます。アルバイト講師はいません。
よくある質問
スマートフォンで撮った写真でもよいか
撮影した機器の名前だけで提出の可否は決まらず、要項が定める撮影方法や画像の条件に従います。自分で撮影した写真の扱いが書かれている場合は、その説明が適否を考える根拠になります。スマートフォンの画面で見やすいことと、提出先が求める画像の条件を満たすことは同じではないため、「きれいに写っている」という感想だけで受け付けられると考えないことが大切です。
眼鏡やマスクは外すべきか
眼鏡やマスクをどう扱うかは、顔写真についての要項の指定に従います。普段の着用の有無から一律に結論を出すのではなく、顔の写り方に関する条件が適用の基準になります。事情があって記載どおりの撮影が難しい場合は、大学の入試担当への相談事項であり、印象を扱う研究から例外の可否を判断するものではありません。必要な事情への対応と、写真の見栄えへの好みを混ぜずに扱うことが大切です。
受験票と出願書類で同じ写真を使うか
同じ写真を使うかどうかは、要項の指定と受験票の作り方の説明に従います。同一の写真を求める記載があればそれが基準になり、出願書類に写真が必要という説明だけでは、受験票にどう載るかまで決まりません。写真の欄がある書類どうしでも、画像の登録と紙への貼付など、作成の手順が違う場合があります。書類名と写真についての指示の対応によって、同じ写真が必要な範囲が定まります。