厳しい質問が続く大学の面接で焦ったとき|面接の不安と受け答えの研究
厳しい質問が続く大学の面接を想像すると、焦った姿を見せただけで評価が下がるのではないかと気になるものです。不安の高さは面接の出来の低さと結びついていますが、備えの中心は緊張を隠すことより、事実に沿って質問に答えることです。ここで扱う研究は、大学の面接で厳しい質問がどのくらい行われるかを調べたものではなく、大学が意図して受験生を圧迫するという説明の根拠にはなりません。
- 「厳しい面接」という言葉だけでは、何に備える必要があるのかが曖昧です。
- McCarthyらは、93の国・地域の373社に応募した8,343人について、オンラインの採用面接の不安を調べました。
- Powellらは、研究補助の仕事の面接を受けた202人について、不安と自分をよく見せるためのごまかしの関係を調べました。
- Shrivastavaらは、就職を目指す245人の回答から、オンライン面接の不安と出来の関係を調べました。
厳しい質問が続く大学の面接を想像すると、焦った姿を見せただけで評価が下がるのではないかと気になるものです。不安の高さは面接の出来の低さと結びついていますが、備えの中心は緊張を隠すことより、事実に沿って質問に答えることです。ここで扱う研究は、大学の面接で厳しい質問がどのくらい行われるかを調べたものではなく、大学が意図して受験生を圧迫するという説明の根拠にはなりません。
応募者8,343人を対象とした採用面接の研究では、不安が高い人ほど面接の出来が低い傾向がありました。[1] ただし、これは緊張した表情への減点を数えた結果という意味ではありません。本人の不安、受け答えの出来、選考への受け止めを扱った結果として読む必要があります。
控室で「理由を否定されたらどうしよう」と考える場面では、答えの内容に加えて相手の反応まで先回りして気になります。総合型選抜や学校推薦型選抜の準備では、まず募集要項に書かれた面接の範囲が足場になります。そのうえで、不安と面接の関係を調べた結果と、受験生が用意する答え方を順に考えます。
圧迫面接と感じる大学の面接を、要項の言葉から読む
「厳しい面接」という言葉だけでは、何に備える必要があるのかが曖昧です。志望理由の根拠を詳しく尋ねられること、学習内容の知識を問われること、相手の反応が乏しいことでは、困る場面が変わります。募集要項の「実施方法」は個人・集団・オンラインなどの形式、「時間」は試験の枠、「評価の観点」は何を評価するかを読むための欄です。口頭試問の有無も、知識について口頭で答える場面を想定するうえで意味を持ちます。
たとえば「意欲」という語を見て、どんな質問にも強い口調で言い切る必要があると読むのは飛躍です。「思考力」と書かれていても、相手の意見を押し返す強さを指すと決めつけることはできません。評価の観点に添えられた説明や、試験の内容とのつながりが、その語の範囲を定めます。以下の表は、面接への怖さをそのまま試験内容に置き換えないための読み方です。
| 要項の欄 | 記載から読む内容 | 読み込みすぎない点 |
|---|---|---|
| 実施方法 | 個人・集団・オンラインなど、応答する場の形 | 個人面接なら質問が厳しいという予想 |
| 時間 | 面接に割り当てられた時間と、集合の時間の表記 | 長い面接ほど否定されるという予想 |
| 評価の観点 | 意欲・思考・表現など、説明されている評価の対象 | 堂々とした態度だけで点が決まるという予想 |
| 口頭試問 | 有無と、書かれている場合の対象分野や範囲 | 知識を問う質問はすべて圧迫だという受け止め |
同じ募集要項でも、選抜方式ごとに見出しがわかれている場合は、その見出しが各欄の対象を示します。複数の方式の説明が同じページにあっても、別の方式の面接時間や試問の説明を自分の条件に足す読み方は避けたいものです。こうした記載の読み方は、厳しい質問の出現を予測するためではなく、自分が受ける試験の範囲を具体的に捉えるために役立ちます。
不安と出来の関係を、減点の規則に置き換えない
McCarthyらは、93の国・地域の373社に応募した8,343人について、オンラインの採用面接の不安を調べました。感染症について考え込んで疲れている応募者ほど面接の不安が高く、不安が高いほど面接の出来は低い傾向にありました。さらに、選考が公正だという受け止めと、その会社を人に勧める気持ちも低い傾向でした。[1] 不安と結びついていたのは、面接の出来だけでなく、受ける側から見た選考の印象にも及びます。
ここでの「結びつき」は、複数の測定値がどのように動いていたかを示します。不安が高い応募者の出来が低かったという結果から、不安そうな様子を見た面接官が一定の点を引いたと読むことはできません。研究で扱った不安の高さと、募集要項に書かれる採点の規則をつなぐには、何を評価したかという情報が要ります。受験生にとっては、「緊張したら終わり」という見通しを立てるより、答えの根拠や質問とのつながりに焦点を置くほうが、準備する内容を具体化できます。
また、この研究の人数は、特定の大学で焦った人がどの程度評価されたかを表す数字ではありません。オンラインの採用面接という場と、感染症をめぐる疲れや考え込みも含む研究の条件があります。[1] 大きな人数の結果を読むときも、「何人を調べたか」と一緒に「どんな場面で何を測ったか」が必要です。面接後に自分の緊張だけを思い出して点を予想すると、質問の内容や実際に答えた事実が、その予想の外に置かれてしまいます。
焦ったときに、経験や知識を大きく見せない準備
Powellらは、研究補助の仕事の面接を受けた202人について、不安と自分をよく見せるためのごまかしの関係を調べました。面接の不安が高い人ほど、ごまかしを使っていたという結果です。誠実さや謙虚さが高い人は不安が低く、それを通してごまかしも少ないという関係がありました。[2] これは相関、つまり複数の値の動きの結びつきを扱う研究であり、焦った人の発言をそれだけで疑う理由にはなりません。
受験の準備に引き寄せると、注意したいのは、強く問い直されたときに答えの内容が膨らむ場面です。たとえば、活動に参加したという説明が、いつの間にか全体を企画したという説明に変わると、本人の役割が変わります。読んだ資料の内容を紹介することと、自分で調べた結果として話すことでも、根拠の持ち主が変わります。こうした例で問題になるのは、声が震えたかどうかより、書類や実際の経験との食い違いです。
準備の最初は、出願書類のうち突っ込まれると困る箇所を3つ選び、それぞれに「確かめていないことはわからない」と言う答え方を用意することです。たとえば、活動の効果を尋ねられた場合なら、「参加者の感想は聞きましたが、その後の変化までは調べていません」という形が考えられます。これは話せる内容を空にする返事ではなく、経験として話せる範囲を示す返事です。知らない部分を埋めるために新しい成果を足さずに済むよう、困る箇所に対応した言葉を準備の対象にします。
質問の意味と、うまく答えた経験を準備の中に置く
Shrivastavaらは、就職を目指す245人の回答から、オンライン面接の不安と出来の関係を調べました。準備への満足と自己効力感、つまり自分は面接をうまくこなせそうだという感覚は、不安の低さと結びついていました。練習の面接の過程が出来との関係を仲立ちしていたという結果もあり、性別や職歴による違いは見られませんでした。[3] 単に準備した時間だけでなく、準備をどう受け止めているか、練習でどんな過程を経たかにも目が向く結果です。
次の準備は、答えに詰まったときに質問を言い直して確かめる1文を決めておくことです。「今の質問は、活動を始めた理由についてという理解でよいですか」という形なら、答える対象を相手と共有する言葉になります。志望の動機を尋ねられたのか、活動中の判断の理由を尋ねられたのかが曖昧なままでは、長く話しても焦点が合いません。この1文は時間を埋めるための決まり文句ではなく、何について答える場面なのかを確かめるためのものです。
もう一つは、練習の後にうまくいった答えを1つ書き残し、本番の前に読み返す準備です。「うまくいった」は、緊張しなかったという感想だけでなく、尋ねられた理由に自分の経験を使って答えられた、といった内容を指します。たとえば、役割を選んだ理由と、そのときにした判断がつながった答えなら、話せた根拠が記録に残ります。準備への満足や自己効力感と不安の低さとの結びつきを踏まえ、失敗の印象だけで準備全体を評価しないための取り組みとして位置づけられます。[3]
練習の回数だけで、不安への備えを評価しない
Boyerらは、就職面接の準備をする大学生について、不安の状態を調べました。不安を測る5つの尺度のうち4つで、女子学生が男子学生より高い不安を報告していました。尺度とは、質問への回答などを使って状態の程度を測る物差しです。研究は追加の練習によって不安を下げられる可能性を示しましたが、実際に練習を加えた群と加えなかった群の効果を比べた研究ではありません。[5]
この結果を「不安が高い人には練習が足りない」と読むと、調べた内容が変わってしまいます。不安の程度を調べることと、ある練習をした後にどう変わったかを調べることには、測定の手順に差があります。Shrivastavaらの結果も、就職を目指す人の回答に基づく関係を示したものです。[3] 練習回数を増やせば増やすほど不安が減るという規則として読むより、準備への受け止めや実際の応答を含む結果として読むのが適切です。
とくに、練習をするたびに「少しでも焦ったら失敗」と評価するやり方では、答えられた内容が記録から抜けます。本人が難しいと感じる部分に目を向けることは必要ですが、落ち着いた人の見た目だけを完成形にすると、練習の課題が際限なく広がります。Boyerらの研究で測られていたのは、不安の程度の差でした。[5] 生徒ごとの準備を考える際に、その差を努力の不足や話す内容の価値の低さと同じ意味にする必要はありません。
面接のやりとりは、受ける側の印象にも残る
Ralstonは、大学生の採用面接で、やりとりへの満足と、その後の求人への魅力や就職の意向との関係を調べました。面接でのやりとりへの満足は、面接後に感じる求人の魅力と就職の意向を予測していました。一方、面接前に感じていた求人の魅力は、面接のやりとりへの満足を予測していませんでした。[4] もともと魅力を感じていた相手でも、面接でどのような応答を経験したかが、受ける側の意向と結びついていたことになります。
受験生は評価される立場に意識が向きがちですが、やりとりが負担だったという自分の受け止めまで否定する必要はありません。追加の質問に答える難しさと、相手からどのように扱われたと感じたかは、それぞれ具体的な経験として残ります。ただ、面接で感じたことから大学全体の姿まで一度に決めるのも、少ない場面からの大きな判断になります。Ralstonの結果が扱うのは採用面接の満足と意向の関係であり、面接官の言動を受験生の忍耐の試験として説明する結果ではありません。[4]
保護者にとっても、本人の「厳しかった」という言葉は、点数の予想だけで受け止める必要のない言葉です。質問が難しかったのか、反応が読めなかったのかで、本人に残る経験の中身は変わります。採用面接の研究では、不安の高さは出来の低さやごまかしの多さと結びつき、やりとりへの満足は受ける側の意向とも結びついていました。[1][2][4] その結果から、大学の面接で焦った個人の評価や、厳しく感じた質問の意図まで決めることはできません。
よくある質問
面接官が無表情で反応しないのはなぜか
表情だけを根拠に、関心がない、答えが悪かったなどと意図を決めることはできません。うなずきや笑顔がないという見え方と、どんな評価を付けているかという採点の中身は、同じ情報ではないためです。相手の表情から合否を読もうとすると、明示されていない評価まで自分で補ってしまいます。反応が少ない場面を、すでに否定された場面として扱う必要はありません。
答えを途中で言い直してもよいか
伝えた事実や表現に誤りがあったときは、その部分を訂正する言い直しが考えられます。「今の『全員』は正確ではなく、『参加した人のうち感想を聞けた人』です」のように、変更する箇所が明確な形です。話全体を初めからやり直すよりも、聞き手にとって何が訂正されたかが見える表現になります。訂正したという事実だけで点を予想するより、最終的に伝わる内容の正確さが大切です。
面接で泣きそうになったらどうするか
言葉を続けるのが難しいときは、「少し時間をいただいてもよいですか」と、いま必要なことを短く伝える方法があります。その後の進め方は面接官の案内によるため、休止の長さや扱いを受験生が決めるものではありません。面接の前からつらさが続き、準備や学校生活にも響くときの相談先は、学校の先生・養護の先生・保健の専門家です。泣きそうになることを理由に、本人の意欲まで低いものとして扱う必要はありません。
この記事の限界
測定されているのは採用面接の不安や出来、自己申告による準備への受け止めなどで、日本の年内入試で厳しい質問を受けた高校生の評価を直接追った結果ではありません。複数の国・地域を含むオンライン面接の研究がある一方、対象国をここで特定していない研究や古い採用面接の研究も含まれ、研究の条件はそろっていません。
不安と応答の結びつきが中心であり、紹介した答え方を使った場合の入試での効果や、個別の出願の適否を判定する材料としては範囲が限られます。面接の実施方法や評価の観点は年度によって変わるため最新の募集要項と大学の発表が優先し、本稿から個別の出願の適否を判断できる範囲には限りがあります。
参考文献
- McCarthy ほか. Distressed and distracted by COVID-19 during high-stakes virtual interviews: The role of job interview anxiety on performance and reactions. Journal of Applied Psychology. 2021;106(8):1103-1117.
- Powell ほか. Shake and Fake: the Role of Interview Anxiety in Deceptive Impression Management. Journal of Business and Psychology. 2021;36(5):829-840.
- Shrivastava ほか. Reappraising the Relationship between Interview Anxiety and Performance Outcome in a Computer-Mediated Setting. Business and Professional Communication Quarterly. 2024;87(2):300-323.
- Ralston. The Relative Influence of Interview Communication Satisfaction on Applicants' Recruitment Interview Decisions. Journal of Business Communication. 1994;31(1):61-77.
- Boyer ほか. Establishing an Interview Anxiety Baseline: Assessing Applicants' Readiness. Business and Professional Communication Quarterly. 2017;80(3):365-378.
要項の一文を、あなたの出願書類の一文に変えるところまで付き合う
- 向く人: 要項を読んでも、自分の評定と英検で出せる方式を絞り切れない高校生
- 向く人: 志望理由書と小論文を、出願の数か月前から一対一で書き直していきたい人
- 向かない人: 志望理由書や活動報告書を代わりに書いてほしい人
- 向かない人: 要項を自分で読まずに、受かるかどうかの見込みだけを知りたい人
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よくある質問
面接官が無表情で反応しないのはなぜか
表情だけを根拠に、関心がない、答えが悪かったなどと意図を決めることはできません。うなずきや笑顔がないという見え方と、どんな評価を付けているかという採点の中身は、同じ情報ではないためです。相手の表情から合否を読もうとすると、明示されていない評価まで自分で補ってしまいます。反応が少ない場面を、すでに否定された場面として扱う必要はありません。
答えを途中で言い直してもよいか
伝えた事実や表現に誤りがあったときは、その部分を訂正する言い直しが考えられます。「今の『全員』は正確ではなく、『参加した人のうち感想を聞けた人』です」のように、変更する箇所が明確な形です。話全体を初めからやり直すよりも、聞き手にとって何が訂正されたかが見える表現になります。訂正したという事実だけで点を予想するより、最終的に伝わる内容の正確さが大切です。
面接で泣きそうになったらどうするか
言葉を続けるのが難しいときは、「少し時間をいただいてもよいですか」と、いま必要なことを短く伝える方法があります。その後の進め方は面接官の案内によるため、休止の長さや扱いを受験生が決めるものではありません。面接の前からつらさが続き、準備や学校生活にも響くときの相談先は、学校の先生・養護の先生・保健の専門家です。泣きそうになることを理由に、本人の意欲まで低いものとして扱う必要はありません。